松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

怖いと聞けば余計に見たくなる心理

 

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 僕は、子供の頃からオカルトやホラー映画など興味があるものの苦手でした。それは、今現在もスタンスは変わっていません。たとえば、子供の頃、友人が大のリンダ・ブレアファンでその友人が一緒に映画を見に行ってくれと頼まれた事がありました。あまり乗り気はしなかったのですが、仕方なく付いていきました。因みにその映画は、「エクソシスト」でした。超怖かったです。確か中学1年生の頃で一番前の席に二人で座り見た記憶があります。その頃は、大阪住んでいてリバイバル上映だったと思います。地元の寂れた映画館で普段は、成人映画ばかり上映しているような所でした。

その日もひと気の無いガラガラな映画館の様子が、今もしっかり覚えています。とにかく当時は、心霊写真ブームでつのだじろう先生が書いていた「恐怖新聞」とか「うしろの百太郎」など、みんなでよくまわし読みしていました。あと、楳図かずお先生の描く漫画も怖かったですね・・・。特に「漂流学級」は、なかなかでした。そんなブームの中で青春時代を過ごしていたので苦手なくせに興味だけはあるのです。

そこで今回は、そんな「怖いもの見たさ」とでも言うのでしょうか、そんな心理について調べてみたいと思います。僕のように、できれば見ない方がいいと思うことや、これは見てはいけない・・・。と思えば思うほど見たくなる、ダメと言われるとかえってやりたくなる・・・。そんな衝動的な気持ちを経験したことは誰しもあるのではないでしょうか。

 

やってみたくなる心理現象とは

 専門家曰く、人は生まれながらにして自分の行動や選択は自分で決めたいという欲求を持っているそうです。この欲求が侵されたとき無意識に抵抗を示すという、一種の反発作用のことを心理的リアクタンスと言い、心理的反発とも呼ばれているそうです。そもそもリアクタンス(Reactance)という用語は、僕も始めて聴く言葉です。もともと電気回路で電流の流れにくさを表す量のことを指していて、疑似的な抵抗と言う意味があるそうです。そして、心理的リアクタンスはここから転じた用語で、1966年に心理学者のブレーム氏が名づけたとなっています。何かを行っていく為のモティベーションのプロセスで、自分に自由があると信じているとき、その自由が失われそうになると起こってくる心理的反発を表しているのです。失われた自由を回復しようと作用する心理、と言う訳ですね。

そしてこの「心理的リアクタンス」によって起こる効果として、取りざたされるのが「カリギュラ効果」だそうです。これもた初めて耳にする言葉です。これは、1980年に封切されたイタリアとアメリカの合作映画で『カリギュラ』は、当時、表向きローマ皇帝カリギュラを描いた歴史大作とPRされてたそうですが、実態はポルノまがいの過激な映画だったため一部地域で上映禁止が相次いだそうです。

そうすると、見たくなる人が続出して、まだ上映されている映画館に人が殺到したといいます。そこから、禁止されるほどやってみたくなる心理状態を「カリギュラ効果」と呼ぶようになったそうです。日本でも古くからある民話「鶴の恩返し」というのがありますが、まさにカリギュラ効果がテーマの物語かもしれませんね。物語としては、主人公が罠にかかった鶴を助けると、鶴は人間の女性に姿を変えて現れ恩を返すというお話です。部屋にこもって布を織っているときは決して見ないでくださいとお願いするのですが、ご存じのとおり見てしまって鶴は去ってゆくといった感じですね。要するに国は関係なく、カリギュラ効果や心理的リアクタンスは、誰しも思い至る心理かもしれません。

 

危機的状況に置かれた時の行動

 ファイト・オア・フライトという心理を知っているでしょうか?ファイト・オア・フライトは、専門家がストレス反応を説明するときにもよく用いられるフレーズだそうです。「fight or flight」、即ち「逃げるか戦うか」の危機的状況に置かれた時、人間や動物が起こす本能的反応を指しているそうです。こうした危機的状況において、何かによって物理的・精神的に脅かされたり危害を加えられたりすることを恐れる心理が、恐怖という事になります。この時、生理的に以下のような症状が現れます。

  • 血の気が引く
  • 動機が激しくなる
  • 冷や汗が出る
  • 震える
  • 失禁する

などの反応が起こります。

急激なストレスに対して自律神経である交感神経が働き、戦うにせよ逃げるにせよ、ドーパミンやノルアドレナリンが分泌され、ある種の陶酔状態に陥るのです。そして、生き延びるための行動を起こすエネルギーが提供され、危機的状況の克服が可能になります。原始の時代からプログラミングされているこうした反射的行為は、昔のような生命の危険はなくなっても、「怖いもの見たさ」といった形で残っていると考えられます。

 

好奇心見方変えれば野次馬根性

 人は、未知のものごとに遭遇した時、意味や理由を知りたがる心理である好奇心も、動物や人間に備わっている基本的な欲求だそうです。動物の場合は探索行動(たんさくこうどう)と呼ばれているそうです。また、好奇心にもいくつかタイプがあり、たとえば、知的好奇心は知識と理解を求めようとする意欲で、科学・技術の発展を後押しする原動力の一つになっているとされています。

また、人の持つ冒険心は世界の未開地を開拓してきました。しかし、野次馬根性(やじうまこんじょう)などの欲求は個人のプライバシーをのぞき見するなど困った面も持っています。こうした好奇心の類が「怖いもの見たさ」に関与している場合も少なくないかもしれません。

 

人の心に必ずある反抗の心理

 禁止や抑圧など生きる自由が侵害されたとき、心理的リアクタンスが生じるとされています。たとえば、「これ以上食べちゃだめ」と禁止されると、むしろ甘いお菓子を食べてしまってメタボが解消できないカリギュラ効果とか、「この人とつき合ってはいけない」と親が固く禁止するがゆえに、恋心がますます募るロミオとジュリエット効果とか、商品を購入しそうな客に一生懸命アピールしたら、逆に買ってもらえなかったブーメラン効果などです。こうした、行動の禁止や抑圧、高圧的な説得は、リアクタンスを喚起させ逆方向に態度を変化させる可能性があるといいます。そういう人間の心理を知っておくことは、人生においても仕事においてもとても有利に働くでしょう。

 

最後に

 聞くところによると心理的リアクタンスはマーケティングなどに応用されることも多く、PRや説得の手段としても活用されているそうです。たとえば、雑誌の袋とじ企画や、CM終了後、30分間だけ安くなります。などは、隠す、時間を制限するなどの、禁止や抑圧を利用した販売テクニックとされています。従って「怖いもの見たさ」は反抗心や反発心の強い人に起こりがちな心理という事になります。なのでこういった行動に走り気味のタイプは、自分の性格をよく考え、意地になったり無茶をしたりするのではなく、新しい発見につながるような好転に働くように考え方をシフトしましょう・・・。

参考資料:株式会社 とらうべ