松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

セールスマンを困らせる車両の限界値引きに迫る

 

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 僕もおかげさまで、輸入オートバイを販売するようになって12年目に入りました。それにしてもこの業界は、ホント様々なお客さんがいます。接客業としては、かれこれ30年は関わっているかもしれませんね・・・。しかしこの車両販売というのは、物販や飲食業と違い独特の世界観を持っています。

 

販売してからの付き合いが永く大切

 それの代表としては、なんといっても販売してからのお付き合いがとても永いという点です。普通は、売ったら終わりで、仮にお得意様になったとしても車販売店のようなお客との距離感はあまりない様な気がします。それに商品の単価が、大きいだけに値引きのリクエストも気合の入り方が違います。中には、1円も値切らず「じゃ~それでお願いします・・・。」というお客さんもいますが、たいていの場合は、「それで最終的にどれくらいの値引きになりますか・・・。」というのが普通でしょう。双方歩み寄ったとこで成立する商談は問題ないのですが、かなり頑張って食い下がってくる兵のお客さんもいます。そこで今回は、セールスマン泣かせというか、車業界の限界値引きとはどんな物なのか特別に全部ではありませんが、ザッと紹介したいと思います。

 

下取り額と値引きのからくり

 今は、たいていの商品が自宅でパソコンやスマートフォンを使って購入でき、しかも翌日には自宅まで配達してもらえる時代です。ホント便利になりました・・・。一般的に新車を買う時は取扱いディーラーまで出向き、そしてセールスマンと膝を突き合わせて商談して値引きを引き出さなければならないことを面倒に思う人もいるかもしれません。ひょっとしたら最近新車がなかなか売れない背景にはこのような面倒なことがひとつの大きな原因かも知れませんね。

 

LINEやチャットで車を買う時代に

 アメリカではすでに、ディーラーの専属担当者とチャットでの商談が可能だそうです。インターネットでのサイトも沢山あり地元密着の値引き比較サイトも充実し、そのまま気に入ったクルマの扱いディーラーとチャットでの商談も可能となっているのです。さらに凄いのが購入車両の自宅までのデリバリーサービスがあるとのことです。まさにテイクアウトのピザさながらです。日本でもオートバイに関していえば結構メールやチャットLINEなんかで商談を成立させ書類を郵送でやり取りし、そして配送会社に委託するか、直接持って行きます。ただ、車の場合、アメリカとは新車の登録制度などが異なることもあり、なかなか難しいところではありませけどね・・・。

 

商談時いきなり最大値引きを提示してもらいたい

 実際セールスマンの商売のスタイルは、十人十色です。セールスによっては、駆け引きが嫌いなので、一気に限界まで値引きますよ・・・。といって数十万円引きなどと驚きの値引き額を提示してくるケースもあるようですが、こんな時は、何らかのからくりがあると考えるべきでしょう。ベテランセールスマンほど、実際の値引きより多く出ているように、値引きを膨らませて見せる小技を持っているのです。たとえば、下取り車が低年式なのに、海外バイヤーなどに人気の高い車種で想定外の査定額がつくとする。しかし、査定額を控え目に提示し、その差額を値引き額に上乗せして見せることなどのトリックを仕掛ける。一発提示の大幅値引きには、必ず仕掛けがあると思いましょう。

 

ディーラーのなかで値引きは純粋なダメージ

 値引きの原資はディーラーの利益分を削って算出されるのが原則です。そのため僕達が「値引き」と呼んでいるものは、立場を変えてディーラーやセールスマンから見れば損金、即ちメーカー希望小売価格又は、車両本体価格の額面通り販売したら得られた利益より値引きしたためいくら損した・・・。という扱いとなるのです。たとえば、新車を販売したときに注文書などと一緒に「損金計算書」という書類をつけるとのことがあります。新車の値引きとは、車両本体価格からだけでなく、オプション装着額などからも値引きが行われます。要は、どこからいくら値引きしたのかを損金計算書という書類にまとめるのです。

 

薄利で売りまくるセールスは有能ではない

 販売する側は値引きを損金と見ているので、本心から限界値引き額を初回から提示するセールスマンは、まずいないでしょう。いたとしたら単純に損金を拡大しているので、会社から見れば優秀なセールスマンとはいえません。なので車業界では、薄利多売でガンガン売りまくるカリスマセールスマンはいらないのです。どちらかと言えば、販売台数はそこそこでも、しっかり利益確保をしてくれるセールスマンが、数人いればいいのです。薄利多売で売りまくったあげく、納車準備などが間に合わず、周囲のセールスマンの販売活動を中断させたり、ミスを誘発し大きなペナルティーを支払うなんてこともあります・・・。したがって、店舗全体で見れば非常に販売効率が悪いという事になるのです。

 

古きよき時代は遠い昔のお話

 一昔前、新車がとにかく売れまくったバブル経済期は、薄利多売でも新車を売りまくった花形セールスマンがもてはやされていましたが、バブル経済崩壊後はそんな仕事も閑職にまわされたというセールスマンも沢山いたと思います。最近では、セールスマンに粗利を意識させた販売活動をするように仕向けるディーラーも増えて来ているようです。そのため利幅の少ないコンパクトカー5台よりは、高収益車種などバランスよく5台販売したセールスマンのほうが同じ5台でも評価が高くなるという訳です・・・。

 

最後に

 今現在、セールスマンの人事評価は販売台数というよりも、粗利という側面の方が評価基準はより高いようです。つまり、収益面で会社にどれだけ貢献しているのか?ということなのです。そのため新車販売は必ずしもトップクラスではなくても、保険契約数が多かったり、車検入庫数が多いといった面で評価されるセールスマンも今は増えつつあります。なので新車購入で正社員であるセールスマンがエリートとして生き残るには、損金をできるだけ少なくするためという側面も大きいので、初回から一発提示で真の限界値引きが提示されることは、よほどの事情たとえば、ノルマが足りずどうしてもすぐ目の前の1台を受注したいなど・・・。がない限りは、期待できないのが現状なのです。

なので、車を安く買うには、エリートではなくお客から簡単に押し切られるセールスを見つける。それとやはり、決算月や年度末、ノルマを抱えているセールスを捕まえる。後、お客様にとって間違った情報をセールスマンが、発信した時に見逃さず指摘し貸しにしてしまう。要は、すべて値引きの材料にしてしまうのです。以上で、セールスマンを困らせ、お客様にとって有利な値引きを引き出せる方法です。少なくとも僕には抜群に効果的です。