松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

優良企業が考える雇いたくなる人とは

 

f:id:rjmatsumura:20181030125641j:plain

  今朝ニュースをチェックしていたら、厚生労働省が昨日29に日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.60倍で、前月から0.01ポイント上昇しなんと44年4カ月ぶりの高水準となったそうです。僕も知らなかったのですが、有効求人倍率というのは、全国のハローワークで仕事を探す人1人に何件の求人があるかを示すものだそうです。そして今回発表された正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍で、前の月から0.01ポイント上昇し、過去最高となったと言う訳です・・・。企業が優秀な人材を好待遇で囲い込む為に、正社員採用を増やしていることが背景にあると政府は見ているようです。そこで今回は、そんな起業と雇用事情について調べてみることにしました。

 

いまさら聞けない企業の採用の基準

 企業は常に「優秀な人材」を採用することに一生懸命です。そして今も学歴をひとつの物差しとして使っている企業がまだまだ多いというのが現実でしょう。また、優秀な人材の条件は、企業によって微妙に異なっているようです。たとえば、A社から内定を得られたのに、B社の内定は得られなかった人がいれば、B社の内定を得たが、A社には縁がなかった・・・。このような例は就活現場では頻繁にあるようです。そして、こうした採用結果が企業によって、なぜまちまちに起こるのかというと、調べていくと、そもそも求める人物像が、企業によって異なるからだと考えられます。たいていの場合、企業が求める人物像は、主体的に行動し、何にでもチャレンジできる人とか、コミュニケーション力があり、問題解決力がある人といった内容が、主な募集要項でしょう。しかし、本当のところはどうなのでしょうか・・・。

 

企業が求める優秀な人材と求人事情

 まず最初に企業が決めなくてはいけないのが採用人数です。前述にも書きましたが、今は売り手市場の為、どの企業も必要採用人数の確保に苦労しているようです。求める人物像を決めて、ピッタリの求人だけを採用する事にこだわっていたら、人数が確保できないということなりかねないのです。人気企業は別として、多くの企業は、恐らくどこかで妥協をしているのでしょう。多くの企業が求める人物像の中でも、絶対にはずせないMUST要件(基本要件)と、あったらよいWANT要件(魅力要件)とで、実際には分けているようです。なので、公表された企業側が求める人物像の全てを満たしていなくても、どれか満たされていれば、可能性はある・・・。くらいに考えてよいと思います。あと、気になるのが、公表している求人要項と実際に企業が求める人物像の微妙なズレです。そもそも求める人物像がしっかり練られている企業がどれだけあるかという事です。調べてみると新卒社員の採用の場合、基本的に総合職採用が多く、誰がどんな職種につくかわからないという特性があるようです。本来は職種によって適性はだいぶ変わってくるのですが、採用してから配属を決めていく為に、とりあえずどんなところでも活躍できそうな基準を軸に、非常にあいまいな人物像を設定しているようです。

 

どこでも通用する人材を求める企業

 一方、採用レベルが低い企業は、理念が適当か、もしくはビジョンがありません。本当に必要な人材が見えていない為、未来ではなく、今たまたま活躍が目立つ人材のイメージや一般的に好まれる人物のイメージを重ねあわせ、コミュニケーション能力がある人や、情熱のある人、もしくは積極的な人、というような、どこでも活躍できそうな、よくあるマルチプレイヤーをイメージとして作ってしまいます。そもそも冷静に考えてみると「コミュニケーション能力がある人」「情熱のある人」「積極的な人」というのは、どの企業でも求める鉄板人物像ですが、残念ながらいずれも能力を測りにくく、何を根拠に能力があると判断するのか、なかなか難しいものです。実際には、コミュニケーション能力は普通に会話が成立するレベルがあれば十分で、それよりも複雑で煩雑な事務をミスなくこなすことができる人材が必要なはずなのに、本当に必要な人物像が練られていない為に、求める人物像では、ただただコミュニケーション能力がある人・・・。と公表してしまっている事が多いようです・・・。

 

経営陣と現場のズレ

 長く歴史がある企業に多い傾向として、経営陣は未来の経営に対する危機感が強く、時代の変化に合わせられる強い人材を切実に求め、挑戦心を持つ人材や新しい価値観を持つ人材などという人物像を掲げ、それに従って人事は求める人物像を公表します。しかし現場はどちらかというと保守的で、挑戦心や新しい価値観より協調性や真面目さを重視する場合が多いのが一般的なようです。経営陣と現場のズレが生じる企業の背景には、経営陣の考えが現場まで浸透しきれていないことや、今の現場には、いない新しい人材を採用したいのにもかかわらず、経営陣が採用に対する関わりを疎かにし、現場に採用を任せきってしまっていることが原因のようです。

 

社員より優秀すぎる人材はつなぎとめられない

 新卒採用で多くの人事は、企業に今いる人材より能力が高い優秀な人材を入れられれば、組織を活性化させて、組織力を向上させられると考えています。しかし同時に、その企業に今いる人材の能力を超える素質を持つ新卒を、選考中も入社後も、企業に長い間つなぎとめていくのが本当に難しいそうです。しかし、かと言って採用する人材レベルを落としたいわけではないので、あえてリアルに求めている人物像を公表するのではなく、より優秀な人物像を掲げ、最終的には、ちょっと背伸びをして届く範囲の人材を採用したいという思惑があったりするのです。よって、優秀すぎて選考されないというケースも場合によってはあるかも知れませんね・・・。

 

最終的には面接官の判断

 結果的に、いくら求める人物像を固めても、なかなか面接官がその通りに判断してくれないのも事実だそうです・・・。面接官に選ばれるような社員の多くは、それなりのポジションにいる人なので、自分の考えや経験に自信を持っている人が多く、いくら人事が人物像を設定しても、独自の考えや経験を重視して判断することが多々あります。論理的に考えた選考基準が、その面接官の独自基準で一気に吹き飛ぶことがあるのです。とにかくその面接官の経験から来る思い込みが判断基準となっていて、場合によってはそこに論理的な根拠はほぼないという事もありえてしまうのです。

 

選考基準があいまいすぎて通過しない

 いずれにしても、公表している求める人物像は、嘘ではないけれど完璧に正確なものでもないということです。就活側の立場から見れば、無駄な活動を少しでもなくしたいので、企業側が求める人物像を明確に設定し、どんな人が受かるのかを分かりやすくしてほしい、という要望はあるでしょう。企業側もできる限りその努力をすべきだと思うのですが、求める人物像の正確な明確化はかなり難しく、労力をかけて設定したところで、その設定に無い判断基準が多く生まれてしまうということはあります。とにかく言葉で書かれていることを鵜呑みにせず、まずは直接、企業に足を運ぶことを重視した方がいいという事です。企業の価値観や風土について、直接感じ取ることを積極的にしたほうがいいと思います。

 

最後に

実際いくらスキルを身につけても、自分に合った企業に就職するには、その企業とまずは出会わなければ、話になりません。求める人物像が自分と合致し、能力を最大限発揮できる企業と出会う為に、幅広く企業に興味を持って直接足を運ぶことを、習慣付けましょう。