松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

なぜか信じられない国の年金制度

 

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 ここ2日3日はとても暖かく、紅葉が色付きはじめる京都でも日中は汗ばむくらいの暖かさです。せっかく暖房器を買ったのに活躍するのは、もう少し先かもしれません。ところで話はコロッと変わりまして最近は、働き方改革や人生100年時代構想等どれも、少子高齢化が進む中何となく高齢者にスポットが、当たっている様な気がします。それが証拠に安倍首相は10月22日に自らが議長を務めている未来投資会議で、企業の継続雇用年数を現状の65歳から70歳へ引き上げるとの方針を発表しました。

その昔、日本で初めて定年が定められたのは1887年の海軍火薬製造所と言うところで、当時は55歳に設定されていたと聞きます。1919年に入ると実質的に定年を60歳に定められ、そして21世紀に入ると益々少子高齢化や団塊世代の存在から、2004年に65歳までの継続雇用の義務化が施行され20年も経たないうちに今回の70歳へと引き上げられたのです。そこで考えるに恐らくその裏には、様々な国の台所事情があるのでしょう。たとえば、年金事情なんかもそのひとつの様な気がします。因みに日本は、現在賦課方式(ふかほうしき)を主に使っていますが、単純にこのままだと枯渇するのでは?なんて不安を感じている人も沢山いるのではないでしょうか。そこで今回は、そんな年金制度がいまいち信じられない原因について考えて見たいと思います。

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なぜ年金制度を何となく信じられないのか

 少し前になるのですが、某保険会社が保険加入者を対象としたアンケートで、将来受け取るであろう国の年金額の水準について聞いたそうです。すると20歳代の人で17%、30歳代の人で11%が「受け取れないと思う」と回答したそうです。そもそも年金制度を若い人ほど信じられないのは様々な情報が飛び交う中、一般的に言われていることですが、そもそもなぜ信じていないのか、その信じない理由には根拠があるのか、と問われれば多くの人は「なんとなくそう思う」と答えるのではないでしょうか。そこで「なんとなく信じられない」について、逆の角度から考えたいと思います。「なんとなく信じられない」はもしかしたら実態のないものを疑うようなもので、疑心暗鬼になっているかもしれません。

 

今は負担のみそして実感のない仕組み

 そもそも年金制度ほど今の若い人が実感できず不公平感を感じる制度はないかもしれません。というのも、子どもから学生の時代、そして社会人として働く時代、最後に年金生活時代と人生を分けた時、社会人として働く時代は、負担のみで制度自体に負担感しか感じられないからです。おまけに、保険料の負担をする期間はとても長く、20歳から65歳までとすれば45年間ひたすら払い続けるのに最悪は、貰えないなんて事になります。実際に年金を受けられる年齢になると、この制度があってよかったな、と実感することになるのですが、現実的に20~30歳代にとっては制度のメリットについてリアリティがないかもしれません。

 

年金関係の噂は悪い話ばかり耳に入る

 そもそも年金については悪いニュースのほうが話題性があるので、悪いニュースはたくさん報じられ、よいニュースはほとんど報じられないのが現状です。それに以前、年金運用が大損したとニュースがあったり、今でも日本は、年金の運用は下手だからじきに財源がなくなると思っている人が多いのではないでしょうか。しかし実のところ今、年金運用は過去最高水準の残高を積み上げているようです。要するに運用で儲かったことはかつて運用損が報じられたと同じように報じられないという事です。確かに65歳から無職で年金は75歳受け取りになる。というようなあおり記事は今でもありますが、どうやら今の段階では、年金は破たんしなさそうです。

 

年金は損得が一番わかりやすい制度

 恐らく誰もが年金は、払い損だと思っているでしょう。しかし実は年金制度だけが、以外にも損得を計算しやすい制度になっているのです。なので損得が計算しやすいことが、逆に制度の不信感を高めているのかもしれません。たとえば、住民税や所得税、消費税を払っていて、これが払い損か得かなど恐らく誰もわかっていないと思います。なんとなく損だと思っていて不信感を持っていても、まあそんなものかなと自己完結している人が殆どでしょう。なので年金制度だけが、年金をもらう=老後を餓えずに生きるという理屈になり、おまけに仕組み上も保険料の負担と給付額が明確にわかります。即ち損得が計算し易い訳という事です。

 

そもそも仕組みをよく知らない事が問題

 そして最後の理由は、知らないで不信を持っていることです。これは、問題です。恐らく世の中には、知らないけどまあそんなもんだろう・・・。と受け入れていることは沢山あるのではないでしょうか。よくよく考えてみると、年金記録問題のトラブルや給付のトラブル、個人情報流出のトラブルがなければ、殆どの国民が、仕組みはよくわからないけど、まあそんなものだろう・・・。と年金制度を気にも留めなかったかもしれません。しかし、年金制度も制度の理解を深めるほど、それなりに考えられた仕組みであり、不公平をできるだけ大きくしないような工夫が見えてきます。要するに知らない事が「不信」の原因と言う事でしょう。

 

最後に

 いまさら不信感そのものを無かった事にはできませんが、しかし根拠のない不信感は素直に取り除く必要があると思います。かと言って不信感はゼロにする必要も無いと思うのです。僕たち国民が疑いの目を向け、厳しく監督をしていくことも大切なことだからです。従って、一応文句も愚痴もいうけれど、それでも保険料はきっちり払って、将来の年金受給の権利はなくさない。これが年金との正しい付き合い方だと思います。