松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

アルコール依存症の基礎知識

 

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今年もいよいよ3カ月を切りました。11月に入るとどこの企業でも、ぼちぼち忘年会の予定が入り出します。もちろん12月に入れば、さらなる歳末イベントが増え体調管理をしておかないと痛い目にあいます・・・。そしてそのトリガーになるのが、言わずと知れた「お酒」です。僕もこのお酒には、幾度となく痛い目に合ってきました。大して強くないのに酔いが回るにつれ少しずつ量が増えていき最後は訳が分からなくなってフィニッシュです。それにその後の二日酔いときたらもう地獄の苦しみです。

それでも不思議と時が経てば、飲んでしまうのがお酒なのです。ただこの飲みたくなる症状が問題で、仕事の帰りに仲間と一緒に飲むのと、手が震えて仕事が手につかないから飲むのとでは、少々意味が違ってきます。それは、間違いなく「アルコール依存」と言うヤツです・・・。そもそも依存という言葉は「何かに寄りかかる」という意味です。お互いに依存し合う「もたれあい」は適度であれば、ある意味良い関係とも言えるでしょう・・・。しかし、それ無しではいられない、その為に他のすべてを犠牲にするなど、極端な寄りかかりになると病的な様相を呈し「依存症」と呼ばれる事になります。そこで今回は、さまざまな依存症のなかから、「アルコール依存症」について考えてみたいと思います。

 

お酒が止められないアルコール依存症とは

アルコールは、依存性をもつ薬物です。習慣的に使用していれば、誰でもアルコール依存症になるリスクがあるそうです。年齢・性別・社会的立場には関係なく、意志の強さや性格の問題は関係ないのです・・・。昔は中年男性が大半でしたが、女性の飲酒率の増加を背景に女性の依存症者も増えているのが現状です。それと色々問題を抱えている高齢者の依存症も介護場面などで深刻な状態だそうです。

依存症の症状をひとことで言えば、飲酒のコントロールがきかないと言う事です。
飲んではいけない状況で飲んでしまう、今日はほどほどにしようと思ったのに酔いつぶれるまで飲んでしまう、飲みすぎで身体をこわしているのにやめられない等がその症状です。

 

WHO(世界保健機関)の定めているアルコール依存症の診断基準

アルコールを飲みたいという強い欲望、強迫感

  • 終業前になると決まって飲みに行くことばかり考えている
  • 自宅に酒を常備しておかないと落ち着かない
  • 酒を入手するためなら面倒もいとわない

 

アルコールの飲み方をコントロールすることが困難

  • 意思に反して飲んでしまう
  • 多量飲酒
  • 臓器障害を起こすまで飲む
  • 医師から禁止されても守れない

 

飲むのを止めたり減量したりすると離脱症状=禁断症状が出る

  • イライラして落ち着かない
  • 発汗や微熱
  • 不眠
  • 振戦(ふるえ)
  • 動悸
  • こむらがえり
  • 妄想や幻覚

 

始めは少量で段々と飲む量を増やさなければ、いられなくなる

  • かつてと同量では酔えないので飲酒量が増えていく

 

アルコールの為に他のすべてが犠牲にされる

  • 飲酒のために家族と過ごす時間や会話がなくなる
  • 飲んでばかりいて他のことができなくなる
  • 休日も二日酔いでゴロゴロ寝ているばかり

 

明らかに有害な結果が生じているのにやめられない

  • 肝臓病や高血圧などアルコールに関連した身体の病気
  • 抑うつ状態
  • 家庭内トラブル
  • 飲酒で信頼を失う
  • 飲酒運転などの違法行為
  • 職場や学校でのトラブル
  • 借金などの経済問題を抱える 

 

アルコール依存症治療の4つのステージ

アルコールや薬物など「物質依存症」については、長い治療の歴史もあって、現在では治療法がシステム化されています。一般的に次の4つの段階を経て、入院や通院による治療が進められます。最初は「導入期」受診段階。本人や家族が依存症を理解したうえで回復を決意し、家族や職場などが協力を覚悟する治療の初期となります。とくに暴力や自傷行為などの精神症状が出ている場合は、強制的に断酒をさせるために薬物療法を用いることもあるそうです。そして「解毒期」に入ります。本人が同意して断酒をします。軽ければ通院、離脱症状などをともなう重症であれば入院となります。あと、一時的に心身の状態が悪化するため注意が必要です。

後半は、リハビリに入ります。「リハビリ前期」の場合、回復への動機づけの時期です。離脱症状から解放され比較的安定します。自助グループ(※ なんらかの障害・困難や問題、悩みを抱えた人が同様な問題を抱えている個人や家族と共に当事者同士の自発的なつながりで結びついた集団)への参加も始まります。最後はいよいよ「リハビリ後期」に入ります。社会復帰と生活の安定期とも言えるでしょう。入院患者の場合は、外泊するなど仕事や日常生活に戻るための準備期とも言えます。

因みに厚労省によると日本の場合、断酒率は治療後2~3年で28~32%、5年以降では20~30%という数値が示されています。アルコール依存症の社会復帰がいかに難しいか、この数字から読み取れます。また、良好な転帰を果たしているのは、高齢・配偶者がいる・仕事についている・治療前の飲酒量が少ない・入院回数が少ない・治療への姿勢がよい・人格障害を持たない・リハビリテーションに励んでいる、などのケースであると報告されています。

 

最後に

 

こうして書いてみると改めて「依存」と言うのは怖いものだと改めて実感しました。今回は、身近にあるお酒にまつわる依存でしたが、恐らく僕たちの知らない「依存」で苦しんでいる人たちが、まだまだ沢山いると思います。もし自分が、人と違うとか、意志が弱いとか、我慢すると体調を壊すなど、明らかにいつもと違う自分を感じとしたら一度勇気を振り絞って病院の扉を叩いてみる事をお勧めします。

 

alcoholic-navi.jp

参考資料:株式会社 とらうべ