松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

人生半ば60歳からの給料と年金と雇用保険

 

f:id:rjmatsumura:20181122175301j:plain   ついつい書いてしまう人生100年時代。医療の発達と、栄養状態や衛生環境の改善などによって、リアルに人は100年生きられるようになってきました。ひとりの人間の人生が100年続くとなった時、働き方や生き方をどのように変化させて行くのかが大きな問題になってきます。そしてこの問題は、個人レベルを超えて国家プロジェクトとなり、さらには世界レベルで取り組むべき社会問題となりつつあります。

したがってこれから考える人生100年時代とは、寿命が100歳前後まで今後リアルに伸びていくにあたって、国・組織・個人がライフコース(人生の道筋)の見直しを迫られているという事になります。世界的に長寿国家として名高い日本でも、すでに昨年9月に政府によって「人生100年時代構想会議」が開催されています。健康で長生きしてしまう事で、過去の資金計画は崩壊し、労働市場は大きな変化を余儀なくされます。そこで今回は、そんな人生半ば過ぎとなる60歳からの働く形について調べて見る事にしました。

 

折り返し60歳からの働き方改革

 少し前までは、60歳でリタイアして、60歳から受け取れる特別支給の老齢厚生年金をもらい、セカンドライフを送るというスタイルが一般的ライフコースだったと思います。しかし、老齢厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられている昨今、60歳でのリタイアが当たり前だった時代から、65歳でのリタイアというスタイルが当たり前の時代に変わろうとしています。そのうち5年ピッチで70歳、75歳、80歳・・・。なんて事になる事も想定する必要があるかもしれません・・・。

 

65歳定年制への過渡期に戸惑う予備軍

 実際に法律も、60歳定年から段階的に65歳定年制へ移行することを前提としています。現在は60歳定年制であっても労働者が希望した場合、65歳まで雇用しなければならないことになっています。僕の周りでも数名がその条件で65歳まで働く再雇用の契約をしています。因みにこの制度は、一定の年齢までの雇用は義務付けられているものの、60歳までの条件のままで雇用しなければならない、とまでは求められていません。実際のところ、嘱託といった形態での再雇用が多いのが現状だそうです。当然、給料は60歳までと比べて大きく落ち込んでしまいます。給料が半分になることも珍しくないそうです・・・。ただ、60歳以降に働くと給料が減ってしまうことがある一方、今は部分年金という形で、60歳代前半にも経過的に厚生年金が支給されるシステムがあるそうです。なので、給料がダウンした場合に支給される雇用保険からの給付いわゆる高年齢雇用継続給付なんかあるようです。

 

給料と年金と雇用保険について

60歳以降も働く場合、3つの収入確保の手段があります。

  • 給料
  • 年金※1
  • 雇用保険の高年齢雇用継続給付※2

まず、給料を受け取りながら年金も受け取る場合については、※1在職老齢年金制度により、年金が全部または一部カットされることがあることに注意してください。また雇用保険については、※2再雇用時に給料がダウンした場合に一定の要件を満たせば、給付を受けとることができます。そして年金と雇用保険を同時に受け取る場合、年金がさらにカットされます。

 

給料と年金と雇用保険の合計受け取り金額とは

たとえば、今年60歳の定年を迎えるAさん(女性)は、定年後も再雇用という形で、同じ会社で勤務することになりました。

  • 給料は月48万円から24万円にダウン
  • 年金は60歳から年額120万円受け取れる

このケースの場合・・・。

在職老齢年金 

在職老齢年金による年金カットまず年金については、先ほど言ったとおり、60歳以降も働きながら年金を受け取る場合、年金の一部がカットされます。これを在職老齢年金制度というそうです。

Aさんの場合、給料が24万円(ボーナス無し)で、年金額が120万円(月額10万円)です。在職老齢年金制度によるカット額を求める計算式((給料+年金月額)-28万)÷2)に当てはめると、3万円となります。したがって、実際に支給される年金は、10万円-3万円=7万円となります。

 

雇用保険

雇用保険による高年齢雇用継続給付高年齢雇用継続給付は、雇用保険の被保険者だった期間が5年以上の人で、60歳以後の給料が60歳までの給料に比べて75%未満にダウンした場合、最高で60歳以後の給料の15%を支給するというものだそうです。

Aさんが被保険者期間が5年以上あったとして計算した場合、48万円から24万円にダウンしてますから、24万円の15%=3万6000円が支給される計算になります。

年金と雇用保険の併給する際の調整そして、給料を受け取りながら年金をもらい、さらに高年齢雇用継続給付を受け取る場合は、年金がさらにカットされることになります。調整額は給料の6%となります。

 

最終合計

このケースですと、24万円の6%=1万4400円。本来の年金月額10万円から「在職老齢年金のカット分3万円」と「高年齢雇用継続給付のカット分1万4400円」の2段階の調整があるということになるのです。したがって、最終的なAさんの受取額(額面)は次のとおりです。

  • 給料 24万円
  • 年金 5万5600円
  • 雇用保険(高年齢雇用継続給付) 3万6000円

合計 33万1600円

額面でいうなら、48万円と33万円で決して差は小さくありません。しかし、給料が24万円に下がるので、税金や社会保険料も下がります。なので、実際の手取り額でみれば、もう少し差は縮まると思われます。

年金だけだと収入は月10万円、働けば33万円となり、働くと働かないでは、天と地ほどの差が出てしまうのです。因みに年金のカット額と、雇用保険からの給付額は、性別や生年月日、給料、年金額によって違うようなのでご注意ください。

 参考資料:オールアバウト

最後に

まだまだ先と思わず、自分の将来の為にも、この辺をしっかり勉強しておく事は決して損ではないと思います。沢山蓄えがあり、退職金もドッサリあって、何の心配も無い人は別に気にしなくて良いでしょう。しかし一般人のほとんどは、前述した問題をまともに被る事になると思います。ましてや、個人で事業をされているところなどは、ここに書かれているような保証が、受けられるのかは疑問です。それに役所は、自動的になんて事は無いので必ず事前の相談や報告、書類の提出などが、必要となります。それでもここに書かれている事は、あくまでも健康であるというのが前提です。それが無ければ、若かろうが、年寄りだろうが関係ありません。なのでこの問題で悩む時期が来るまでしっかりと健康を維持し続けましょう。