松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

しないところはしない有休義務化の現実

 

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 有休取得の義務付けがスタートして早くも一ヶ月になります。ところで意外と知られていないのが、パート・アルバイトの有休事情だと思います。確かにマスコミでもそんなに取り上げていたイメージが無いので無理もありませんけどね・・・。しかし調べてみると、パート・アルバイトも確かに有休取得の権利があり、今回の義務付けの対象になる人も多いといいます。ところがそのことをあえて知らせない企業も存在し、未だ悪質な雇用を維持してるケースもあるようです。

 

戦士の休息は当然の権利である

 改めてになりますが、4月1日に働き方改革関連法が施行され、年5日の有給休暇の取得が義務づけられました。具体的には、年次有給休暇(有休)が年10日以上与えられている従業員に対して、使用者は最低でも5日以上時季を指定して取得させる義務が生じるというものです・・・。そもそも有休は労働者の絶対的権利であり、いつ使うかも基本的に会社が拒否する権限はないのです。それに会社が取得を拒否すれば6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるというものなのです。また、今回の取得義務化でも年5日の有休を取得させなかった場合は、30万円以下の罰金を支払うことになるそうです。しかも罰則違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われるので、年5日を下回る社員がいれば1人につき30万円を支払うことになります。たとえば、そんな社員が、10人いれば、30万円×10人で罰金300万円となるのです。恐ろしい・・・。

 

パート・アルバイトに有給制度を伝えない雇用主

 対象となる従業員は正社員や管理職だけではなく、契約社員、パート・アルバイトなどの非正規労働者も含まれています。総務省労働力調査2018年の調査によると、非正規労働者は2120万人で、そのうち女性は68.4%と圧倒的多数を占めているそうです。そのうち25~44歳のいわゆる子育て世代が33.7%を占めるとの結果も出ています。僕も知りませんでしたが、パート・アルバイト自体もともと有休取得の権利を持っていて、ようやく今回の法改正で対象になる人もでてきたようです・・・。しかしながら、人手不足を理由に、心無い経営者が、有休隠しを行う可能性が指摘されています。

たとえば、パート・アルバイトは月給制の正社員と違い、日給や時給の人が多く、出勤日や出勤時間によって給与が違います。もちろん有休を与えなければならないのですが、パート・アルバイトの中には有休があることを知らないで働いている人もいるかもしれません。また、知らないことをいいことに有休があることを教えない経営者もいるみたいです。年5日の有休取得が義務づけられても、そのままスルーしてしまう経営者が存在する限り、根絶するのにはしばらく時間がかかりそうですね。

 

出来ればその話に触れたくない経営者の存在

 パート・アルバイトが多く働く飲食業界や小売業界では、法律で決められた労働者の権利をあえて教えずに放置しているところもあるようです・・・。たとえばアルバイトが「有休ってあるんですか?」と訊ねられた時に初めて「あるには、あるけどここでは厳しいかも・・・。」と言う。中には「うちの会社には有休なんてないよ。」とアッサリ言い切ってしまう凄い経営者もいるようです。

調べによるとフルタイム勤務の場合は入社日から6カ月後に10日の有休の権利が自動的に発生するそうですが、パートは出勤日によって異なります。所定労働時間が週30時間未満で、かつ週4日以下の場合に付与される有休日数は、週2日のパート勤務であっても、年間73日以上働く見込みがあれば、6カ月後に3日の有休が発生するそうです。しかし実際のところは、このことを知らない人が殆どでしょう・・・。

 

どこにでもいる有休を取らせな経営者

 今回の年5日の有休取得義務づけは、有休付与日数が年10日未満の人は対象になりません。しかし、週4日勤務の人は3年6カ月目で取得義務の対象となる10日になります。週3日勤務の人も5年6カ月目で10日になります。パート・アルバイトの中には5年以上の長期勤務者も多いはずです・・・。なので自分の為にも会社任せにしないで自分の有休日数を確認することに注意を払いましょう。10日以上付与されているのに5日取得していなければ、場合によっては、勇気を持って労基署に告発すべきかもしれませんね。

 

育休明けの注意すべきポイント

 あともう一つ、働く女性が注意しないといけないことがあります。育児休業中の社員が年度の途中で復職した場合でも年5日の取得義務が発生するのです。たとえば年度途中の2月に復職した場合、経営者の中には「去年4月から10カ月も休んでいたのだから5日取得させなくてもいいだろう・・・。」と、考える人もいるかもしれません。しかし、それは間違っています。労働基準法によると、育児休業または介護休業をした期間、産前産後の女性が休業した期間は出勤したものとみなす・・・。という規定があるのです。

育児休業中も勤務期間とみなされ、たとえ復職しても年5日の有休を取得させなければれっきとした法律違反となるのです。因みに厚生労働省の指導内容によると、「年度の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、年5日の年次有給休暇を確実に取得していただく必要があります。ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではありません」残りの勤務日数が5日より少ない場合を除いて、会社は確実に取得させる必要があるというわけです。

 

最後に

 そもそも有休は労働者の絶対的権利であり、いつ使うかも基本的に会社が拒否する権限はありません。今回の取得義務づけは従来の権利からさらに一歩踏み込んで、使用者に確実に取得させるように義務付けたことに最大の特徴があるのかもしれません。なのでこれからは、会社に遠慮することなく堂々と取得していきましょう。間も無く始まる「令和」の時代は、雇用される側にとっても素晴らしい時代になることを祈りたいものです。