松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

小さなバイクが無くなる時一つの時代が終わる

 

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今回は、本業であるオートバイ関係のチョッとしたニュースを紹介したいと思います。一般的には、ピンと来なくても業界的には、なかなかのニュースなのです。チョッピリ難しいかも知れませんが、これを読むと今のバイク業界が何となく垣間見えてきます。

規制強化で存続困難まるで絶滅危惧種

 巷を疾走する郵便屋さんに新聞屋さんそんなお仕事に欠かせないのが排気量50cc以下の原付1種バイクその名も原チャリです。しかし、こうした光景は近い将来見られなくなるのかもしれないのです。何故ならば、この原付1種言わいる原チャリは、ほぼ日本だけで普及する車両区分なのです。その原チャリが、世界的な排ガス規制強化の中で存続が難しくなってきました。それまで頑張って作ってきてくれたメーカーも生産を打ち切る方向にどうやらベクトルが働いているらしいのです。

 

四輪同様にOEM供給が始まる

僕達もよく知る所の大手バイクメーカーであるホンダとヤマハ発動機は昨年10月に提携検討を発表し、ヤマハ発は原付1種の自社開発と生産をやめ、ホンダからOEM供給を受ける方向となったそうです。さらにヤマハ発動機は6月の段階で、排ガス規制のさらなる厳格化を見越した上で、開発コストの高騰など、規格そのものが存続できなくなる可能性を示唆しています。

 

 

国内二輪車の排出ガス事情

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欧州規制基準「ユーロ4」に準じた規制が昨年から順次適用されています。現在のユーロ4では一酸化炭素や窒素酸化物などの規制値が従来の半分前後に抑えられています。さらに9月から順次継続モデルに関しても適用される事になり、メーカーは対応を迫られている状況だそうです。

最近では、ホンダが8月に「モンキー」の生産を終了がバイクファンの大きな話題のひとつになりました。各メーカーの台所事情からしても現在の価格で新規制に対応することは難しくなったといいます。また、技術的には限界にきていており、決断せざる得ない事を明かしていました。

 

 

世界を牽引するユーロ5の影響力

環境省は20年から欧州の次期規制「ユーロ5」と同じ目標値を導入する方針をすでに決めています。全ての規制物質で排出量規制が強化されるだけでなく、排気量などで3つのクラスに分けて設定していた規制値が全ての二輪車で一律となるため、原付1種など排気量の小さいバイクは大きな影響を受けることになるのです。

ユーロ5の導入で二輪メーカーは、また一段ハードルが高くなり、全クラスのバイクで開発コストの上昇など大きな影響が出てくると予想されています。二輪車の排ガス規制に関しては欧州基準が世界標準になっている以上やらざるを得ないのが現状です。

 

 

各バイクメーカーが生き残りを掛けて開発

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こうなると排気量の小さいバイクほど生き残りにくくなるので。次の一手として進めているのが、電動化に向けた対応だそうです。なんと噂では郵便配達用バイクの電動化に向け日本郵便と実証実験を始めることで合意したそうです。将来、ガソリン車でやっていることが後に電動車に換わっていくとして、環境対応の観点で電動化になるのは必然かも知れません。

 

 

アジアではすでに小型バイクの主流

アジアではすでに主要バイクが150ccへ移っているので、日本でも100ccや50cc等がなくなり、125㏄とか150㏄が日本での小さいバイクの限界になるかと思われます。少し昔にさかのぼりますが、そもそも二輪車の排出ガス規制は国内で1998年に初めて導入されました。それ以降段階的に強化され、メーカー側はその都度、技術開発を進めて対応してきました。排ガス規制の強化にあたってはメーカー側と協議を重ね、原付1種を含めてユーロ5でも技術的には対応可能という前提で導入が進められているそうです。ただどの車種を生産停止にするか継続するかはメーカー側の判断になるとの事です。

 

 

無くなっても仕方が無いほどの落ち込み

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コレは正直驚きの数字です。なんと最盛期からの販売台数の落ち込みが17分の1に減少しているそうです。原付1種の人気がピークだった1982年(昭和57年)の年間国内出荷台数は278万4578台で二輪全体の約85%を占めていたそうです。その後、販売は減少の一途をたどり、昨年の市場規模は16万2130台と17分の1程度に縮小しているのです。

大きな要因としては、やはり当時ヘルメット着用の義務化そして近年では駐車違反の取り締まり強化などで利便性が損なわれた事が少なからずとも向かい風になっていると推測されます。

 

新たな時代に入るバイク業界

今、原チャリに変わってめきめき頭角を現してきているのが電動アシスト自転車です。メーカーにとって原付1種売れない→開発費削減→更に売れない→販売台数を減らす→車両単価が上がる→更に売れないという負の連鎖になります。そして原付1種のあとに置き換わるのは海外でも広く使われている125ccか電動バイクのどちらかになる可能性がでてきました。電動でも出力は125ccと同水準まで高め、航続距離ももっと伸ばす必要があるなど克服すべき課題はまだまだ山積しています。

 

 

まとめ

仮に125 ccが原チャリ取って代わった場合、法定速度が倍の60㎞まで上がり交通の流れに乗れるメリットが出てきます。その代わり少し大きくなり価格もそれなりに高くなり、改めて免許を取得しなければならないデメリットが生まれます。また、電動スクーターはまだまだ巡航距離が短く問題なので考えると「いったいどうなるんだろう?」と不安と興味が交じり合う複雑な心境です。何れにせよなる様にしかならないのでこれからも、注意深く見守りたいと思います。以上、本業からのレポートでした。