松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

時給制に潜む心を壊す種

 

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 昨日は、ギリギリもった雨も今日はさすがに堪えきれず、京都の町はどしゃぶり状態となりました。それにトレーニングで二日間店を空けた為、仕事とメールが思いのほか沢山たまっていたのです・・・。幸い雨のおかげで来店客が少なかったのもあり、夕方約束していた商談までには、溜まっていた仕事を何とか終わらせる事ができました。さて今回は、働いていれば、必ず貰える「給料制」についてスポットを当ててみました。人は勤めるとその対価として必ず賃金が貰えるものです。また体系も年俸から時給に至までさまざまです。その中でもアルバイトやパート等の給料体制に多い時給について調べてみることにしました。

 

時給制は健康によくない説

いきなりですが時給制は、人の心をむしばむかもしれない・・・。というのが、科学的にその可能性を示したそうです。何年か前に、アメリカの有名大学が給与システムを新しいソフトウェアに切り替えた時の話です・・・。教授職は当然、時給制ではありません。にも関わらず、明細には、時間あたりの給与欄があったのだそうです。教授は好奇心に導かれるまま、大学側がどうやってその金額を弾き出したのかを調べたそうです。すると、教授である彼の時給は年収を2080、つまり(年)52週かける(週)40時間で割った数字だということがわかったのでした。そして、その数字のもつ意味は、自分の経済的価値を時間あたりの数字で表したものだったのでした。

 

自分の時間の経済的価値はいくら

 現在仕事をしていて自分の時間の経済的価値を強く自覚している人即ち、時は金なり・・・。と考える人は、一般的にそれほど強く認識していない人と比べて心理的ストレスをより感じ易く、ストレスの生理学的指標であるストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が高くなるという研究結果が出ているそうです・・・。

たとえば、高収入と職業的名声を享受(きょうじゅ)している弁護士の多くは、自分のキャリアに満足していないそうです。ごく一般的弁護士などの場合、クライアント(相談者)に、相談1時間あたりいくら・・・。といった課金の仕方をよくします。そして、そのように時間を 彼らは、支払い請求可能な単位として極端に意識しているからだといいます。なので、彼ら弁護士は友人と食事をしている時や子どものサッカーの試合でコーチをしている時など、仕事をしていない時にも、その同じ時間にもし仕事をしていたら・・・。と頭に浮かべ、どれだけの収入を 犠牲にしているか・・・。と考えてしまうのだそうです。

 

時は金なり Time is money

 アメリカの100ドル紙幣でもお馴染みのベンジャミン・フランクリンの格言に、時は金なり・・・。を証明する為、ある研究機関で約100人の被験者を募り、架空の会社で2時間働いてもらって給与を支払うという実験をしたそうです。被験者は2つのグループに分けられ、うち50人は仕事を始める前に、「2時間で57.50ドルの報酬を得る」として自分の給与が1分あたりいくらになるかを計算させられたそうです。

残りの50人はまったく同じ仕事をしたが、事前に1分あたりの給与を計算するという指示は与えられなかったそうです。つまり、どちらのグループも同じ2時間の作業に対して同じ給与を保証されていたにもかかわらず、最初のグループのほうは自分が1分あたりいくら稼いでいるのかという意識を最初から持っていたということです・・・。

 

心理的影響を考える

 つまり、この意識の生理的・心理的影響を調べる為、研究機関は被験者一人ひとりの唾液腺のコルチゾール値を2時間の作業の前後にそれぞれ測定したそうです。その結果は、憂慮(ゆうりょ)すべきもでした。時は金なりグループのコルチゾール値は25%近くも高く、実験中に2度の休憩を与えられて芸術を鑑賞したり音楽を聴いたりすることが許されている間にも、あまり楽しいと感じていないようだったのです。即ち、コルチゾールはありとあらゆるマイナスの身体的影響にかかわっているという訳なのです。通常は4%以上10%未満のようなので25%近くの上昇という数字は、とても深刻な健康上の影響だと考えられるのです。要するに、非正規労働者が単発で仕事を請け負ういわゆるギグエコノミーの隆盛を考えると、今回の実験結果はとりわけ悩ましいと考えられます。即ち、ギグエコノミーがもたらすストレス誘発的な側面は、人類全体の健康に影響を与える可能性がおおいにあると研究では結論づけているのです。

ギグエコノミー Gig Economy は、インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のことをいいます。

 

時給計算する人は人生を楽しめない

 現代では多くの人が常に、自分の時間の経済的価値を計算していると考えられます。そして、時間と金額を関連づけて考える人は、人生を楽しめていないことがわかります。そして彼らには忍耐力がなくなり、音楽や沈む夕陽を楽しむことができなくなっていくのです。自分の子どもにサッカーを教える時間が、収入いくら分になるかを計算しても幸せにはなれないはずなのに・・・。

 

最後に

 多くの企業、とくに大手企業の意識は、どれだけ二酸化炭素を削減できたかとか、どれだけ梱包材量を省けたかに向かいがちです。たしかに地球環境保全に対する努力も必要ですが、少なくとも同じくらい、人のことも気にするべきではないでしょうか・・・。雇用主が、時は金なりの思考をやわらげ、正規雇用者でなくとも、時給ベースではない制度も検討してもいいと思います。僕達は仕事をしている限り実は、まったく健康的ではないのかもしれません。冷静に考えると非常に過密なスケジュールの中で生活を送っているのかもしれません。従って、自分の時間の金銭的価値を常に考えている状態は、絶対体によくないのでます。因みに、時計をあまり気にしない人たちは、非常に長生きしている、という結果も出ていたそうです。