松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

追い詰められると発揮する脅威の集中力

 

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僕は昔から記憶するという作業は、嫌いではないのですが、どちらかと言うと苦手でした。それでもそうは言ってられない場合があります。例えば、仕事で必要な暗記の場合僕は学生の時、同様の前日に徹夜をして詰め込む作戦を実行します。逆に興味があったり、好きな事は何故か労せず自然に頭に入ります。それってやっぱり「好きこそ物の上手なれ・・・。」て言う事なのでしょうか。そして時に人間は、期日の迫る暗記や提出物を片づける為、驚くほどの集中力を発揮する事があります。そこで今回は、そのメカニズムをなるべく簡単に科学してみる事にしました。

 

油断は最大の敵「時間はまだある」

学生の頃、夏休みの宿題を新学期直前までやらずに、焦った経験はありませんか。親から「まだ終わってないの?」「早くやりなさい!」と叱られ、必死で最後の1日にラストスパートを掛け燃え尽きたという思い出が僕にはあります・・・。それではなぜ夏休みの宿題を先延ばしにしてしまうのでしょうか。確かに時間の制限があるとはいえ、夏休みは期間が非常に長い為、ついつい「明日からしよう・・・。」が、続くのです。専門家曰くそれは「パーキンソンの法則」の罠にはまっているからだそうです。英国の歴史・政治学者のパーキンソンが「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する」と指摘したように、「夏休みが終わるまでに終わらせればいい」と、時間はあればあるだけ使ってしまうという心理が働く事だそうです。

 

 

記憶の種類を理解する

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人間の脳には、短時間だけ記憶する「短期記憶」と長期間にわたって記憶しておく「長期記憶」という機能があるそうです。「短期記憶」というのは作業の手順の「段取り」を記憶します。作業をするときは、複数の作業の段取りを考え、それを短期間記憶し、順番あるいは並行して作業をこなしていきます。この段取りを考え、記憶し、段取り通りに実行する力を「ワーキングメモリー」というそうです。そもそも人間の短期記憶は弱く、1度に覚えられるのは7つほどが限界といわれており、先延ばしにしている宿題の順位は当然低くなります。

 

ところが、さすがに夏休みも終わりになると頭の中は宿題以外のことを考える余裕はなくなり、宿題が最優先課題になります。こうなると、「宿題をやるぞ!」という気になり、集中できるようになる訳です。これは心理学で「締め切り効果」と呼ばれるものだそうです。例えば、「この仕事は金曜日までに終わらせる」と区切りをつけ、時間の制限を設けたほうが集中力は上がるのです。どんなものでも本気で物事に取り組むには、やる気と集中力が大きく影響します。「締め切り効果」のように、追い込まれて集中力を高めるのではなく、出来れば自分で意図して集中状態に持っていけるようコントロールできれば、仕事でも余裕を持って自分のやるべきことができるようになります。

 

 

自分流のタイミングで集中力を高める

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そもそも何かに集中しようとしても、やる気が起きなければ集中はできません。やる気は、脳のA10神経からドーパミンというホルモンが出ることで起きます。これは楽しいときや楽しいことを考えている状態のときに放出されるそうです。しかし、仕事や勉強は、いつも楽しいことばかりでなく、苦しくて辛いことも多くあります。そのため、仕事に対するやる気を引き出すには、とにかく、目標や目的を設定することが重要なのです。何の為に仕事をしているのかがわからないと、集中出来るものも出来ません。因みに目標は、「会社の売り上げを上げる」「フルマラソンで4時間を切る」とか、数値化できるものです。目的は「会社の利益が増えることで社会に貢献する」とか、もっと漠然としたものです。

 

 

インセンティブは大いなるやる気に繋がる

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さらに目標を達成したら「ご褒美が出る」という仕組みをつくっておけば、想像しただけでドーパミンが出るようになるでしょう。それとできれば、ご褒美を与えるタイミングは作業後、早いほうが効果的とされています。また、集中するきっかけをつくる、自分流の「引き金」を身につけるのもひとつの方法です。例えば、テレビドラマによくある正義の味方が変身する時とかは、パワーアップするために集中力を高める「引き金」と見て取れます。プロ野球の選手が、バッターボックスに入る際に必ず同じしぐさをするのも、集中モードに入るための「引き金」といえるでしょう。

 

 

脳内の不要な情報を抽出し小分けにして捨てる

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やらなければいけないことが沢山ある時、あるいはありそうに感じている時、頭の中が混乱し、ついやる気をなくす事があると思います・・・。どんな仕事でも単独の作業で完結するものはあんがい少なく、たいてい複数の作業から成り立っています。それらを順序立てて分け、ノートや付箋を使って、頭の中にあることをすべて文字に書き出すと意外とクリアになります。漠然と「やらなければいけないことが色々ある」と思っているだけでは、不安になり、面倒臭くなってしまうものです。とにかく小分けに分解した後は、一つ一つのステップに集中して片づけていくのです。

 

集中してやるべきことを次から次へと片づけるには、ワーキングメモリーがパンクしないように、自分が本当にやらなければいけないタスク以外は、捨てる意識を持つことも大事です。毎朝自分の様々なプロジェクトを見直して、今日やらなければいけないものをピックアップして、それを最優先でやる「セレクト集中」が効果的です。

 

 

心理的時間と物理的時間にギャップに気付く

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面倒くさくてなかなか取りかかれない作業でも、実際に作業時間を測ってみると、案外短かったりするものです。例えば、事務処理で、「30分くらいかかりそうだなあ~・・・。」と思っても、やってみれば、半分の15分で終わる事もあります。作業時間を毎回測ることで、心理的時間と物理的時間にギャップがあることがわかり、心理的な認識のほうを変えていけます。すると面倒臭いと感じる作業でも、億劫にならず取りかかれるようになります。また、目標時間を設定すると、さらに集中力が増します。何度も繰り返すようなルーティンであれば、毎回記録の更新を目指しましょう。自己ベストが出たら、それはそれで嬉しいものです。

 

 

仕事は刻むとで効率が上がる事もある

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集中力を維持するには、時間を短く区切り、作業モードと休憩モードに分けるようにする方法もあります。時間の長さは人によって異なりますが、例えば、25分作業して、5分休憩する「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれるリズムがあります。重要なのは、25分でやることは1つに絞る事です。あれもこれもやろうとすると、集中できなくなります。そのためには、取り組むべき作業を短い時間に分割することがポイントなのです。そして25分経ったら、作業の途中でもやめます。「もう少しやりたかった」と思うぐらいの時間で区切ることで、5分の休憩後もやる気を維持できるのです・・・。短時間で作業を切り上げることで脳の疲れが自ずとたまりにくくなるのです。休憩する際は、作業から1度離れ、頭をリセットすることを心掛けましょう。体を動かしたり、瞑想したりしてリラックスするより効果的です。とにかくどんなに調子がよくても、5分の休憩をはさんだほうが絶対的に効率的なのです。

 

 

最後に

一応理屈的には、こういう感じで仕事をすれば、効率が上がっても下がる事はないと思います・・・。要するに大事なのは、モチベーションを切らさずに効率のよい仕事をするには、作業時間を刻む事がとても重要だという事が言いたかったのです。実際僕もそうですが、誰かが止めないといつまでもやってしまう傾向があります。なので良い仕事をする意味でもここを工夫して行ければと考えています。 

参考資料:PRESIDENT