松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

寿命の限界は決まっている?

 

f:id:rjmatsumura:20200313182711j:plain

 それにしてもコロナウイルスが世界中を席巻しているのを見ていると思わずSFXの世界とリンクしてしまいます…。何というかバイオハザードみたいな感じとでもいうのか、意図的ではないにせよ本当に怖い話です。それでも初期に感染した人たちには順に回復しているようなのでまずはひと安心です。いずれにせよ一日も早くこの暗い世の中の雰囲気を払拭したいものですね…。さて今回は、ウイルスに感染せず病にかからなくとも人はある時期が来ると死んじゃいます。そうです寿命というやつです。この寿命ですが、どうやら限界がかなり明確になっているようです。そこで人間の寿命について少し興味が出てきたのでちょこっと調べてみることにしました。

さて、今では様々な分野で技術が進み、それに合わせるように医療技術も格段に進歩し、人間の寿命はどんどん延びる一方のようです。最近アマゾンプライムで「ポツンと一軒家」をよく見ているのですが、ほとんどが70歳代から90歳くらいまでかなりの高齢者が、ほとんど自給自足で元気に過ごされています。そんなのを見ていると少し憧れてしまいます…。それにしても100歳オーバーはいまや全然珍しくない年齢になりました。因みに2018年の平均寿命は男性が約81歳で、女性が約87歳だそうです。一昔前の1950年頃では男性は約50歳、女性約53歳だったらしいので、実に71年間に男性は31年、女性は34年も平均寿命を伸ばしたことになるのです。それに100歳以上の人口も増える一方のようで昨年2019年には100歳オーバーがなんと7万1274人だったといいます。高度成長期だった1963年ごろでは約150人だったらしいので、これも56年間に約465倍も増えた計算になるのです。この増え方はさすがにビビりますね…。しかも今は、遺伝子編集(ゲノム編集)技術により病気を遺伝子から治せる時代に入りつつあるといいます。いよいよ不死時代に突入ですね…?

 

人間の限界寿命とは

f:id:rjmatsumura:20200312160210j:plain

 そもそも人間の寿命はどんなに延びても最長で約115年だそうです。実はそんな研究結果が2016年にアメリカの研究チームが発表しているのです。根拠として日本、米国、英国などの人口統計データなどの解析を基にした結果その数字を導いたそうです。どうやら100歳以上の人たちの寿命が延びるペースが減速しつつあり、少なくとも過去20年の間に最高年齢の水準が一定になりつつあることが分かったからだとか…。その研究チーム曰く105歳以上の人は増えておらず、人間の寿命の限界、MAX115歳くらいだと考えられています。実際に、100歳以上が急増している日本といえども、これまで115歳を超えた人はほとんどいないのではないでしょうか。ただ世界に目を向けてみると正確な記録が残っている範囲で最も長生きした人は、1997年に122歳で亡くなったフランス人ジャンヌ・カルマンという女性だそうです。しかしながらこれは研究チーム曰く例外中の例外のようで今後カルマンさんを超える長寿があらわれる確率は極めて低く、でたとしてもせいぜい125歳が限界としています。それでも125歳は凄い…。

 

体にも保証期間がある

 前述したように急激な寿命の延長は公衆衛生や栄養の目まぐるしい変化により病気を寄せ付けなくなったことや、医療技術の向上により病気やケガをしても回復できるようになったからです。しかし、そうした長寿を支えている要因を除いた場合、本来定められた人間の寿命は江戸時代同様にずっと短く、50歳程度と想定されています。確かに昔に比べ不治の病は少なくなりましたからね…。因みに癌は、細胞分裂時にDNAの複製エラーが生じることで発生するとされています。人体にはそうしたエラーを防ぐさまざまな仕組みや、がん化した細胞を排除する免疫システムが備わっているようですが、それも、50歳前後になると劣化して、がんを防ぎきれなくなるそうです。つまり、人間は50歳前後になると死ぬためのツールの一つに癌あったともいえるのです。そうして神がかり的に寿命を制限してきたのかもしれません。また、人間を含む哺乳類はだいたいみんな心臓が15億回打てば死ぬという、生物学的考え方があるようです。それによると、体の大きさから予想される人サイズの動物の寿命は41・5歳となるのだとか…。つまり、生物学的には人間の体は42歳を過ぎると保証期間切れという理屈になります。

 

寿命のリミッター

 数が増え過ぎると食料争いなどが起きて集団としての人類が滅びてしまう…。という理屈はどうやら後付けのようです。そもそも理論的に人間の寿命は120歳くらいが限界、という声は昔からあったようで、それはヒトを構成している37兆個の細胞の分裂回数の限界が約50回で、この回数から考えられる寿命が120年だからといいます。調べてみると細胞の核にある染色体の末端にはDNAを守るテロメアと呼ばれるタンパク質があって細胞分裂のたびにそれが短くなり、それがなくなると染色体に異常が起きて死んでしまうというものです。というわけで、人類は37兆個の細胞からできていて、この37兆個の細胞が死ぬと数のうちであるヒトも死んでしまうということです。

 

2種類の死に方

 細胞には2種類の死に方があるといいます。外側からの衝撃などで死んでしまう壊死(えし)と老化した細胞やウイルス、放射線、ホルモンなどの刺激により機能が低下した細胞を細胞自身が殺してしまう自死(じし)です。因みに大昔、地球に生命が誕生して20億年近くは1倍体生物(大腸菌のような微生物)しかおらず、死の遺伝子は持ち合わせていなかったそうです。その後、自死の遺伝子を持つ生物があらわれ、それが遺伝子セットを2つもつ2倍体生物で、人類はその一員なのです。2培体生物のほとんどは人間のようにオスとメスの生殖によって子供を作るといいます。これを有性生殖(ゆうせいせいしょく)といいます。ここまでくるとかなり難しくなりますが、何とかぎりぎりわかる範囲で説明を続けてみます。

 

自然淘汰の仕組み

 まず、有性生殖では、オスとメスの遺伝子が混ざり合い多様な遺伝子セットを持つ子供が生まれます。これはさまざまな環境に適応できる子供が生まれるという点でメリットがあるそうですが、無性生殖とは違い複雑な遺伝子継承の作業が必要となるため、遺伝子の異常な組み合わせが出る可能性が高いということです。本来、異常な遺伝子を持つ子供は成長できずに死んでしまう可能性が高いですが、2倍体生物である人間は、染色体(遺伝子のセット)を2つもつため、片方に異常が生じても生存し生殖活動を行うことができる。そうすると異常な遺伝子を持つ細胞が子孫にどんどん蓄積され、やがて正常な細胞が作れなくなる子供が増えて人類そのものが絶滅する可能性があるそうです。そこで、不要な遺伝子を持つ細胞を後世に残さないようにサッサと自死させてしまうという仕組みが必要となり、それが即ち「自死」なのです。

 

最後に

 つまりは、人間は男と女という性とセックスという「生殖」を持ったことで、地球上で生き延びるのに都合の良い遺伝子を子孫に残せるようになった訳です。但しその代償として新たな「死」を背負ったということですね。無理やりまとめますと人はこの先、よほどのことがない限り、寿命の限界からは逃れられず、その壁はおそらくは120歳過ぎということになるということです。それは人生100年時代をリアルな現実と受け止め本気で100歳まで生き抜く心構えがいることを意味するのです。そうなるとやはり90歳くらいまでは働かないとダメかもしれませんね。恐ろしすぎる…。