松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

転職が望ましい人材は希望者の約2割

 

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今の日本は、転職バブルと言われているそうです。ある新聞記事によば、大手転職サイトの中には入社1カ月以内のサイト登録者数が10年間で約30倍に増えたところもあるそうです・・・。一昔前は、勤めだして3年で辞めたとしても「今時の若い者は、辛抱が足らん!」などと言われたものです。おまけにその当時は、3年未満でさえ、早期退職者の増加として問題視されていました。しかし今やいつ退職してもすぐに転職先が見つかるという売り手市場になっているようです。

そして今の政権れで言われて久しくなるアベノミクスのおかげで失業率は過去最低水準、若者には圧倒的な職業選択の自由が与えられ、一部では「失われた20年はついに終わりを告げた・・・。」と分析している人もいるようです。また最近では、「第二新卒」と呼ばれる早期退職者たちの再就職も現代就職事情へ複雑に絡み合っています。

 

転職によって得るものと失われるものを見極める

とにかく今の時代は、よく考えずに転職しようとする人が相変わらず多いようです。転職を希望する早期退職者の言い分としては、どうしても今の職場の人が悪い、環境が悪いという転職理由が圧倒的に多いそうです。そもそもそれらの事は、一過性の感情からくる印象がほとんどでしょう・・・。それに、それだけの理由だと例え別の会社に移ったとしても、また同じことが繰り返される確立が極めて高いと思われます・・・。

自らの落ち度、弱点を棚に上げて、環境さえ変われば何かが変わると転職しても、間違いなく何も変わりません。それより自分に問題点がないかしっかり把握した上で、問題を修正するために環境をがらりと変えるのがどう考えてもプラスだというのであれば、転職にトライすべきでしょう。その時でも、環境を変えることに伴うリスクは甚大だということは、覚悟しておくべきです。

 

転職で陥りがちな失うリスク

そもそもよく考えずに転職するというのは、転職によって得られるものだけを見てしまって、失われるものを考慮していないという事が、多分にあります。たとえば、人間関係、年収、ステータス、場合によっては仕事内容など・・・。転職は、結果的に働く環境を全て新しいものに取り替える。が本質なので、かなりのリスクを伴うことは明らかです。転職活動においてはもちろんですが、転職後の環境に慣れる際にも心身ともにエネルギーを要します。逆に、もし転職によって得られるものが一つだけの場合、本当に転職する必要があるのか、今一度冷静に考えたほうがいいでしょう。たとえば、年収だけが不満なら、転職せずに年収を上げる方法として交渉するなど、考えるのもひとつの手です。それに最近では、複業という手段もあります。とにかく転職によって何を変えたいのかを明確にし、変えるべきところだけ変えるようにする事が、リスク無き転職への心構えだと思います。

 

転職は人材業界の商材

さて、人手不足を背景に転職ブームがもてはやされている昨今ですが、入社早々に退職を検討する人たちは、自らの転職理由を冷静に分析できているのかが問題です・・・。そもそも、転職バブルという言葉は、人材業界の仕掛けたマーケティングの商材にすぎない気がします。少子高齢化による人手不足で企業に紹介する人材がいないから、既存の人材を動かすしかないという発想で、転職市場の活性化を図ろうという訳ではないでしょうか。とにかく人材業界は転職してもらわないと儲からないので、斡旋業者も恐らく必死だと思われます。

 

早期退職者の約1/3は何となく転職している

転職には、いくつかのタイプがあると思います。ひとつは、仕事の内容がずさんであったり、上司のパワハラがひどいとか、要するに職場がブラック過ぎるなど、客観的に考えて外部に要因があることから転職するケース。もう一つは、上司とのコミュニケーションがうまくいかないとか、周りからサポートしてもらえないとか、一見すると外部要因のように見えるけれども、実はその人の積極性や周囲への気配りが足りないことが問題である場合、いわば内部要因から転職するケースです。そして、意外に多いのは、残何となく転職をするケースです・・・。とにかく今の仕事に飽きたとか、今の閉塞感は環境を変えれば解消する気がする。といった理由から転職する人たちがこれに当たります。現在ではあまりの人手不足のために、飽きたとか、環境を変えて閉塞感を解消したい。といった、以前なら転職が考えられなかったような理由でも問題なく転職できてしまう恐ろしい現状なのです・・・。

 

わがまま放題でも希望条件が通る怖さ

人手不足ゆえに、ある程度の条件を提示しても転職できるのでは・・・?という漠然としたイメージが広がったことで、今までの常識が通用しない状況が発生しているようです。たとえば、残業が月20時間以内で、実家から30分以内で通える範囲の会社という条件を希望した場合、数日後に斡旋先から連絡があり、「希望条件で内定が決まりました。」と答えが返ってくるのです。ここまで来ると正直理解に苦しみます。

 

大手に転職したいという強い思い

大手企業に入りたいのであれば、基本的には新卒時の就職活動で入社を目指すことになります。人手不足とはいえ、大手は新卒枠で必要な人材を確保できるので、他企業の早期退職者をあえて受け入れる必要がないからです。したがって、どうしても大手に転職したいのなら、何年であろうが十分な経験と実績を積んで、採用市場から評価される人材になるか、そうでなければ、もう一度新卒枠で就職活動をし直すしかありません。若手人材の価値が最も高く評価されるのは、良くも悪くも新卒時だけです。人手不足で売り手市場になろうが、こればかりは、今も変わらない事実なのです。日本人は新品好きとよく言われますが、モノではないヒトであっても、その傾向は間違いなくあります。但し、即戦力として評価される中途採用は別ですけどね・・・。したがって、大手企業に執着するあまり、早期退職してまで大手に転職しようとしている人は、慎重に現実を直視して行動しなければ取り返しのつかない事になってしまいます。

 

最後に

これから本気で、転職する場合には、上記の事をふまえて更に自己分析(強み、弱みといった特性を把握する)と、明確なキャリアプランの設計を行いその上で転職に取り組む事が、望ましいと思います。