松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

給料は大切に使い、あぶく銭は散財する理屈とは

 

f:id:rjmatsumura:20171021201252j:plain

僕が思うに、普通ある程度の資産を持っている人でも、家や車などの高額の商品を購入する場合、ローンを組む人は多いと思います。しかし資産が沢山あるのに余計な金利を払ってまでローンを組む人がいます。それはいったいなぜでしょうか。僕の勤めるバイクショップでもこの手のケースは、よくあります。そこでこの一見すると非合理とも思える選択の理由を行動経済学の観点からじっくり考えてみることにしましょう。

 

必ずしも合理的選択をしない人間らしさ

行動経済学の研究者達の中で、消費などの経済行動がどのように決まるのかを、心理学と経済学の両面から分析したところ、人々に必要な情報を提供すれば経済行動をより合理的な方向に変えられるとされています。当然、逆の論理もあります。実社会では情報の非対称性があり、人は必ずしも合理的選択をしない。そもそも経済活動をするのは人間なのだから、心理的作用を考慮して経済学は考えなければならないという考え方という訳です。

 

世の中に順応できる心理特性とは

f:id:rjmatsumura:20171021202123j:plain

そもそも人間は、いい加減な存在であるということは、誰もが何となくわかっている事ではありますが、そのいい加減な判断をする人間の選択行為を上手く利用して世の中を良くする理論というのがあります。具体例としては、企業年金について加入したい人が任意で申告するとしていた時は、加入率は伸び悩んでいたが、何もしなければ自動で企業年金に加入することとして、加入したくない人が申告するようにしたところ、加入率が急増したというのがあるそうです。理論的には加入したい人が申告するのと、加入したくない人が申告するのとで違いはないはずですが、だいたい人は面倒なことを避けるという心理的特性があるので、その特性を利用して企業年金への加入者を増やして行くということですね。

このように、心理的特性をテコにして人々によい行動を取らせることを「ナッジ(nudge)」というそうです。この考えは、様々な分野で応用され始めているようですが、特に環境分野での利用が増えているとのことです。例えば、車のアイドリングストップ機能は、キャンセルしてもエンジン始動のたびにリセットされるようになっています。このことで、アイドリングストップ機能を使う人が増えると考えられるのです。また、空調などの温度設定も一定時間を経過すると自働的に節電温度になるように設定しておくことで過剰な冷暖房を抑止する効果のある車もあります。

 

 

同じお金でも……「給料は大切に使う」「あぶく銭は散財する」

f:id:rjmatsumura:20171021202256j:plain

人は金銭を使うときの意思決定において無意識に「家計費」や「娯楽費」というように項目を分けていて、その項目ごとに金銭の使い方に違いがあるといいます。「あぶく銭は散財してもかまわない」が「給料は大切に使う」というように、お金の入手方法に応じて、お金を仕分けする心理傾向があるのです。例えば、普段の生活では節約しているのに、旅行に行った際は気が大きくなりお金の使い方が荒くなるなどの経験は誰にでもあるのではないでしょうか。また、人は資産を保持していたいという欲求や多額の支出をすることに抵抗があるため、ある程度の資産を持っていても余計な金利コストを払ってでもローンを組んでしまうことがあるそうです。これは、「借金」と「貯蓄」は別の項目と考えているからなのです。資産運用の効果がローン金利を上回らない限り合理的な選択とは言えませんが、多くの人が資産を持っていてもローンを組んでいる理由はそこにあると考えられます。

勿論、家計においてもある程度のキャッシュフローは大事なので、資産を全て使い切ることが必ずしも良いとは言えませんが、資産に余裕があるのであれば、できるだけ頭金を入れるなどして金利を減らすことが合理的といえるでしょう。この他にも例えば、「ある人はお財布にたくさんのお金が入っている」と「ある人はお金を多く使ってしまいがちなので、財布にはあまりお金を入れない」とか、預金口座が1つだけだとそれを使ってしまうのでの、わざといくつもの預金口座に分散するなど、無駄な支出を減らすための工夫などがあります。そう考えると案外身近で活用されている様な気がします。

 

 

最後に

行動経済学は人の心を理解しながらそれをうまく活用する方法を提示してくれています。預金口座を分散することなどはすぐにでも実践できることなので、身の回りの生活を見直し、効果的なお金の使い方をしているか、この機会に一度チェックしてみるのもいいかもしれません。

kotobank.jp