松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

マスク争奪戦の戦犯に迫る

 

f:id:rjmatsumura:20200414180311j:plain

 現在僕たちを恐怖に陥れているCOVID-19(新型コロナウイルス)ですが、その脅威をはるかに上回るパンデミックが昔あった事を知っていましたか?それは今から約100年前に流行した「スペイン風邪」というものでした。当時世界で5億人が感染したとされています。1918年に日本に上陸し、その終息まで丸2年を費やした100年前のパンデミック・スペイン風邪では、当時の日本の総人口約5600万人に対し45万人が死亡するという大惨事だったそうです。

その頃は現代のように国が主導して緊急事態宣言やそれに類する法律の発令をすることは無かったそうです。要因のひとつとしては、当時平均寿命が44~45歳と現在の約半分強しかなかったことが挙げられます。それと結核を筆頭とした感染症による死などは、もはや当たり前の光景であり、おまけに日本人や日本政府全体の公衆衛生に対する意識が今よりもかなり低かったことが考えられます。もうひとつは、日本が第1次大戦に連合国軍側として参戦し、ロシア革命でロシアが協商から離脱した1918年以降、日本がロシア極東地域に干渉戦争を行っている最中だったこと(シベリア出兵、~1922年)があげられます。

つまり日本はスペイン風邪というパンデミックの最中に、戦時だったので当時の政府は資金をそちらに使わざるを得なくなっていたのでした。加えてスペイン風邪終息後間もない1923年には関東大震災が起こり帝都が壊滅状態となり、日本政府は東京圏の復興に全資源を集中させざるを得なくなっていたのです。このように当時スペイン風邪は激動の時代に日本を襲ったパンデミックだったのでした。

 

マスクが買えない仕組み

 COVID-19(新型コロナウイルス)は、無症状でも他人に感染させるリスクが指摘されるなか、日本はもちろんのこと世界各国で「マスク不足」が深刻化しているようです。そのせいか世界中でマスクの強奪や盗難事件まで発生しているとのことです。まさに前代未聞のマスク戦争といってよいでしょう。つい最近の話ですが、日本政府が発表した「1世帯あたり2枚」の布マスクを郵送することに対して、安倍首相をアベガ-なる人たちを中心に激しい中傷や反発が起きたり、「アベノマスク」など揶揄する言葉も取り沙汰されるいます。

 

僕たちが国のために何をすべきか

 これについては確かに諸説あると思いますが、ただこんな意見が僕の興味を引きました…。「中身のないウソを国民に広げるためにプロパガンダが洗練されているファシズム国家や共産主義国家と違って、日本人の伝統的考えである良い仕事をすればみんな分かってくれる…。という政府・官僚の広報対策の不備が責められるのは、ある意味仕方がない。しかし、この布マスク2枚は国家の全体戦略のあくまで一部だということを考えるべきであろう…。現在コロナウイルス戦争という有事にある日本国民は、ジョン・F・ケネディ大統領の「国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」という名言を思い出すべきだ。特に悲しいのは、日本人同士がいがみ合うことである…。」僕たちは、代替え案も無いしそれが仮にあったとしても行使するすべもありません。だからと言ってネガティブな考えや行動をとってもよくなることは1ミリもないのです。なのでやはりしてはいけない事はせず、良識をもって正しい行動をとるべきだと改めて思いました。

 

問題は他国への生産依存

 マスク不足の原因として、つい最近まで世間をにぎわした転売屋やドラッグストアに行列する高齢者などがやり玉にあげられています。確かにそれが事実である部分もあるかもしれませんが、根本的原因はやはり中国もしくは中国に依存しすぎることが問題だと思います。因みにマスクについて少し調べたところ、新型コロナウイルスの感染が拡大する前、日本のマスクの年間生産・輸入量は約55億枚だったそうです。そのうち約44億枚が輸入品いわゆる大半が中国製で、国内の生産量は約11億枚しかなかったようです。つまり国産比率が20%程度なので、輸入が止まって国産だけで過去の需要を満たそうと思えば、これまでの5倍を生産しなければならないことは一目瞭然です。仮に政府の要請で国内各社が増産しても、5倍というのはかなり高いハードルではないでしょうか。

それに現在、ほとんどの国民がマスクを使用しているので、全国民の8割程度の1億人が毎日マスクを使用すれば、年間では365億枚と過去の需要の約7倍にも膨らみ、到底調達できないのも納得です。だから、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大が長期化するなか、日本政府が、病院などに医療用マスクを回すために再使用が可能な布マスクを我々国民に送付して、有効利用を要請するのはある意味、僕自身は、「それもそうだ」と感じています。

 

マスクがまさかの政治利用

 それより気になるのは、過去44億枚あった輸入マスクの行方です。フランスの通信社であるAFP通信などは、中国は医療用物資の輸出を制限している?などをニュースで報じているそうです。検証可能な数字はないようですが、現在の中国からの輸入は週に1000万枚程度ともいわれています。単純計算で年間5億枚程度で、過去の輸入量から比べれば、まさに雀の涙です。しかも、そのようにして事実上日本企業=日本国民から奪ったマスクを、中国側がマスク不足に苦しんでいる各国にもったいぶって売りつけるという政治利用を行っているとすれば本当にひどい話です。

たとえば、中国側は否定しているようですが、フランスには、マスク10億枚の供給と引き換えに、第5世代(5G)移動通信システムについて、中国の華為技術(ファーウェイ)の導入を求めたと伝えられています。思い起こせばCOVID-19(新型コロナウイルス)中国で拡大し始めた初期に日本からのマスクの寄贈を受けたにも関わらず、恩をあだで返す形をとられているような気がしてなりません。

 

最後に

 輸入依存で危険なのはマスクだけではありません。今世界的に品薄状態になっている人工呼吸器の約98%が輸入製品だそうです。その他の医療製品も輸入比率がどんどん高くなり、世界中で医療製品の取り合いが起こっているようです…。とにかくCOVID-19(新型コロナウイルス)感染症の広がりによる国境封鎖・都市封鎖などによって外国人を始めとする労働者の確保が難しくなっているほか、配送トラック・配送センターの業務にも大きな支障が出てくると予想されます。いずれにせよこんな状況は、一日も早く終息してほしいものです。もしそれが実現されなければ、本当に戦時の中で暮らすのと同じ境遇になるかもしれませんね…。