松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

バーゲンに隠された損する落とし穴

 

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 それにして梅雨には違いありませんが、よく降る雨です。九州地方なんて去年も酷かったけど、今年もたいがいですよね・・・。とにかくこれ以上大きな災害にならないことを祈りたいものです。さて今回は、梅雨が明けないうちからあちらこちらで夏のバーゲンが始まる時期になりました。ボーナス支給とも重なり、誰もが買い物に胸ときめく季節といえるでしょう。しかし気をつけないとバーゲンセールには魔物が住んでいます・・・。現実的に言うと実に周到なユーザーへの心理的トラップが仕掛けられているのです。そこで今回は、このバーゲンセールについて考えてみたいと思います。

 

バーゲンセールのからくりに迫る

 そもそもバーゲンセールとは、一体どういう目的で行うのでしょうか? 言うまでもなく、その第一の目的は、商品の在庫を減らすことです。洋服の場合、ファッション性の高い流行の品物については、製品を作るための企画の段階から、実際に生産し、販売するまではとても時間がかかると言われています。ところが、それを販売する期間は限られていて短いのです。そこで、商品の入れ替えがどんどん早くなり、どれぐらい売れるかという予測が難しくなっています。逆に、売れて品物がなくなってしまうと売り上げの機会を失ってしまいますから、それを恐れてつい過剰に作ってしまうという傾向もあるのかも知れません・・・。

以前、僕も洋品関係の仕事をしていましたからこの手のからくりは何となく分かります。ていうかほとんど昔も今も変わってないと思います。一説によると市場に出回っている衣料品は約28億点もあるとされ、その半分は売れ残り、そのうちの一部は新品のまま焼却処分になります。なのでどうせ燃やすな、値段を下げてでも売れれば、その損を小さくすることはできる・・・。ということですね。

 

バーゲンは日頃のご愛顧から来ない

 ひょっとしてバーゲンセールは日頃のご愛顧に感謝して、お店が損をしてでも安く売ってくれると思っているんではないでしょうか・・・。恐らく大部分のお店がそういう訳ではありません。商売として考えた場合、バーゲンをやることで利益は増えます。先程の焼却処分をしてしまうぐらいなら、少しでも売れて現金が入ってくるというのもありますが、売値を下げたとしても仕入れの原価より少しでも上回る価格で売れれば粗利益は出ます。つまり薄利多売という事です。もっと言えば、バーゲンセールは儲かるから行なうのです。お店としては、「バーゲン」というワードでとにかく集客したいのです。その証拠にプロ野球のチームが優勝すると関連する百貨店が優勝記念セールをやりますね。ところが優勝しなくても「応援感謝セール」というのをやります。要は何でもいいから理由を見つけて、バーゲンセールをやりたいのです。なぜならバーゲンはお店にとって儲かるからなのです。

 

二重プライスの罠に引っ掛かる物欲

 バーゲンセールにはもうひとつ代表的なトラップがあります・・・。それは「二重プライス」です。バーゲンセールの場合、全店3割引とか50%OFFといった札があちこちにぶら下がっています。それに加えて、実際の商品を見ると5万円という値段を線で消して2万9800円といった具合に新しい値段が書き加えられていることもあります。率で言われるよりも実際の金額で示された方が、インパクトが強いからです。しかも3万円というのと2万9800円とではたった200円しか違わなくても大台が違う分、安くなっているという印象が強くなります。

また行動経済学では、アンカリング効果というのがあるそうです。アンカーというのは船のイカリのことですが、そのイカリを下ろすことをアンカリングと言います。この場合、最初に示されている値段がアンカーになり、判断の基準値となります。その基準値よりも大幅に低く表示されることで、お得感が増してくるという仕掛けとなります。

 

セール対象外商品の強気感が心を揺さぶる

 バーゲンセールをやっているお店に行くと、商品の陳列棚のところの一角に「セール対象外商品」というコーナーを作っているのをよく目にします。それもしばしば、よく目立つところにおいてあるのです。そしてこのセール対象外商品というのがクセ者なのです。そもそも買いに来るお客さんはほとんどがバーゲンで値段が下がったものを探しに来ている訳ですから、そんな時にわざわざ定価で値下げしていない商品を買うことはあまりないでしょう。しかしそれにもかかわらず、店としてそれほどまでして売れるとは思えません。それではなぜ、定価の「セール対象外商品」を置いているのでしょうか? それはここにもアンカリング効果の狙いが隠れているのです。理屈としては、同じ店の中に定価の商品と値下げした商品を並べておくことで値下げされた商品のお得感が強調されるからです。かませ犬というヤツですね・・・。

 

最後に

 という訳で今回は、バーゲンセールについてお話しました。言うまでもなく、バーゲンセールそのものが悪いという訳ではありません。やはりバーゲンという言葉を聞くと「何か買わなくては・・・。」となるのはごく自然なことですよね。でもそんな心ときめくバーゲンだからこそ、気持ちが高揚し浮き足立ってしまい、なかなか冷静に判断できないのです。バーゲンセールにはそんな買う気まんまんの人だらけなのです。とにかく店側は、買い物をする人の購買意欲を更にそそるよう、あの手この手で仕掛けてきます。ここで、言いたいのは自宅に帰って買ったものをあらためて広げ「コレ要ったけ?」「あ~止めときゃよかった・・・。」「別にイイや!誰かに上げよ。」みたいな感じであからさまな後悔をなるべくしないように買い物することです。お店も問屋さんやメーカーさんから、訳ありで安く買ってそれを販売していたりもします。自分にとっての得は、個人の価値観でも大きく変わるので損得のすみ分けは正直難しいですけどね・・・。