松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

最近の子供はお小遣いを欲しがらない?

 

 

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お正月に親戚の子供達が遊びに来た時の事です。今年小学校に入学する6歳の女の子と2歳になる妹が、手に持てるだけのオモチャとお菓子を持ってきました。ここまではま~普通の微笑ましい感じだったのですが、しばらくするとお姉ちゃんの方が任天堂のDSをしはじめました。「どこの家庭でも一緒だな~・・・。」と思うまもなく妹の方がタブレットを出し付属のペンで遊びだしました。よく見るとアンパンマンのスマートタブレットでした。いくらなんでも早すぎると思いましたが、コレも時代なのかなと考えさせられました・・・。という訳で今回は、そんな子供達の取り巻く環境を考えてみました。

 

無いから有るの過程にいた大人と最初から有った子供

子供達から物欲が消えつつあるそうです。そういうのを専門に扱う研究所が、子供達(小4~中2)を対象に調査した結果が、毎月決まった金額のお小遣いを貰う子供が半数を下回り、「新しい商品が出るとすぐほしくなる」、「流行に関心がある」と回答した子どもは過去20年間で最低だったそうです。恐らく背景にあるのはスマートフォンをはじめとする情報環境の影響が大きいと考えられます。いったい子供達は、何をほしがっているのでしょう・・・。

 

 

物欲レス化する子供達

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消費に関して、まず注目したのは子どもの物欲に関係することです。「値段が少し高くてもちょっといいものがほしい」とか、「新しい商品が出るとすぐほしくなることが多い」という意識が大きく減少し、過去最低値となっているそうです。どうも、子どもの物欲が徐々に減ってきているようなのです。同様の変化は子どものお小遣い事情にも現れています。調査でも1997年には8割近くの子どもが「おこづかいをもらっている」と回答していたのですが、今では6割近くまで減少。中でも、「毎月きまった金額をもらっている」という子は、半数を下回っています。この事は、我が家がズバリそうで今まで殆どお小遣いをあげたことがありません。1年間をお正月のお年玉で全てまかなうのです。そうは言っても、おもちゃやゲーム、服などほしい物はいろいろあるんじゃないか? そう思うかもしれませんが、家の子によると、「欲しいものがある場合、両親におねだりをしゲームのソフトなどはおじいちゃん、おばあちゃんが買って貰うので、お金はあまりいらない」というからくりです。今の子どもたちは誕生日やクリスマス以外にも、運動会で何位になったというような機会に欲しい物を買ってもらえる子が増えているという情報もあります。そのような状況の変化も一つの要因となっているようでしょう。

 

 

流行に関心があるが過去最低に

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欲求の減少は、モノだけでなく情報についても言えます。流行に関心があるとか、流行っているものを人より早く知りたいとか、流行っているものを人よりも詳しく知りたい等は現代の子供達には、たいして興味が無いようです。この背景となっている子供達を取り巻く情報環境の変化として最も大きいのは、やはりスマートフォンなどの電子デバイスの普及でしょう。例えばスマートフォン(親所有のものを含む)を使ってネットを利用している小4~中2の子どもは56.4%と半数を超えているそうです。

 

また、携帯ゲーム機でYouTubeやWebサイトを見ている子も36.4%ほどおり、ネット結線されたテレビ(16.5%)などを含めると、子どもたちは平均してひとり当たり1.9種類のデバイスを使いこなしていることになります。家庭でネット利用をしていない子は、もはや現代では6.1%ほどしかいない状態なのです。ちなみに自分専用のスマホを持っている子も小学生(小4~小6)では21.6%、中学生(中1~中2)では61.6%だそうです。小学生では家庭の方針や学校の指導などもあって、自分専用のスマートフォンを持っている子はまだ少数派ですが、中学生になると6割以上はスマートフォンを持っているのです。

 

子供達はスマートフォンに限らず、複数のデバイスを使いこなすことで、情報はいつでも、いくらでも自分で引き出すことが可能です。常に最新の情報を追い求めていた上の世代と違い、まとめサイトなどの情報のデータベースも豊富にある今の子どもたちにとって、情報はあえて最新を追いかけなくても、気になった時に手元のデバイスを立ち上げれば、簡単に情報が手に入れられるのです。しかし一方で、流行にはあまり興味を示さなくなったものの、自分の興味のあることや趣味に関してはとても主体的で、大人がびっくりするほど詳しくなる子も多いそうです。

 

 

SNSの登場と同期の子供達

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そもそも今回、対象となった子ども達が生まれたのは、おおむね2003年~2007年です。その子供達が生まれた背景はというと、2004年にはmixiやGREE、といった和製のSNSが登場し、ニコニコ動画(2006年)やYouTube日本版(2007年)などの動画共有サイトもこの頃サービスを開始しました。子供達はSNSを10代の頃から利用しているSNSネイティブな世代よりさらに若い、SNSと同い年の世代なのです。

 

そして小学校の低学年から中学年の頃には、光回線はもちろん、スマートフォンやWi-Fiが既にだいたいの世帯に普及していました。また、LINEなどのチャットアプリ、メルカリなどのフリマアプリを含めて、主なWebサービスやアプリがほぼ出そろった状態だった訳です。勿論、10年前の2007年時点でも一部の子ども達はSNSや動画共有サイトを使いはじめていたでしょうが、それはまだそれなりの専門スキルの高い子に限定されていました。また、それを見るにはわざわざパソコンを立ち上げなくてはいけませんでした。それに比べると、スマートデバイスの普及した今の子供達にとってさまざまなネットサービスは、楽勝で使いこなせる訳ですね・・・。それに、動画共有サイトはほとんどの子が利用しているのと、LINEなどのチャットアプリは、中学生ではほぼ半数が利用しているようです。

 

 

最後に

それでは、物欲が低下し、最新の情報も求めない、SNSと同い年の子供達は結局、どんな世代ということができるのでしょう。ポイントは、恐らくコスト感覚だと思います。例えば、ネット接続にせよ通話にせよ、以前は量や時間が増えるとそれだけ通信コストがかかっていましたが、光回線とWi-Fi、通話アプリなどの普及によって、親が光回線の通信料を払っている限り、家庭内でそれを利用している子ども達にとっては、使い放題、話し放題の状況が生まれています。

 

コンテンツについても、以前は何を利用するにせよ有料だったものが、スマートデバイスさえあればほとんどが入り口は無料。YouTubeには膨大な無料のコンテンツが格納されています。実際に、ゲームも、音楽も、マンガも全て無料のアプリで楽しんでいますし、以前はゲームセンターに行って撮っていたプリクラも、手元の画像加工アプリが代替しています。費用や手間、労力をかけずとも、情報もコンテンツも自由に利用できるというのが物心ついた時からの当たり前。いわば無料が当然という「なんでも無料・ネイティブ世代」なのです。だからこそ、物欲や情報ニーズについても、少しずつ変化が起こっているのです。しかしながら、なんでも無料・ネイティブ世代は、全くお金を使わない、無料だけを志向する世代というわけではありません。なんでも無料・ネイティブ世代の子ども達は、無料が前提だからこそ、これまでにないお金の使い方を見いだし始めているのかもしれません。

参考資料:博報堂 生活総合研究所