松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

社員がいきなり辞める引き金

 

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 働き方改革や雇用の見直しそれに今の売り手市場の就職事情・・・。どう考えても雇用する側には、厳しい環境と言えるものばかりです。特に規模のさほど大きくないところなどは、社員がいなくなり下手をすれば廃業に追い込まれたりしかねません。現にそういう企業も実際に出てきているようです。いつまでも「働かしてあげている」というスタンスでいる会社は今の世の中からどんどん取り残され、新しい時代となる「令和」では、更にシビアな雇用事情の中で存続を強いられる事になります・・・。そこで今回は、そんな働く側がいきなり辞めたくなる心情について考えて見ることにしました。

 

いきなりの辞職は誰のせい?

 社員の辞職は決して雇用側にしてみれば、楽しいものではありません。特に予期せぬものであった場合はなおさらでしょう。そもそも普段からその社員は満足しているように見えたり、仕事ぶりも問題なかったりと、上司や同僚からも信頼され、転職を考えている気配や明確なサインも窺い知れなかった。そんな社員が、いきなり辞めてしまう訳です。それでは、一体全体何が社員の辞職を決断させたのでしょうか・・・。

 

成長の余地がない職場だと感じた瞬間

 満足度がいくら高い社員であっても、出世の見込みのないポジションにしばらく留められれば向上心のある社員は、会社を去っていくでしょう。社員が辞める一番の理由はキャリアの行き詰まりで、それが数か月後に起きるのか、数年後かは、社員の辛抱強さによって変わるとされています。ひとつの企業で10年間にわたり複数のポジションを経験したものの、ここ5年間は同じ役職に就いている社員は、今のところは満足しているかもしれませんが、最終的には成長や前進の可能性がある新たな職を探すことになるでしょう・・・。

このような事態を避けるためには、社員の成長が単に昇進という形だけで起きないようにすることが大切だと考えられます。社員がスキルを上達させ、リーダーシップ能力を磨き、追加の責務を担う機会を与えることが雇用側としての責務だと考えるべきです。これにより社員の仕事に対するエンゲージメント(会社に対しての愛着心や思い入れ)を保持し、停滞感を緩和できるのではないでしょうか・・・。

 

会社都合による社内環境の変化

 経営陣の思惑、部署内の人間関係、企業方針などの変化により、それまで満足していた社員がその変化に順応できず離職する可能性は常にあり得ます。変化の後に若干の適応期間が必要なことは勿論ありますが、社員の中にはいくら時間をかけても完全に適応できない人もいるはずです。そうなると変化になじめない社員は、必然的に別の職を探し始めることになるのです・・・。また、上層部からのチーム編成などの人事変更は、社員に対する影響が最も大きいのです。一般的に、同じ関係にある状態が長ければ長いほど、社員は変化を受け入れ難くなるものです。従って人事の変更には社員が納得のいく変化の理由、そしてその変化のもたらす将来像を明確にすることが大切なのです。そして社員ひとりひとりの適正を見極めアドバイスやリソースを提供し、社員が変化に適応できるような体制作りに勤めるべきだと思います。

 

問答無用で柔軟性が無い社風

 近年、勤務時間のフレキシビリティーは、社員にとって特に優先度の高い条件となってきています。しかしほとんどの企業では、依然として朝9時から夕方5時の勤務時間にこだわっています。このように融通の利かない従来型の勤務スタイルは、現代の優秀な社員には馴染まない傾向にあります・・・。そんな退職を希望する社員は、遠隔勤務制度やフレキシブルな勤務時間の導入をする企業が増えていることに注目し、社員も常に情報収集しているものと考えるべきでしょう。現状にどんなに満足していても、勤務時間の柔軟性向上を求めて転職する社員はこれからもっと増えてくると考えられます。

 

最後に

 そしてやはり行き着くところは、「社員への評価」です。評価は、社員の満足度維持に大きな役割を果たします。そして社員は、自分の働きが評価されており、自分の貢献が気付かれずに終わることがないと感じる必要があるのです。上司が口を閉ざして入れば、部下は自分が尊重されていないと感じるはずです。そうなると最後は、他の仕事を探し始めるきっかけとなり得るのです。社員に対する評価は、誰にでも当てはまるような内容にならないことがポイントです。そのような評価は、利益よりも害の方が大きくなる恐れがあるからなのです。

社員は、大小に関わらず評価を正しく受けることを強く望んでいます。小さな成果をたびたび称賛する一方で、大きなプロジェクトに対する貢献を見過ごしてしまうと、その時点で社員への矛盾したメッセージとなります・・・。小さな仕事に対する「よくやった」は、より大きな仕事に対する賞賛よりもずっと重要度は低いものです。最も効果的なのは、特定の個人、そして特定の成果に合わせた偽りのない評価でしょう。評価の方法には、公の場での表彰から、本人だけに対する称賛の言葉まで、さまざまなものがあります。とにかく、これらの危険なサインに注意を払い、正しい形で問題に対処すれば、社員の満足度維持と離職防止に大きな効果が望めるのではないでしょうか。