松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

メモに笑う者がメモに泣く理由

 

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 僕は仕事柄、お客様とのやり取りでメモを書かない日がありません。「言った、言わなかった」などもありますが、とにかくお客様との約束などうっかり忘れたが、通らないからです。そこで今回は、ビジネスの現場でのメモ事情について考えてみることにしました。今も昔もビジネスパーソンにとって、メモを取るという行為はとても重要だと考えます。しかし実際は、顧客との簡単な打ち合わせでは、メモを取らないビジネスマンは意外と多いように思います・・・。

 

メモは大切と理解していても出来ない理由

 そもそもメモとは、大切な内容はそのまま聞き流さずメモした方がいい・・・。というのが一般的解釈だと思います。メモ自体は正直それほど難しい技術が必要なものではありません。それに「メモは大切だ・・・。」と聞いて否定する人はまずいないでしょう。それに実際、メモの効果を知らない人はま~いないのではないでしょうか・・・。要するにメモをとれば間違いなく効果があり、結果も出るのです。にもかかわらず、実行率は極めて低いのが現状のようです。よく考えてみて下さい。メモほど、誰にでも簡単にできるのに何故かやっていないという技はないかもしれませんね・・・。

 

巷のメモ事情

 実際に世の中では、どれだけの人が手帳やノートにメモをとっているのでしょうか?仮にとっていたとしても、きちんとできる人がどれほどいるのでしょう。たとえば、商談でこちらの要望を伝えたとします。そして相手もこちらの目を見てしっかり聞いてくれたとします。しかし何故かメモはとらない・・・。この場合の心理としては、大事なことと分かっていながらも、「これくらいなら覚えられるから別にメモをとらなくてイイや・・・。」こんな感じでしょうか。しかしそんな案件に限って事故やトラブルが起きるものです。もし大事な商談でクライアントを怒らせようものなら一社員レベルでは、責任を取れない損失を被る事も大いにありうるのです。

 

事の重大性に気付かない社員

 相手の話をしっかり聞いていたとしてもメモにとらないと記憶違いや解釈の違いなどトラブルのきっかけになります。それでも間違いに気付き「あぁ!そうでしたね。すみません」と平謝りしたところで、もうあとの祭りです。間違いなく急降下で信用を落します。その人がたとえ誠実そうであったとしても目を見て真剣に話を聞き「分かりました。」と返事をしたら相手は、メモをとろうがとるまいが、間違いなく回答に高い期待感を持つでしょう。しかし、結果がデタラメな答えになってしまったら、仮にすぐさま「もう一度作り直しますから・・・。」と言ったところで、相手はもう頼む気にもならないでしょう。そして貴重なビジネスチャンスが無かった事になってしまうのです。

 

メモさえしていれば

 メモをとらなかったばっかりでの凡ミスはもったいないものです・・・。聞いていた要望をメモしなかったために忘れてしまう。これは本当にもったいないミスです。お客様から話を聞いている時は、この程度の内容なら覚えているだろう・・・。といった感じがするかもしれません。しかし、どうでしょう?1日経ち、2日経つと「あれ?どっちだっけ?」と曖昧になるものです。しょせん人の記憶なんてものはその程度です。あまり聞きなれない言葉ですが、時間の経過とともに忘却率の増大を示した「エビングハウスの忘却曲線」というものがあるそうです。そしてその「エビングハウスの忘却曲線」によると、以下のようになります。

  • 20分後には42%忘れる
  • 1時間後には56%忘れる
  • 9時間後には64%忘れる
  • 1日後には67%忘れる
  • 2日後には72%忘れる

 もちろん個人差はあると思いますが、人の記憶はだいたいこんなもんでしょう。試しに、2日前のランチを思い出してみてください。よほどインパクトのある料理でない限り、確実に忘れているはずです。

 

望ましいメモのあり方

 その一方、トップセールスマンはお客様から要望を聞く際、必ずメモをします。重要な案件に関しては、マーカーで目立つように工夫もするでしょう。だからこそ、要望にモレなどがなく、的を射た提案ができるのです。このように、メモ1つで大きな差になります。「トップセールスマンはメモを重視 VS 苦戦している営業マンはメモを軽視」なのでメモの力をあなどってはいけないということですね・・・。

 

メモを取ることはクレーム対応にも役立つ

 実は、メモには、大事なことを忘れなくなる。ということ以外にも、意外な効果があります。たとえば、クレームの対処もそのひとつです。クレームでお客様に呼ばれた際、まずは話を聞きます。そして聞いているうちに「それは勘違いですね。」という部分が出てくるものです。しばらくは聞いていたものの、忍耐の限界を声「それは契約の時も説明しましたが・・・。」と口を挟んでしまうこともあるでしょう。どんなに正論であっても途中で口を挟めば、お客様の怒りはヒートアップします。そしてクレームはこじれ、悪化してしまうでしょう。

そんな時、手帳やノートにお客様が言った内容を書いていおくのです。書くことに集中すれば、反論しなくなるものです。さらには記録に残されているという意識が働き、お客様は無茶を言い難くなります。よく電話で問い合わせをすると「この会話はサービス向上の為、録音いたします・・・。」といったアナウンスが流れます。記録されていると無茶なことや変なことを言い難くなる心理が働くのです。

 

最後に

 クレームの場合の対応は、手帳かノートを用意し、お客様の言うことをしっかりメモしましょう。そうすることでクレームは最小限に抑えられ、忘れて対応が遅れるなんてことにはまずならないでしょう・・・。それにうまく対応すれば逆に信頼関係を深めることもできるんです。また、クレームを悪化させれば大問題になり、新規の営業活動などとてもできたものではありません。速やかに対応し信頼関係を深めれば、そこからまた新たな仕事をいただけるかもしれないのです。これから人口減の時代、お客様の数は確実に減ってきます。したがってメモを軽視するセールスマンが生き残っていくのは非常に難しいと僕は思います・・・。