松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

睡眠負債の恐怖を科学する

 

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 誰しも他人の睡眠時間を余り気にした事が無いと思いますが、あえて気にするとして一体どれくらい睡眠に時間を割いているのでしょうか・・・。1日24時間という限られた時間の中で、やらなければいけないことが山積している。だから、睡眠時間を犠牲にするのはやむをえない。とにかくそんなふうに思っている人は、それなりにいると思います。日本人独特の国民性というか、勤勉な民族というか、睡眠時間を削って何かに励むことを美徳のように捉え、寝る間も惜しんで仕事や勉強をすることが、できる人間のスタンダードだと考えられているようです。しかし、それが逆に、体調をガタガタにするだけでなく、仕事の成果さえも台無しにしてしまっていたとしたら怖いですよね・・・。

そこで今回は、そんな睡眠に対しての正しい知識について考えて見たいと思います。ところで最近よく耳にする睡眠負債というのがあります。この睡眠負債は、かなりヤバく下手をすれば、取り返しのつかない結果をもたらす事もあるそうです。そこで健康も維持しながら、尚且つ仕事でも成果を上げるための最適な睡眠時間とはいったいどんなのでしょうか・・・?

 

命取りに成りかねない恐ろしい睡眠不足

 人は一定の睡眠時間を必要としており、それより睡眠時間が短ければ、足りない分がたまる。つまりは睡眠負債として眠りの借金が生じる事になる訳です。この睡眠負債がたまると、脳や身体にさまざまな機能劣化の症状が現れることを今から約40年ほど前の段階で専門家達は、既にわかっていたようです・・・。今では、睡眠負債という言葉は先進国をはじめ一般的にもよく使われる様になってきました。そもそも、睡眠不足と睡眠負債はどう違うののでしょうか?たとえば、金銭問題に置き換えた場合、手持ちのお金が足りず、借りをつくるものの、すぐに返済できる状態が「不足」と解釈し、借金に次ぐ借金で、借りがどんどん膨らみ、返す宛ても無く、にっちもさっちもいかなくなるのが「負債」と考えます。

 

睡眠負債に陥る根本的原因とは

 睡眠負債は、まず睡眠不足が積み重なり、そのうち慢性化してしまうことで、睡眠負債に陥る事は、ここまでで何となく分かつたかと思います。現在では、睡眠不足の蓄積が、がん、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、更には、うつ病などの精神疾患、認知症など、さまざまな発症リスクを高めることが、各方面の研究結果から明らかになっているようです。従って睡眠負債の増大を防ぐには、生活習慣の見直しが急務なのです。

 

6時間睡眠でも少しずつ劣化する

 睡眠不足は、自分では気づかないうちに溜まっていることを示すこんな実験結果もあります。某アメリカの大学で研究チームが「6時間睡眠を2週間続けると、集中力や注意力は2日徹夜した状態とほぼ同じレベルまで衰える・・・。」という結果が発表されているそうです。ふた晩徹夜をすると、疲れや眠気で頭が働かないという感じをはっきり自覚できますね。ところが、この実験で6時間睡眠を2週間続けたグループは、自分の疲労やパフォーマンスの劣化を自覚できなかったのです。

とにかく自分でも気づかないうちに蓄積されていく、それが睡眠負債の怖さなのです。知らず知らずのうちに借金が雪だるま式に増え、気づいた時にはどうしようもないほどにまで膨らんでしまう。そうなると精神的にも追いつめられ、身も心も破綻しかねません。

 

自分は大丈夫と思い込むのは危険

 自分は毎日6時間は睡眠をとっているので大丈夫と思い込んでいる人が中にはいると思いますが、それって本当に大丈夫でしょうか。生理的に身体が必要とする睡眠時間は人によってそれぞれですから、一概に6時間が少なすぎるとはいいきれませんが、ミスや事故、取り返しのつかない失敗は、危ういという自覚症状がないときにこそ起こりやすいのです。長距離トラック運転手や深夜バス運転手による居眠り事故なども、不規則な勤務体制による慢性的な睡眠不足が原因で起きることがしばしば事件になっています。そして海外でも古くは、チェルノブイリ原発事故、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故なども、職員の睡眠不足が関係していたといわれているそうです。要するに人は一定の睡眠時間を必要としている。

 

睡眠時間7時間がターニングポイント

 アメリカの棒大学研究チームが、保険会社とアメリカがん協会の協力のもと、110万人を対象にして行なった疫学調査の結果を発表したことがあったそうです。これによると、アメリカにおける平均的な睡眠時間は男女とも7.5時間という結果との事でした。また、6年間に及ぶ追跡調査を行い、睡眠時間と死亡率の関係も調べています。それによると、最も死亡率が低かったのは、睡眠時間が約7時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人たちだったことがわかったのです。

 

最後に

 睡眠時間が短い人、たとえば3時間睡眠の人たちの場合、死亡率は1.3倍ほど高かいそうです。一方、7時間より睡眠時間が長い人もまた、死亡率が上がっているという結果とのことでした。今まで僕は、少しでも永く起きて世の中の動きを感じていたいと思っていましたが、早死にしてしまうなら本末転倒です。これからは、極力睡眠時間を摂る様にしたいと思います。恐るべし睡眠負債・・・。