松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

自分も何時かお世話になるかも

 

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 最近会社から歯周病疾患検診を受診しなさいと連絡がありました。どうやら福利厚生の中に健康診断同様に含まれているようです。僕自身歯科医に定期健診は、定期的に行っているのでわざわざな感じがして正直チョッと面倒な気がします・・・。それでも絶対に受けなさいと言う事なので会社の近所で探して受診したいと思います。幸い僕は今まで歯周病や歯槽膿漏といった診断は、された事はありません。しかし口の中の事なので油断は、禁物です。将来高齢者になり歯磨きも、ままならなくなったらたちまち歯周病になるんじゃないでしょうか?そこで今回は、そんなお口の中のリスクについてリアルに考えてみる事にしました。

魅惑のインプラント治療とそのリスク

歯を失った患者にとって、インプラント治療は理想であり魅力的に映るものです。チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込むので、入れ歯よりも強く噛めるし、見た目が自然まさに言う事ありません。しかしながら、インプラント治療は自費診療なので、1歯あたり約30万~70万円と高額な費用が必要となります。中には一生使えると聞いて大枚を叩く人もいます。以前も紹介しましたが、500万円くらいかけて直されるお客様もいるくらいですからね・・・。ところが、恐ろしいことにせっかく入れた歯が何年か経過したあとに、それらが全てムダになる事態が起きているそうです・・・。

 

 

世界中で問題になっている歯周病

今年5月、スイスに本部を置く、FDI(国際歯科連盟)が、世界各国から24人の歯科医を招聘したそうです。テーマはインプラント周囲炎です。話によると、いま、世界中でインプラントの歯周病が大問題になっているというのです。インプラント周囲炎は、現在のところ根本的な治療法がないそうです。しかも最悪なのが進行すると、インプラントを撤去するしか方法がないそうです。年内にはFDIから診断基準などが出るそうですが、インプラント治療を行なっている歯科医にもこの“病気”を理解していないドクターが多く、患者にも情報が伝わっていないのが、現状だそうです。

 

 

お口のヌルヌルは排水溝のヌルヌルと同じ?

インプラント周囲炎は、細菌感染や過重負担の結果、インプラント周囲の骨が溶ける症状です。怖いのが、自覚症状がないまま進行するのが特徴で、悪化するとインプラントを支える骨がなくなってしまうのです。原因としては、歯周病と同じくバイオフィルムによる感染が有力視されています。予防方法は、専門性の高い施設での定期的なメンテナンスと、患者自身による毎日のセルフケアしかないようですね・・・。

 

バイオフィルムとは

バイオフィルムはお口の中の様々な細菌が手を取り合い、ぬるぬるした膜状のバリアを張って状態をいいます。まだ聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は排水溝のぬるぬるや、数日水の入ってた花瓶の内側、浴槽表面など、私たちの身の回りにはたくさんのバイオフィルムが存在しています。あなたのお口の中にも、このような、ぬるぬるした細菌のかたまり「バイオフィルム」が、歯の表面や歯周ポケットにへばりついているのです。

お口の中のバイオフィルムをそのままにしておくと歯ぐきに炎症につながります。正常な歯ぐきは健康なピンク色で引き締まった状態ですが、炎症がおこると、見た目が赤く変化し、腫れた状態になります。バイオフィルムには虫歯の原因にもなる細菌も含まれています。歯肉炎はそのままにしておくと、さらに深刻な歯ぐきの病気歯周病に進行してしまう可能性があります。バイオフィルムは歯ブラシだけでは届かない、歯の隙間や、歯周ポケットの中にまで潜んでいます。バイオフィルムをしっかり退治するには、歯ブラシなどによる物理的な除去と、マウスウォッシュによる化学的な殺菌習慣が効果的です。

 

 

日本では未知数のインプラント周囲炎

感染を防ぐには、インプラントが検査しやすい上部構造であること、そして人工歯が取り外し可能なネジ止めであることが重要だそうです。歯科治療の先進国・スウェーデンでは、インプラント周囲炎の発生率が約15%と報告されているそうです。因みに日本では正確な実態を把握できていないのが現実だといいます。

 

 

高齢者のインプラントは諸刃の剣

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インプラントには様々な種類、メーカーがあり、優れたものから粗悪なものまでピンキリだそうです。選択を間違えると、悲惨な老後となる可能性があることを肝に銘じましょう。インプラントの構造は、大きく二つに分かれます。

 

ワンピース型

フィクスチャーと呼ばれるチタン製人工歯根と人工歯を固定するアバットメント(連結部)が一体となっているそうです。製造販売元のA社は、「オペが一回で完了、時間と治療期間の短縮、テクニカルエラーとコストの軽減」と宣伝しています。費用も10万円台からあり、格安インプラント・クリニックで多く使用されているようです。いわゆる早くて簡単そして安いタイプというヤツです。

 

ツーピース型

フィクスチャーとアバットメントが独立した構造になっています。手術は2回に分けて行なわれ、3~6か月の時間が必要だそうです。これは遅くて面倒でおまけに高いと言えます。インプラント治療のある専門家はこう指摘しています。「ワンピース型は、過大な力が加わった時、フィクスチャーに直接負荷がかかるので、最悪の場合、フィクスチャー本体が壊れたり、骨との結合がなくなって、撤去しなければなりません。これに対してツーピース型は、過大な力に対してアバットメントが安全弁として壊れ、一番大事な部品であるフィクスチャーと、周囲組織を守ります」との事です。

 

 

最後に

重要な点は、高齢者になった時のリスクです。認知症になって、自分で歯の手入れができないと、インプラントが凶器になる可能性があるのです。たとえば、認知症の高齢者は、ワンピース型の土台だけが飛び出して、反対側の歯茎を突き刺してしまい、血みどろになってしまう等のケースもあります。逆にツーピース型なら、アバットメントを外すだけで解決できるので、こんな悲惨なことは起きません・・・。インプラント治療は、手術が終わってから始まると言うそうです。なのでもしインプラントを考えるのであれば、慎重に考えて良い専門医を見つけましょう。また、今現在インプラントをしていて専門的なメンテナンスを受けていないとしたら、インプラントを失う可能性があります。なのですぐに専門施設に相談するのが望ましいでしょう。

 

参考資料:週刊ポスト『やってはいけない歯科治療』著者で、“歯科業界に最も嫌われるジャーナリスト”の異名を取る岩澤倫彦氏