松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

グレーな自動車税の不思議な仕組み

 

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自動車を所有している人は、誰もが納める自動車税。そしてその自動車税は、用途や総排気量により税額が決められています。因みに自家用乗用車の場合は、総排気量1リットル以下で29,500円、1リットル超からは0.5リットル刻みで税額が上がり、最大6リットル超の111,000円まで設定されています。また、軽自動車税は、自家用乗用軽自動車の場合、一律10,800円です。それと大切に乗っていて気がつくと登録から13年以上経った車の場合は、環境負担が大きいと言う事で更に15%~20%の割り増し増税となります。そこで今回は、この使い道の分かり難い自動車税について考えてみたいと思います。

 

納めるべき税金の仕組みに迫る

「とにかく日本の自動車関係の税金は高すぎる。これをとにかく何とかしたい・・・。だいたい日本の自動車関係税は世界でとんでもなく高いんです。ちょっと多いとか、そういうことを言っているんじゃないんです。例えばフランスは保有税はゼロです。米国との比較では31倍。そういう事実を皆さん報道してください」とトヨタ自動車社長でJAMA(日本自動車工業会)の会長でもある豊田章男氏が警鐘を鳴らしているのが、日本の自動車税についてだそうです。JAMA調査によれば、1.8Lの新車を180万円で購入し、13年間使用した場合、ユーザーが負担する税金は170万円にも及びます。一体、なぜここまで高いのでしょう。

 

車に対する若者離れの深刻度

日本は世界でも有数の自動車立国です。資源のない国であるのにもかかわらず、技術や努力をもって世界中に自動車を販売し外貨を獲得しています。ところが、そんな国であるのに、最近では日本の若者が車を買わないという、いわゆる若者の車離れが問題視されるようになっているようです。これは、車同様二輪業界にとっても深刻な問題です。若者が車を買わなくなったのには、いろいろな理由が考えられます。まず収入の問題もあるでしょうし、車以外にもっと楽しいものがあるのかもしれません。しかし、その理由の一つとしては、何といっても維持費の高さではないでしょうか。

 

買うだけで終わらない維持費の罠

車は、走らせればガソリン代金もかかるし、駐車場も必要です。それに、なによりも税金がバカになりません。それにクルマを購入するときにも税金を払わなくてはいけないし、走らせなくても毎年税金がかかります。さらには2年ごとの車検で、またも税金を支払わなくてはならないのです・・・。その如何ともし難いクルマの税金ですが、その内容が、あまりにもグレーすぎることに若干の驚きを感じるかもしれません。

 

自動車課税のエトセトラ

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そもそも自動車には数多くの税金が課せられています。自動車取得税に始まり、自動車税、軽自動車税、自動車重量税、ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)、軽油引取税、石油ガス税、そして消費税です。この税負担は世界でも、とびぬけて高いものになっています。さらには、購入時に支払う税額を比べると、日本はアメリカの約35倍、ドイツで約3倍、イギリスでも約2.5倍と、どれも驚愕の高さなのです。しかも、日本の自動車の税金は、その内容が中々凄いです。数ある自動車税のうち、自動車を所有することに課せられる本当の税金は自動車税と軽自動車税のみなのです。その他に関しては、実際のところ、ある目的を持っていました。それは道路を作るための資金だと言われています・・・。

 

自動車の為だけに使われていた時代

1960年代の高度経済成長期に、日本の自動車保有数は一気に増加しました。しかし、道路の整備はまだまだ発展途上だったのもあり当然インフラ整備が急務となります。しかしながら実際問題は、その道路を作るお金がありませんでした。その為に、「一時的に道路を作るお金を、自動車を使っている人から集めよう」と作られたのが道路特定財源でした。具体的には、自動車重量税、自動車取得税、ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)、軽油引取税、石油ガス税がそうです。しかも、ガソリン税にいたっては最初に決められた額から、途中で額が2倍ほどに増やされしかも24年間にもわたって暫定的な増税が続いているのです。それは、なんと「道路整備を急ぐため」というのが理由で、暫定的に増税されたものだったのです。つまり、整備が一段落すれば、本来は元の安い額に戻すという話だったのです。

 

大義銘文がなくなった瞬間

しかしながら、一度上がったものは下がることはありませんでした。それに、ガソリン料金には、ガソリン税に消費税をかけるという二重課税の問題も生みました・・・。そして遂には、2009年に驚くべき税制改革が行われたのです。それは、道路特定財源の一般財源化です。分かりやすく言うと「道路を作るため」に集めた税金を、国の全体の予算に統合するというものに変化してしまったのです。つまり「道路を作るため」という大儀銘文がなくなってしまったのです。それでも、自動車ユーザーに課せられた様々な自動車関連の税金は、そのまま維持。暫定税率がいつのまにかうやむやになっただけでなく、「何のために支払うのか」という理由さえ反故にされてしまう形になったのです。まさにグレーで不思議な納税ですね・・・。

 

最後に

日本経済が絶好調だった高度経済成長期に作られたのが自動車の税の仕組みだったそうです。作られた当時は、時代に合っていたかもしれませんが、40年以上の月日が流れ、世の中は大きく変貌を遂げました。しかしながら、悪しき習慣というか当時の集金システムだけが古いまま残った形といえるかもしれません。確かに景気が良い時代であれば気にもならなかったかもしれませんが、様々な意味で厳しいこのご時世では、正直、勘弁してほしいと思うのが本音でしょう。仮に若者の車離れを防ぎたいとするならば、まず、税金システムの改正が急務のような気がします。