松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

人の悪口を言う事からの卒業

 

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 最近、人の生死にまで影響を及ぼすネット界での悪口や誹謗中傷が目立っています。それは見ていて決して楽しいものではありません。にもかかわらず、人はなぜ悪口をやめられないのでしょうか? もちろんすべての人がという意味ではありません。それでも確実に誹謗中傷が好きな人は存在します。それではなぜ人は、悪口、誹謗中傷が好きなのでしょうか? 自分がされれたことを想定せず、中には全く悪気なく行ったり、なんなら正義の鉄槌とばかりに行う人もいるかもしれません。それはどれもすべてが、相手に対し精神的なダメージを与える行為なのに、どうしてやめられないのでしょうか?というわけで今回はそんな悪口を言う心理について調べてみました。

 

人を悪く言ってしまう心理とは

 アメリカの有名な心理学者の言葉に、「人間はついつい他人と自分を比較してしまう生き物です…。」というのがあるそうです。とくに日本人の場合は、集団での和を乱さないよう他人の顔色をうかがったり、他人の行動や言葉に目を光らせたり、自分と比べるなどの傾向がとても強い民族だと考えられているそうです…。コロナウイルスの流行に伴ってどこからともなくあらわれた「自粛警察」と呼ばれる人たちも、自分達は自粛のルールを守っているのに、それを守ろうとしない奴がいるという怒りが行動の元になっているようです。要するに、他人と比較してしまう心理が原因になっているのです。人間は、他人と自分を比べたときに自分が優れていると「優越感」を抱きます。その逆に、自分が劣っていると感じたときに「劣等感」を抱きます。劣等感は強烈なネガティブ感情なので、それを何とか払拭したいという衝動にかられる。それを、悪口や誹謗中傷という形で発露したくなるのです。まさに歪んだ防衛本能なのです。

 

悪口は嫌な自分んを曝け出す

 悪気があろうがなかろうが、とにかく悪口や誹謗中傷を言うことで、相手を簡単におとしめることができます。自分対相手との比較において、相手を引きずり下ろすことによって、自分の価値を相対的に高めることができるのです。それによって、内なる劣等感を緩和しようという心理が働いてしまうのです。ところで「自己肯定感」という言葉をご存じでしょうか?「自己肯定感」という言葉は1994年に高垣忠一郎 教授(日本の臨床心理学者)によって提唱された言葉です。そしてその自己肯定感ですが、低ければ低い人ほど自分に自信が持てないことを表しています。そういう人は、自分対相手との比較において、自分が劣っていると感じやすい傾向があります。なので、実は自己肯定感の低い人ほど悪口を言う傾向にあるのです。逆に自己肯定感が高い人は、自分の考えや行動に自信を持てます。他人にとやかく言われても、その考えや行動はゆらぎません。相手と自分をいちいち比較することもなければ、悪口を言うこともないのです。従って、もし自分の周りに悪口好きな人がいたとしても、それは自己肯定感が低いとっても残念な人なんだな~…。と冷静に聞き流すことができるはずです。

 

悪口はひとつの病気である

 今回のテーマでもある、悪口が好きな人はなぜそれをやめられないか?ですが、 それは悪口はひとつの病気?と考えられるということです。少し専門的な話になりますが、たとえば、誰かの悪口を言うとします。するとやる気や快楽に関与するホルモンいわゆる中枢神経内でドーパミンが放出されます。ドーパミンが出ると人は楽しい気分になるとされています。だから、悪口を言うことは基本的に楽しいことなのです。しかし、ドーパミンはよくばりな脳内物質でもあり、一度放出されるとより大きな刺激を求めるようになります。つまり、悪口の回数を増やしたり、より過激な悪口を言わないと、新たにドーパミンが出ず、楽しい気分になれなくなってしまうのです。

結果、悪口を言うことが癖になって、なかなかそれを改善しづらい状態に陥るようです。なので人は悪口を言えば言うほど深みにはまってしまうというわけです。これはアルコール依存症や、薬物依存症とある意味同じ原理です。なので悪口を言う人即ち依存症という病と解釈できるのです。多くの人は、悪口は「ストレス発散になる」と思っているでしょう。恥ずかしながら僕もそう思っていました。しかし、実際は逆なのです。悪口はストレスを増やします。最悪の場合、脳を傷つけ、寿命を縮める危険性もあるのです。

 

悪口は百害あって一利なし

 海外の専門機関での研究によると、世間や他人に対する皮肉・批判度の高い人は認知症のリスクが3倍、死亡率が1.4倍も高い結果となったそうです。批判的な傾向が高ければ高いほど、死亡率は高まる傾向にあったそうです。また、悪口を言うと、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されるそうです。コルチゾールというのは、ストレスを感じたときに放出されるホルモンです。前述でドーパミンが放出されると言ったので快楽を得ていると書きましたが、悪口を言っているときは同時にストレスも感じているということなのです。これも調べるまで全く知りませんでした。

 

返報性の法則

 心理学の法則で「返報性の法則」というのがあるそうです。たとえば、人は誰かに親切にされたとき、「その親切をお返ししないといけない…。」という気持ちが湧き上がる心理のことだそうです。即ち「好意の返報性」を上手に使うと、人は自身の信頼度を高め、人間関係を深めることが可能になるのです。しかし、残念なことに世の中の多くの人は、「悪意の返報性」を使っているといいます。ネガティブな感情に対しては、人はネガティブな感情を返したくなるものです。「やられたらやり返す・・・倍返しだ!!」とやり返してしまうのが、正に悪意の返報性なのです。そして人に悪口を言うと、やはり悪意の返報性で悪いものが帰ってくるのです。本人がいないから悪口を言っても大丈夫と思っていても、人の目に映るあなたは「よく悪口を言う人」と周りにネガティブな印象を植え付けてしまいます。要するるに、いつ自分に矛先が向かうかわからないので、周りの人たちは必然的に悪口を言う人を心から信頼しなくなるのです。間違っても打ち解ける意味で言ったとか、親近感を持ってもらう意味で言ったは、まったくの見当違いなのです。

 

最後に

 それでは健康を害し、信頼を失う悪口をやめるには一体どうしたらいいでしょうか?そのいちばんの近道は「自分を褒める」ことだそうです。悪口を言う人は、自己肯定感が低い人。つまり、自己肯定感が高まれば、悪口は自然と減っていきます。気に入らない相手をおとしめるのではなく、自分を高めることによって、相手と自分のギャップを埋める作戦に出るのです。自分のささいな成功を独り言でもなんでも、褒めてみるのです。褒めるのが無理なら、ネガティブをポジティブに置き換えるだけでも十分効果はあると思います。誰かの成功をねたむのではなく自分もそうなろうと考えるのです。どんな形であれ自分の中でポジティブな言動を積み上げることで、自己肯定感が高まり、怒りや嫉妬、不充足感が満たされ、ネガティブな感情を抑えることができます。結果、気が付くと悪口や誹謗中傷から卒業できているわけです。「そんなうまくいくわけない…。」とネガティブになる前にまずは「ま~、ダメもとでやってみようか!」とポジティブに考える努力をしていきましょう。