松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

秋からナンバープレート読取装置導入

 

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今日は、北から張り出した高気圧の影響で久しぶりに涼しい一日でした。こんな日は、とても気持ちよくツーリングが、楽しめライダー達は大満足していることでしょう。さて、今回は知っている人もいるかもしれませんが、間も無く始まる「ナンバープレート読取装置導入」をテーマにしたいと思います。それがどういうものかというと、走行中のクルマのナンバープレートを読み取る装置が、全国へ導入されるという話です。というわけで、その事についてなるべく分かりやすいように説明していきたいと思います。まず、ひとつの大きな目玉として上げられるのが、ナンバープレートを読み取り装置導入により、自賠責保険(強制保険)制度の直面している問題が抜本的に解決される可能性が極めて高い政策という事です。

 

社会問題化する無車検・無保険車にメスを入れる

このシステムは、走行中の自動車のナンバープレートの番号をカメラで読み取り、データと照合、車検の切れたクルマを判別できる装置なのです。そして「ナンバー読取装置」及び「無車検・無保険車等取締り装置」の全国配備が、2018年この秋から始まります。これは国土交通省が進めているもので、無車検・無保険車をなくし、その事故における賠償金の立て替え問題に対し抜本的な対策となる可能性を秘めた革新的な装置とする国交省肝入り政策のようです。

 

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ナンバー読取装置では走行中のクルマのナンバープレートをカメラがとらえPCモニターを使い(画面右上)、読み取り(同右下)、データと照合し車検切れか否かを判定します。そもそもクルマやバイクなどが公道を走るためには、その所有者の意志に関わらず、自賠責(自動車損害賠償責任)保険への加入が義務付けられているので、別名強制保険とも呼ばれています。これは被害者救済を目的としている為、仮に無車検・無保険車で起こした事故であっても、保険加入者と同じ水準で被害者への賠償金を立て替え、その後、加害者へ全額を請求する仕組みとなっているのです。

 

心無い無保険車両が起こす社会的問題

しかし、無車検・無保険車で事故を起こした運転者の賠償能力は著しく低いケースが多く、立替金が充分に返済されず、金融庁の自動車損害賠償責任保険審議会などでも、加入者の保険料をなぜ無保険車=非加入者に使わなければならないのか、という疑問がたびたび提起されているようです。この「無保険」による被害者救済の支払いは、2017年度1年間だけで5億3000万円。1件平均で約370万円かかっているとの事です。また同じように、加害者のわからないひき逃げ事件でも保険料から支払いを行っているそうです。国土交通省自動車局保障制度参事官室曰く「無保険車の事故は、死亡、後遺障害を残すケースが多く、支払い額が高くなる傾向が強くとても困った問題なのです・・・。」と困惑しているようです。

 

別件で捕まえないとわからない違反の仕組み

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そうした現状がある一方で、無車検・無保険車を発見する手段は、おもに幹線道路などで国土交通省が実施する街頭検査や、警察の交通検問、一般ユーザーからの通報などに限られていました。しかも、国交省による街頭検査の主目的は不正改造車の取締りであり、警察が交通検問で発見する場合も、スピード違反や飲酒検問など別の取締りで停車を命じ、そこで車検証の提示を求めて初めて車検切れや自賠責保険未加入が判明する、といったところが実態だったようです。そして今までは、無車検・無保険車の車両を割り出すには、多くの人員と時間を必要とする一方で、決定打となる対策がなかったのでした。今回導入される装置は、走っている車両に対してスピードガンのようにカメラを向けるだけで、まずは無車検車かどうかがわかります。自賠責保険の加入期間は車検の有効期間とセットになっていることが多いので、無車検車=ほぼ無保険車と見ることができます。要するにナンバーの照合で「無車検車である」というところまで確定できる為、その場で公道走行を禁止させることができるのです。そうなると、車両は動かすことができず、必然的にレッカー車などでのけん引で陸送してもらうしか方法が取れなくなる訳です。

 

装置は可搬式で機動力抜群

ナンバー読取装置は、ナンバーを読み取るカメラと、カメラを固定する三脚、システムを統括し画像分析やデータの照合を行うパソコンで構成されているようです。実際の街頭検査は、これを行う道路の実走速度に応じて、カメラを検査場所から離して設置。検査対象車両が検査場所を通過するまでに、車検が有効であるか否かを判別します。読み取ったナンバーと、検査実施前日までに、MOTAS(自動車登録検査業務電子情報処理システム)に登録された車検切れデータを照合し、1.5秒以内に結果を表示すること(国土交通省自動車局整備課)が可能だそうです。導入検討の実証実験では、歩道橋の上などに固定してナンバーを読み取る固定式装置と、現在実施されている入札公告では持ち運びのできる可搬式だけを採用するそうです。固定式だと無車検・無保険車が設置された道路を避けて走ることが考えられるので、より抑止効果を高めるため持ち運びのできる装置が選ばれたようです。

 

最後に

装置の開発で全国に潜在する無車検・無保険車の台数もわかるようになります。国土交通省自動車局整備課の予測では、約0.2%から0.3%程度の比率で無車検車が道路を走っているのではないかと読んでいるようです。そうなると全国に20万台から30万台はある計算になります・・・。そして、国交省は全国10か所にある地方運輸局にこのナンバー読取装置を各1台ずつ配備します。さらに11月からは全国で装置による検査を展開する予定だそうです。スピード違反や駐車禁止など、一般的に犯しがちな違反と同様に、無車検・無保険車もかなり悪質な違反だと思います。なのできっちり保険料を払っている人間がバカを見ることになるのでこれからの動向に注目してみたいと思います。