松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

厳しい指導がパワハラという犯罪になった瞬間

 

 f:id:rjmatsumura:20181120231806j:plain

 前回、ハラスメントには35種類もあるなんて記事を書きましたが、考えてみると一歩間違えば、犯罪として成立するものもあります。傲慢な態度が鼻に付く上司や、腑に落ちない事でこっぴどく叱られても、今まで「ま~嫌な上司というのはこんなもんでしょう・・・。」と当たり前と思っていました。ところが今や少しでも傲慢さが上司の態度に出ようもんなら、虎の尾を踏んだ瞬間のように「それは、パワハラです!」という事になり訳も分からないうちに職場で吊るし上げに合うなんて上司が増えているようです・・・。そもそもこんな恐ろしい事にまでなってしまうハラスメントの起源ってなに?

と気になったので少し調べて見ました。ま~今では、恐らくこの言葉を知らない人はいないと思われるほどメジャーになったパワハラですが、言葉自体が生み出されたのは2001年と、ごく最近のことでした。しかも、イメージ的にアメリカかヨーロッパから広がった言葉だと思われがちですが、実は日本が発祥だったのです。これには僕もすっかり騙されていました・・・。というかてっきりアメリカかヨーロッパから広がった言葉だと思い込んでいました。

そのパワーハラスメント(Power  Harassment)という単語の産みの親は、(株)クオレ・シー・キューブの代表取締役・岡田康子氏です。もともとクオレ・シー・キューブではセクシャル・ハラスメント(セクハラ)の研修をメインで開催していましたが、その中で岡田氏は、職場で大変な辛い思いをしているのは女性に限ったことではなく男性社員もまた深刻な悩みを抱えているのだと気づいたのだそうです。

そんな経緯を経て、今現代パワハラやセクハラを理由に経営者や役職者、指導者のような上の立場の人が訴えられるケースが増えているのです。それが事実であればもちろん許されるものではありませんが、時に上司は部下を厳しく指導しなければならない場面もあるはずです。それでもその指導方法は、パワハラに当たるのでしょうか。

 

厳しい指導とパワハラの境界線を探る

 厳しい指導とパワハラの違いは、普段からコミュニケーションが取れているか否かです。つまり、部下と上司の間に信頼関係があるかどうかで大きく変わります。要は、相手のためを思っているというだけでは不十分なのです。まずは信頼関係です。そもそもコミュニケーションには意味と意識という2つの要素が存在しているそうです。例えば、上司が部下に「コピーを100枚取ってほしい」と言うのは、自分がしてほしいことの意味を伝えています。しかし部下が意味を理解したからといって、思い通りに動いてくれるとは限りません。嫌いな上司に命じられたコピー作業はイヤイヤやるのに対し、好きな上司に渡すコピーなら喜んでそれを行い、丁寧に仕上げてくれるでしょう。この場合、嫌いな上司とは意識の共有ができていないので、作業がおざなりになってしまうと考えられます。

 

自分の言った事は必ず守る

 厳しい指導とパワハラの違いもそこにあります。意識の共有ができている信頼できる上司からの指導であれば、もちろん言い方に配慮は必要ですが、部下は素直に受け入れるでしょう。信頼できない上司の叱責は、部下にとってはパワハラでしかないのです。そこで、信頼を得るためには一体何が必要でしょうか。それは、ズバリ言ったことを守るということです。飲みに行くといった小さな約束でも、業績目標でも言ったことを守ることが大切です。それが信頼を得る第一歩なのです。言ったことを守らない人は、上司だけでなくどんな人でも、他人からは信頼されないのは明らかです。

 

今の若手も本心は説教を求めているのかも

 現代の若い人は叱られることに慣れていないため、叱ったり説教をしたりすることをためらう上司もいるでしょう。しかし決して叱られることを拒絶している若手ばかりではないのではと考えてしまいます。本当に自分の事を考えて叱ってくれていると感じれば、その人には、信頼と敬意を払い間違ってもパワハラなんて考えには、至らないでしょう。

 

信頼の証は気軽に話せる関係かも

 普段からコミュニケーションを取ろうとしない、その上たいした実績も残していない上司が部下に「おまえのために叱っているんだ」などと言おうものなら、相手は頭を下げていたとしても腹の中では「おまえに言われたくないわ」と舌を出すでしょうし、そしてやり過ぎればパワハラと騒ぎ出すでしょう。なので指導する立場の人達は、日頃の言動に責任を持ち、部下が納得するような実績を残し、部下から信頼を得ることの重要性を認識しなければなりません。

 

コミュニケーションを図る機会を持つ

もちろん経営者自身もそうでなければなりません。さらに飲み会や忘年会のようなざっくばらんに話ができる場をつくって、上司と部下、部下と部下の「意識」が通じるようなコミュニケーションを図る機会を持つことも大切です。だからと言って酒の上なら何を言ってもいい、何をやってもいいと思うのは間違いで、隣の人のコップが空になっていたらお酒をつぐ、話を合わせて盛り上げる、話していない人がいたらその人と話をするというような気配りをすることで、飲み会でのマナーが身に付くし、コミュニケーション能力も高まります。

 

最後に

これは部下が上司に対してだけでなく、またその逆の上司が部下に対しても同じです。いずれにしても気配りが必要なのです。部下の為に良かれと思い厳しい指導の末に「パワハラ」というレッテルを貼られない様にしましょう。因みに現在パワハラされる側の人達もいずれ上司になり次の後輩たちにパワハラを指摘されるかもしれないので、そうならない様、意思の疎通と信頼関係をしっかり築いておきましょう・・・