松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

個性尊重教育がねじれた考えを生む

 

f:id:rjmatsumura:20180805200433j:plain

毎度毎度、同じフレーズになりますが、「それにしても無茶苦茶暑いですね~。」と今日もお客様に10回は言いました。それと今日も暑いニュースをチェックしていたら、こんなのがありました・・・。EUでは、記録的な熱波に見舞われたスペインとポルトガルで4日、気温がなんと46度を超えたそうです。一度1977年にギリシャで記録された欧州での史上最高気温の48.0度というのがあったようで、それに迫る勢いだったそうです。それと驚いたのが、欧州各地では原子炉の運転休止も起きたそうです。

何やらアフリカから押し寄せた熱波が一因で、英気象庁や欧州メディアは、スペイン南西部で46.6度、ポルトガル中部で46.4度を記録したと発表しています。また、首都リスボン郊外では冷房の利用が集中して大規模な停電が発生したそうです。それと、フランスでは冷却水として使う川の水温が上昇し、複数の原子力発電所で原子炉の運転が一時的に止められたそうです。メルトダウンを起こしたらどうするんでしょうね・・・。果たしてこの異常気象は、いつまで続くのか本当に不安ですね・・・。さて、今回は職場でメルトダウンを起こしている元気な若手社員について調べてみました。

最近、企業の中に、自分のやりたい事だけを主張するモンスターな社員が急増しているそうです。また彼らの登場によって、職場崩壊へのカウントダウンが始まっているというのですが、どうやらこの問題の背景には、政府が推進するキャリア教育の弊害があるようです・・・。

 

プライドの高い社員を量産するキャリア教育

聞くところによると、最近の若者は仕事に対してやる意味を求めるそうです。仕事を教えても、意味が理解できなかったり、自分がやりたいことではなかった仕事の時には、仕事自体を放棄することもあるそうです。新卒として企業に入社しても、希望の部署に入れなければ退社をちらつかせ、コピー取りや掃除など雑務は、やりたいことではないと文句を言う。さらには、本人にとってのやりたくないことが続くことで、精神的に病んでしまう若手社員までいるそうです。一般的に新社会人が最初の研修で学ぶであろう、仕事とはやるべきこと、やりたいこと、できることが重なり合うところで遂行するものとする考え方ですが、今の若者は、やりたいことだけに前のめりになっているそうです。もちろん、そんな若者を切り捨てることは簡単ですが、対応を誤れば職場崩壊の危機に発展しかねないのです。なので企業側とすれば、少しでもいい人材を採りたいと採用に時間や労力をかけていて、新入社員も、苦労して就職活動を乗り切ったはず。なのにその結末がこれでは、お互いにあまりにも惨過ぎますね・・・。

 

親の仕事に興味を持たない子供が増殖

f:id:rjmatsumura:20180805200624j:plain

こうした若者が増えている原因の1つは、政府が押し進める、学校現場でのキャリア教育にあるとされています。文部科学省曰く、「キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を身につけるために、普通教育・専門教育を問わず様々な教育活動の中で実施される教育のことを言う。」そうです。簡単に言えば、学生1人1人に合わせて仕事観を育てる教育と言う訳です。たとえば、小学校では、子どもに仕事のことを教える際、昔ながらの職場体験やごっこ遊び、社会人の話を聞くといったことが行われています。そして自己分析といったことをやり始め、将来について少しだけ考える時間を設けているようです。

しかしながら、生徒に仕事観を育ませようとしても、今の子どもたちは親の仕事すら大して把握しておらず、仕事というものを体験活動でしか知らないため、将来のことなんて考えられる状況ではないのかもしれません。そして高校に上がると、段々とやりたいこと探しを強いるようになるものの、具体的な職業教育となるとテンションダダ下がりになるそうです。レクチャーするとしてもせいぜい就職先の相談や、面接での立ち居振る舞いを指導するといったあたりが一般的なところでしょう。そして、ようやくキャリア教育が本格化するのはやはり、大学に進んでからとなります。

 

親の期待にプレッシャーを感じる大学生

大学で行われるのは、エントリーシートの書き方とインターンシップの推進です。ぼんやりとした将来像でもあればいいですが、全く自分の未来を想像できていないような、大学生が以外にゴロゴロいるのが現状のようです・・・。やりたいことを細かく言葉にしなければ、エントリーシートは書けません。でも、親からは公務員か、大手企業への就職を求められている現実に、自分というよりは、親のやってほしいことを探すのが就職活動の大儀になっているようですね・・・。

キャリア教育の難しさは、現代における子どもの家庭環境を抜きには考えられ無いと思います。今の家庭は、兄弟が少なく核家族で、共働き世帯が多く存在します。極端な話、多くの子どもたちは塾と学校を往復し、暇さえあればゲームに興じる生活となっているようです。考えてみると僕の娘も例外ではありませんでした。そんな生活スタイルとなれば、子どもは自分の未来を感じさせてくれるような第三者の大人と出会う機会も当然少なくなります。また、昔と比べて現在のビジネスの仕組みや雇用形態が複雑化したこともあり、子どもは親がしている仕事の内容についてよく理解できず、仕事観や将来を考える機会も減ったと言えるのではないでしょうか。さらに今の子ども世代は、コミュニケーションツールとしてLINEなどを使用し、「了解」については「り」といった一文字で表す略言葉や、スタンプを多用しています。このことからも、言葉を発する機会自体が少なくなったのは明らかですね・・・。

 

放任が作り出した個性尊重教育

f:id:rjmatsumura:20180805200832j:plain

もうこうなるとこの時点で、すでに将来への不安を含んでいます。というのも、企業が求める人材像として、コミュニケーション能力の高さがトップにくることは多いですが、言葉を発する機会が少ない世代は、そのスキルを習得するところがないのです。また、共働き世帯の親は、普段子どもと一緒にいる時間が少ないためか、どうしても甘やかしてしまう傾向にあるようです。我が家では、そんなことはありませんが、ひとつの例として、どうやら子どもには嫌われたくないので、強く言えずにいるなんてのも結構あるそうです。そして、結果苦しい言い訳としてよく使われる言葉が、キャリア教育が掲げる「個性尊重」なのです。要するに個性を尊重し、自発性に任せているという理屈のもとで、放任を正当化するのです。そうして、このような家庭環境を背景とした個性尊重のもと、小学校ではあだ名を禁止したり、教師が生徒を「さん」づけで呼ぶケースも増えてきているそうです。そして、子どもを競争から遠ざけ、運動会の徒競走では横並びにゴールするといった教育が施されるようになったようです。

 

最後に

というわけで、子どもたちは何も準備ができないまま、自立を強いられることになるのです。かつて、その年齢に要求されるレベルに合わせて、指導を行うトップダウン教育への反省から、学校教育の場で一貫して美徳とされている「個性尊重」と「やりたいこと探し」が中心となったキャリア教育が、結果的にモンスターな部下を生み出す土壌となっているのかもしれません。体罰や価値観の押し付けに問題があるのはもちろんですが、放任一辺倒でも子どもは育たないと思います。これ以上ややこしい社会での人間関係を作らない為にも学校教育の現場、そして親たちは、このことを改めて考える必要があるかもしれません。