松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

日本の最低賃金を考えてみる

 

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 最近、僕の住む亀岡市もここに来ていよいよ氷の世界のような寒さになってきました…。バイク通勤の僕としては身が凍る思いです。しかしながらバイクディーラーで働く以上やはり通勤は、バイクだ!とチョッとむきになってる自分もいます…。それにしても世の中ではどんどんコロナウイルスが猛威を振るいだし、京都も1日で100人を超えちゃいました。それといよいよ本格的に「緊急事態宣言」や「医療崩壊」というワードが紙面を踊るようになり現実味を帯びてきました。死亡者も徐々に増えだすなど不安の材料は後を絶ちません。そうなると当然のことながら、経済的にも厳しい社会生活をおくられている人は益々不安になるでしょう。そこで今回は、そんな厳しい社会人の現状を少し調べてみることにしました。
今の社会において、もちろんすべての企業がそうだと言いませんが、厳しい賃金で働いている環境の中には質の高い人材を安い賃金で働かせることで、経営者を怠慢にした日本企業の現状があるのではと感じさせられます。その結果、膨大な数の消えるべき中小企業が生き延びてしまったと専門家もいっています。そしてこの非効率を是正する特効薬こそが最低賃金の引き上げだそうです。
 

最低賃金を引き上げが世の中を変える

 日本の国というのは先進国の中で最低水準の生産性とされています。そしてこれを高める方法は、ズバリ低水準にある「最低賃金を引き上げることだ」と専門家は結論付けています。それだけでこの日本は劇的に良くなるそうです。最低賃金が低いと、経営者は安く人を使えます。それで利益が出るから、経営者は頭を使わなくなり、機械化やIT化のための投資もしなくなってしまうのです。最低賃金の低さが経営者を甘やかして、本来高められるはずの生産性にわざわざブレーキをかけているのです。

実際に、日本の最低賃金は先進国の中で最低クラスのようです。先進国最低であるスペインに次ぐ低さだとか…。また、1人当たりGDPに対する最低賃金の割合は、ヨーロッパ諸国が50%前後であるのに対して、日本は34.9%と低水準なのです。

 

不当な最低賃金

 驚くことに日本の最低賃金はどうやら不当に低く抑えられているようです。2016年のWorld Economic Forum(世界経済フォーラムのランキングでは、日本の人材評価は世界4位です。ほかにトップテンに入っているのは、人口の少ない国ばかりです。人口が少ない国は異常値が出やすいからですが、そのような傾向がある中でトップテン入りしている事実は誇っていいでしょう。ちなみに日本の次に評価されている大国はドイツで、11位。日本の人材評価は、人口の多い先進国で最高レベルです。にもかかわらず、最低賃金は先進国で最低水準ですから、不当と言っても言い過ぎではないでしょう。

では、どうすれば最低賃金を人材評価に相応しい金額にできるのか?専門家曰く、考え方として経営者が自ら進んで最低賃金の引き上げに賛同することを期待してはダメだそうです。何故なら経営者は人手不足に陥らないかぎり、できるだけ安く人を雇おうとする生き物だからだそうです。市場原理に任せると、基本的に人件費は下がるものだと考えたほうがいいでしょう。なので賃金を上げるには、嫌がる経営者を無視して国が強制的に引き上げるしかないのです。現在コロナ禍で政府が盛んに自粛を呼びかけるような感じでしょうか…?それが最低賃金制度の本来の主旨でもあるのかもしれません。

これは人権上の問題だけでなく、日本の生産性の低さを温存する一因にもなっていると考えられています。なので放っておくと、一部の経営者はこうやってズルをして、少しでも人を安く使おうとエスカレートしていくのです。従ってそうならないように、国は最低賃金を引き上げたうえでしっかり目を光らせておくべきなのです。

World Economic Forum

世界経済フォーラムは、経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関。1971年に経済学者クラウス・シュワブにより設立された。スイスのコロニーに本部を置き、同国の非営利財団の形態を有している。 ウィキペディア

 

本当の狙いは中堅企業を増やすこと

 では、最低賃金をヨーロッパ並みに引き上げるとどうなるのでしょう…?恐らく最低賃金で働いている人たちだけでなく、その上の層、そしてさらにその上の層にも賃上げ効果が及ぶと推測されます。たとえば、最低賃金より少し多くもらっていた人は、最低賃金の引き上げによって給料が最低賃金と変わらない水準になります。それは嫌だと思う人は、より賃金の高い職場を求めて転職しようとするでしょう。企業はそれを引き留めるために、その上の層の賃金を上げざるをえなくなるのです。このような玉つきで、全体の賃金が上がるという仕組みです。

更に言えば、最低賃金で働く人たちは消費性向が高いというデータがあるそうです。高賃金の人の給料を上げても貯蓄や資産運用に回るだけですが、低賃金の人の給料を増やせばモノやサービスがよく売れて、経済への直接的なプラス効果が期待できるのです。そして、最低賃金の引き上げには、忘れてはならない効果がもう1つあるといいます。それは生産性の向上です。日本の生産性の低さは目を覆いたくなるレベルです。総合の生産量であるGDPは世界第3位であるにもかかわらず、多くの先進国と比較した際に日本の労働生産性は低いと言えます。日本は人口減少が進むため、生産性を引き上げないとGDPを維持できません。GDPが減れば社会保障費を捻出できず、国は崩壊するしかないのです。それを防ぐには、労働生産性を高めて一人一人の所得を増やす必要があります。そのための有効な手段が最低賃金の引き上げだと専門家は指摘しているのです。

 

最後に

 最低賃金が高いから生産性が高いのか、あるいはその逆なのかという因果関係は、正直僕にはわかりません。ただ、相関関係が強いのは間違いないので、多くの国はまず最低賃金を上げることで生産性を高めようとしているようです。現実に成果も確認されつつあるようですよ。とにかく決定的な結論が出てからでは手遅れなのです。

日本の生産性が低いのは、日本の企業数のうち中小企業が占める割合が高いことが推測されます。そもそも企業規模が小さいと、生産性を高めるためにICTを導入することも女性が産休・男女問わず育休を取りながら働き続けることもできません。要するに器を大きくしないことには、生産性向上は遠い夢の話なのです。

ICT「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。 情報処理だけではなく、インターネットのような通信技術を利用した産業やサービスなどの総称です。

 

もちろん最低賃金を引き上げても、会社を成長させられず、単に利益を減らすだけの企業が出てくるかもしれません。しかし、シビアに考えるとそれで経営難に陥るような会社は無理して続ける必要はないのかもしれません。そもそも中小企業の数が多すぎることが日本経済をひっ迫させている一つの現況なら何か画期的な方法で産業革命を起こさないとダメかも…。