松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

靴屋時代

 

靴を販売している側の心理

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靴に限っての事ではありませんが、何時の時代も物が流通するという事は必ずそれを売る側とそれを買う側に分かれます。その中で売る側は、存続をかけて様々な方法で利益の確保を図ろうとします。勿論、買う側も少しでも自分の欲しい品をどれだけ思い通りの価格で購入できるかと考えます。そんな中、僕が靴屋時代に先輩方から教わった販売方法は、自分の販売したい商品を自由自在に思うままに販売する方法でした。ここだけを切り取ってしまうと「かなり強引販売方法では?」となります。それでもこの当時常連のお客様も沢山いたので大概のお客様には満足して頂いてたと思います。

来店からお見送りまで

当たり前ではあるんですが、最初のコンタクトからお見送りまでは、同じ温度で接するよう心がける相手の出方でこちらのスタンスを変えてしまうと思わぬ落とし穴にはまることがあります。心を開いてくれたと思い自分のペースに引き込もうとすると突然、態度を硬化させたり、逆にへりくだり過ぎると必要以上に主張しだしこれもまたお見送りまで時間が掛かります。とにかく終始スムーズに事が運ぶ様にするには、徹底的に機会損失無い接客をする事です。例えて言うならば一緒に買い物に来た友人の様に同調し誉め羨ましがり気持ちよく購入してもらい気分よくすみやかにお帰りいただく。間違っても「こっちが似合ってます」とか、「こっちの色が流行ってます。」とか極力言わないようにする。

対面販売より、側面販売が有利

当然、お客様が来られると「いらっしゃいませ」からはじまる訳ですが、靴の販売の場合カウンター越しに向かい合わせで接客をする事 対面販売 が無いので当然 側面販売 になります。側面販売とは字の如く横並びになり本来、お客様と同じ目線で商品の説明するとの事ですが、実際は友人の様に接する接客だと僕は、思っています。仮に靴の場合、向かい合わせで接客するとお客様の警戒心を解き難くなり販売方法としては有効ではありません。何を探しているか、どんな色で悩んでいるか、どんな場面で使うのか、とにかく親身になってる風にお客様の悩んでいる問題を早くクリアすることが大事です。靴もTPOが、非常に重要なので自身もその辺は、しっかり勉強していないと本末転倒となってしまいます。

3足以上商品を並べない

なぜ3足以上お客様の前に並べ無い様にするのか?それは、選択するのに必要最小限だからです。少なすぎると物足らなくさを感じ多すぎると迷ってしまう。つまり、多からず少なからずがこの3足なのです。仮にお客様が、悩みだし「あれもいい、これもいい」とアレコレ言い出すと最終的に収拾がつかず最終的に決めきれずに帰ってしまうケースが、発生します。この場合、どうするかというと予定通り3足までその場所で選ばせます。そこからもう一足候補が現れた場合どれか一足片付けます。これを話の流れを注意深く聞きながら確立の低い順に片付け常に3足以上は、出さないようにします。そうしていく内に二択に持っていき、最後に一足に絞ります。

お客様が、決めきれない時は、話題を一旦、全然関係ないものにします。例えば、「そういえば、今日は天気が良いですね。」とか「これからどちらに行かれるのですか?」とか一旦、頭の中をリセットしてもらいます。それからお客様より先に候補を誘導する。ここがポイントです。「お客様が、さっき選んだこのデザインがやっぱり僕も良いと思います。」と、お客様より先にお客様の意見を取り入れそれに納得したかの様にこちらから結論付けるのです。僕は、この方法で販売実績を上げてきました。実際かなりの確立で成功します。

ウイークポイントをチャームポイントへ

僕は、婦人靴を専門に一時期販売していることがあったのですが、女性の場合、当時外反母趾で悩まれている女性は、非常に沢山いてました。簡単にいうと母子球あたり(足幅の一番広い部分)が炎症を起こし、親指の付け根辺りが硬く張り出してくる状態になります。当時は、今のように足の健康にいい靴が殆ど販売されていませんでした。ましてやヒールの靴など外反母趾の女性にしたら相当苦痛だったと思います。その痛みもさることながら型崩れも深刻な問題でした。

さて、僕は医者ではないので足の治療は専門外です。但し足の形を目立たなくする方法やさほど痛くない靴を探してあげることは出来ました。新品の時は、形もよく素敵なデザインも一度履いてしまうと型崩れが始まってしまい楽になった引き換えに買った時の面影が無くなってしまいます。主にヒール(パンプス)になりますが、プレーンなデザインなどは、どうしようもないです。幸い靴には色々なデザインの物があります。そこで飾りのついたものや個性的なデザインをしたものやコンビカラーなど、工夫次第で足の形をわかり難くできます。要するに目線を見て欲しくないポイントから離すのです。そうする事によってウイークポイントを靴のデザインの力でチャームポイントにしてしまう訳です。勿論履き心地の良いのに越した事はありませんが、やはりデザインは大事です。昔から「お洒落は、足元から」と言いますここを外すとお洒落じゃなくなります。昔のヤクザみたいな人が言ってました「人の足元をみやがって・・・。」なんてセリフ聞いたことあるやろ。これは、どれだけ洋服にお金をかけても靴がみすぼらしければ本物では無いって事だそうです。話は、少し脱線しましたが、リピーターとしても一度信頼される接客をするといいお得意様になってもらえる訳です。

まとめ

物が売れていく要素は、立地商品とそして信頼できるひとです。高級ブティックに高級な商品が並んでいてもそれを販売するスタッフが、知識も浅く対応も悪ければそれでアウトです。購入後の満足感を与えることができるのは、やはりその店のスタッフにほかなりません。常にアンバサダーとしてのプライドをもってお客様に接することで心をつかみ続ける事が出来るのです。