松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

人材が伸び悩む社会背景とは

 

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それにしても毎日よく降ります。ここ最近は、ほぼ毎日往復で合羽を着ての通勤です。とにかく合羽ってヤツは、着るのも面倒だし脱ぐのも面倒なのです。おまけにしっかり乾燥させて片付けないと、次ぎに着る時に独特の嫌な臭いで着なくてはなりません。はやく秋雨から秋晴れに変わって欲しいものです・・・。話はコロッと変わりまして、今話題の働き方改革法の施行が2019年4月ともう半年余りとなりました。僕のようにピンと来ない人も沢山いると思いますが、さまざまな企業では労働時間の削減などを急ピッチで進めているようです。しかし、ある調査だと、働きやすい職場環境を整えるだけでは、企業業績はよくならないという結果が出たそうです。そこで今回は、国家プロジェクトなのになぜそうなってしまうのか。チョッと調べてみる事にしました。。

 

実際は殆ど企業で残業が減っていない

2018年6月29日に国会で成立した働き方改革法の実施に向けた指針の策定が、厚生労働省の審議会で進められているようです。なかでも労働時間規制の関連では懸案がしたの3つになります。

1:残業時間を月45時間、年360時間を原則に、特例として年720時間を限度とする時間外労働の上限規制

2:年次有給休暇の毎年5日の強制取得

3:努力義務ではあるが、会社の終業時間から始業時間まで一定の休息時間を付与する勤務間インターバル制度

再度書きますが、法律の施行は来年2019年4月と迫っています。そして各大手企業は労働時間の削減などの働き方改革が急務となっています。しかし、現状ではそれほど進んでいないようです。2018年6月に行われた某人材派遣会社の残業実態調査によると、働き方が、話題になって以降、「残業が減った」と答えた人はわずかに約2割だったそうです。逆に「残業時間が増えた」とか「変わっていない」と答えた人が約8割にも達していたそうです・・・。管理職層に限定すると約8割に上る結果となっていました。

 

案外ずさんな休日管理事情

他にも、法定外の総労働時間をシステムで集計していないと回答した企業は4割もありました。それと休日労働時間については、法定内休日と法定外休日に分けて集計していないと回答した企業がこれも約4割にもおよびました。この事をふまえてみても案外ずさんな人事部が多いということが分かります。法律が施行されると残業時間の把握ができずにさらに混乱する事態も危惧されています。驚きなのは、約4割の企業が、年次有給休暇の取得日数が年5日に満たない従業員が100人以上いると回答した事です。働き方改革法では、会社から社員に年5日の有休の時季を指定する義務に違反すると、社員1人つき罰金30万円以下が科されるそうなので、仮に100人なら30×100=3000万円の罰金が科されると言う訳です・・・。それにしても凄まじい罰金ですね。

 

働きやすさだけで業績は伸び無い

働きやすさとは、その会社のワークライフバランスというか、労働環境の整備、福利厚生の度合いを示します。一方、やりがいとは、経営や管理者層への信頼、仕事への誇りや意味づけ、連帯感や一体感など仕事に対するモチベーションの度合いによるものです。それぞれを得点化し、2つの指標の高低によって、以下の4つのタイプに分類してみました。

A:いきいきとした職場(働き易く、やりがいもある)

B:バリバリの職場(働き易さはないが、やりがいはある)

C:ぬるま湯の職場(働き易いが、やりがいがない)

D:元気の無い職場(働き易さはなく、やりがいもない)

Aのように働き易く、やりがいもあると従業員が感じていれば、仕事もおもしろく一生懸命に働くでしょうし、結果として業績が伸びるのは納得できます。逆に、Dのように「働きやすさはなく、やりがいもない」のであれば、それほど業績が振るわないのも理解できる。ポイントとして、Cのような「働きやすいが、やりがいがない」という企業は業績があまり伸びていないのに対し、Bのような「働き易さはないが、やりがいはある」という企業は、それなりに業績が伸びているという事です。要するに働き方改革の本当の改革は、もう少し掘り下げて考える必要があると思います。

 

懸念される社員達の連帯感や信頼感

やりがいの重要さは理解できます。それでも職場の働きやすさが向上すれば、仕事にも前向きにがんばるのではないかと思いますが、実際はそうなっていないようです。様々な調査結果を見てみると、働き方改革によって残業時間の削減や在宅勤務などの柔軟な働き方を整備しても、必ずしも従業員の満足度や仕事のやりがいにはつながらないのではないか、という声があるようです・・・。実際にそうした企業も少なくないようです。よくよく考えてみると働き方改革が目的化してしまい、働きやすさだけの改善にとどまり、やりがいが下がってしまうのではないでしょうか・・・。仕事の量が変わらないのに労働時間だけを削減し、仕事以外のコミュニケーションが減ってしまい、従業員の連帯感や一体感などの得点が下がってしまうなんて事もありうるのです。また、テレワークによって働く場所の自由度が高まることで、かえってコミュニケーションの機会が減ってしまいます。今までと仕事のやり方を変えずに働き方改革を進めた場合、従業員同士の連帯感や経営さらには管理者層への信頼感までが下がってしまうという事です。

 

最後に

最悪のシナリオとしては、労働時間削減の強行で、業績は落ち、やる気ない社員が増加なんてことが懸念されます。例えば、業務の効率化と称してムダな仕事や会議などを徹底的に排除した場合、職場がギスギスしてしまい息苦しくなったという事例は、過去にも多くの企業で聞かれます・・・。会社がやみくもに時間短縮を叫んでも、額に汗して働く社員がそれに納得し、主体的に動かなければ、表面的な働きやすさが向上するだけで、肝心のモチベーションが下がってしまうことにもなりかねないのです。しかしひとつでも多く上記の問題をクリアして行けば、必ず僕たちにとって働きやすい環境になると信じて一丁頑張って見ましょう!