松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

コミュニケーションスキルのひとつアサーションとは

 

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学生時代もそうですが、社会人になり人生の半分以上を様々な利害関係の中に身を置く上で、できる事ならば、より良い人間関係を築いていきたいと思うのは、自然な考え方だと思います。しかしながら理想と現実が、必ずしも一致しないのが、世の中と言うものです。因みに「アサーション」という言葉を知っているでしょうか?僕は、全く知らなかったのですが、最近チョクチョク見たり、聞いたりすることがあり、気になったのでいつもの如く調べてみる事にしました。

 

言いにくいことを相手にどう伝えるのかを問題にする

たとえば、職場で部下が不満に思っていることがリーダーに伝わってこず、まわり回って別の部署の人からそのことを知らされた、とします。その場合リーダーとしての面目は丸つぶれと言う事になりますね。このようなとき、どのような対策を打つべきでしょう・・・。的確な対処の前に、よくやってしまいがちなパターンを2つほど紹介しましょう。

 

一方的な意見を伝える

不平不満があるなら、直接はっきり言ってください・・・。等と陰口をたたいていそうなスタッフに、ズバリ、直接、一方的な意見を伝える。気持ちは分かりますが、自分の気持ちを抑えることなく表現すると、自分はスッキリできますが、このように一方的に要求すると、事態が悪化する可能性が高くなると考えられます。なぜかというと、相手を追いつめてしまうことになるからです。人は普通、問いつめられたり追いつめられると、自分の領域が侵されていると感じます。そうなると防衛本能が働き自然と怒りの感情が湧くものなのです。怒りの感情が会話に入ると、逆ギレしたり、さらなる不満を募らせることになったりして、話し合いがうまく進まなくなります。このような、自分のことを中心に考え、相手のことをまったく考えない表現方法のことを、アグレッシブな表現といいます。

攻撃的自己表現(アグレッシブな自己表現)

これは、相手のことを配慮しない自己表現法です。
先ほどの「自己主張」と同じような感覚です。何か失敗をしたこどもに対して親が理由も聞かずに頭ごなしに叱ったりするような態度です。
相手を支配したり、自分が優位に立とうとする態度でもあります。

 

我慢する

自分さえ我慢すれば、丸く収まると考え、何も言わない。表面上は平和ですが、実は、このように自分の感情を押し殺すこともよくありません。なぜなら、このように感情を抑え続けることで、あなた自身のなかで次第に不満が募り、こんなに我慢しているのに、全然わかってもらえないという恨みがましい気持ちが高まるだけでなく、長期的に感情を抑制することにより健康を損なうリスクも高まるのです。また不満気なあなたを見て、相手も言いたいことがあるのなら、はっきり言えばいいのにと不満を感じ、長い目で見たときに、人間関係のさらなる悪化が予測されます。このような、自分の感情を押し殺して、相手に合わせるような表現方法のことを、ノンアサーティブな表現といいます。

 

非主張的自己表現(ノン・アサーティブな自己表現)

自分を大切にせず、相手を大切にする自己表現です。一見、相手に配慮していて良さそうにみえますが、相手に対して率直ではありませんし何より自分に対して正直ではありません。言いたいことを我慢して心の中でブツブツ言ったり、別の人に不平を聞いてもらう、というような態度です。ですから、不満(ストレス)が溜まり、上述のようにある日とつぜん爆発、ということになりかねないのです。

 

 

自分も相手も尊重して伝える技術の定義とポイント

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では、どうすればいいのでしょうか? ポイントは、感情的にならずに、「私は」を主語にして、自分の事情や意見を伝え、相談するイメージで頼るような伝え方をすることが有効です。このような、自分の気持ちや考えを正直に伝えながらも、相手のことも配慮する、自分も相手も尊重した表現方法のことを、アサーティブな表現と呼びます。

アサーティブな自己表現

自分自身も相手も大切にした自己表現です。そのためには人の話をよく聴き、その上で自分の考えを伝える必要があります。
また、その「伝え方」もとても大切なのです。お互いに自分と相手を尊重した表現をし、それを大切にし合って理解を深めていくのです。

 

 

最後に

改めて記す事でもないのですが、とにかく感情的にならず、「私は」を主語にして、自分の事情を伝え、相談するイメージで頼る。頼るときには、「どこを改善したら皆がもっと働きやすくなるか、〇〇さんの意見をもらえたら・・・。」というように、相手にとってもらいたい具体的な行動を明確に伝えておくことが重要です。こうした伝え方は、相手を攻撃せずに、自分の気持ちを真摯に伝えたいときに役立ちます。言いにくいことを伝えなければならないときには、ぜひ、参考にしてみてください。

 

 

アサーションが誕生した歴史

アサーションの起源は1949年に出版されたSalterの「条件反射療法」がはじまりとされています。Salter(ソルター)が活動した当初、精神的に問題のある人は抑圧された環境にいました。Salterはそのような患者が主体的にアサーション(自己主張)をすることで人間的な回復ができる考えました。その後、アサーションは20年あまり、精神医学の世界で行動療法や対人関係療法の一部として発展してきました。その後1970年代に、「Your Perfect Right」というアサーションに関する本が アメリカで初めて発売され、ベストセラーになりました。 この本は当時、人種差別や性差別の問題に 大きく影響を与えたといわれています。日本では 1980年代になってから平木典子先生が中心となり、 アサーションが広まってきたようです。