松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

国民年金保険料は50年前から160倍以上ってホント?

 

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この時期世間では、源泉徴収関連の書類に目を通している人達も多いのではないでしょうか・・・。自営業者ほど、年間の収支や税金を意識しない会社勤務の人も、この時期ばかりは「額面」と「手取り」の数字のかい離を感じるのかもしれませんね。

平成元年から負担額倍増 国民年金保険料

社会保険料負担が、年々増えているとは僕自身正直ぜんぜん知りませんでした。社会保険の代表である年金保険料(国民年金保険料)については平成に入って以来、なんと「倍増」しているというのです。さらに言うと、56年前の昭和36年からに至っては、驚異の160倍という驚きを通り超える増加なのです。もっとも、金利・物価上昇を加味する必要があるとはいえ、人事院「行政職俸給表」によれば、昭和36年の大学卒業初任給は約1万2000円、現在の18万円と比較すると15倍。そして15倍の上昇率を加味したとしても、老後の年金に備える為の保険料負担は、他の変動率より群を抜いて「負担増」となっていることが分かります。平成1年の年金保険料は7700円に対して、平成29年の年金保険料は1万6490円と、実際は2倍以上です。さらに会社勤務の人であれば、厚生年金保険料が加算される為、現在では給与の約18.3%が労使折半で上乗せされるそうです。例えば標準報酬月額30万円の場合、厚生年金保険料はひと月あたり5万4900円。半分は勤め先の企業負担なので、従業員本人の負担は2万7450円となります。先ほどの国民年金保険料と合算すると、4万3940円、これが現在の「老後のため」の保険料となるのです。

 

 

給与の約4割を手にする事ができない現実

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次に確認するのは健康保険料です。先ほどと同じく、会社勤務者いわゆるサラリーマンで標準報酬月額30万円の場合、協会けんぽ加入者であれば保険料は9.91%で2万9730円。これを労使折半すると、従業員負担は1万4865円となります。40歳~64歳までの介護保険第二号被保険者であれば、1.65%の保険料が加算され、その労使折半分が負担増となります。さらに雇用保険料が一般事業者の場合、従業員負担分は3/1000かかるため、標準報酬月額30万円の場合、900円の負担となるのです。これらを合計すると、社会保険料負担総額は5万9705円。給与の約20%が控除され、更に所得税・住民税控除を差し引くと、約58%の手取りとなります。つまり、額面の給与約4割は、手にすることなく残りの6割が「手取り」になり、日々の生活費に使えるお金となるのです。

 

 

企業負担は実は大きい サラリーマン最大の恩恵

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ここで「労使折半」について少し説明しましょう。「手取りが少ない」と嘆く会社勤めの人は、額面から社会保険料や税金が引かれたあとの金額に対して言っているのであって、その意見はもっともなのですが、ここまで記載した各控除項目に関して、社会保険料の3つは、勤め先の企業が「半分(雇用保険は倍)支払ってくれている」という事を、念頭に入れなければなりません。自営業者等であれば、年金保険料が基礎部分(1万6490円)だけなので、納付額は少なく済む分、将来の年金受給額も基礎部分だけで、平成29年であれば満額でも月額約6万5千円です。ここから介護保険料が控除される為、実際の手取り額はもっと少ないでしょう・・・。現在、企業勤めの人は強制的に社会保険料を控除される仕組みになっていますが、これは企業に課せられた義務で行われているのであって、もし自営業者のように「各自の納付・口座振替」に変更すれば、未納者・滞納者の続出で、回収コスト等を保険料に上乗せしなければならない事態も考えられます。企業の協力と負担があるからこそ、厚生年金加入者は老後、ある程度の生活保障を約束されていることを、改めて再認識しましょう。

 

 

合法な節税術、正しい金融情報を身につける

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さて、この様な「社会保険料高負担世代」に生きる我々は、どうすればよいのでしょうか。答えは、「可能な節税術は、できる限り行う」です。誤解になるといけないのであえて記載しますが「脱税」ではなく、「節税」なのです。例えば、確定拠出年金。企業型確定拠出年金制度が無い会社員や自営業者であれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)を積極的に活用すると言う手があります。60歳以降の自分のために積み立てするお金を、そのまま全額収入から「控除」する事ができるため、その分税金を減額する効果があるのです。

 

 

最後に

運用によって将来受け取れる金額は分からないものの、長期分散投資で「増える」可能性は十分にあるのです。その期待に加えて、税金を減額できるのであれば、その減額分は確実に「益」とする事ができるので、利用しない手は、無いですね・・・。他にも住宅ローン減税やふるさと納税などの税額控除の代表格以外に、ドラッグストアなどで購入した医薬品が、年間1万2000円を超えると、超過分を所得から控除できる「セルフメディケーション税制」や「個人年金保険料控除」など、細かな所得控除ですが、それなりにできることはあるのです。正直、面倒といえば面倒です。それでも昔から「1円を無駄にする者は、1円に泣く」と言います。要するに、何が言いたいかと言うと、これからの時代を賢く生きていくには、「金融リテラシーの習得」が絶対に必要なのです。日々苦労して稼いだお金が、一体何に使われて、恩恵はどのように受けるのかが、分からないより分かった方が良いに違いないですからね・・・。

【金融リテラシー】

「金融リテラシー」とは、金融に関する知識や情報を正しく理解し、自らが主体的に判断することのできる能力であり、社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送っていく上で欠かせない生活スキルです。国民一人ひとりが金融リテラシーを身に付けることは、健全で質の高い金融商品の供給を促し、我が国の家計金融資産の有効活用につながることが期待されます。

 

参考資料:ZUUonline 日本証券業協会