何故か潰れない不思議な商店の仕組み
いつも自分の街を車で流していてふと感じる事があります。それは、人の出入りを全く感じさせないお店が所どころに存在していて改装もせず何年も下手すれば数十年存続していることです。以前も同じことに興味を持ち「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」を読みました。この本は、「会計が嫌い」「会計が苦手」「会計を学んでも意味がない」と思っている方のために書かれた本で、会計の難しさを分かりやすく簡単に、日々の生活に転がっている「身近な疑問」から考えはじめることで、会計の重要なエッセンスを学んでいく本なのです。そしてまた最近、街の中でぽつりと佇む古い商店、中にはホコリを被った商品が並べられていて店主の姿も見えない。そんなお店を見て 何故、この手の店が潰れないで残っているんだろう…。という疑問が、湧いてきたわけです。そこで今回は、その秘密を改めて探ってみたいと思います。
不思議な生命力を持つお店
まったく活気の無い八百屋さん
なかなかお目にかからない熱帯魚店
殆どお目にかからないインテリアショップ
たくさんカーテンが下がっているのに、お客さまが来るのは、ほんの時々。しかし、一度来たお客さまが遣うお金は大きく、年商1億円を達成。一体どんなカラクリがあるのでしょう・・・。もともとカーテンは、窓の数だけ儲かると言われ、替える時はすべての窓を替えることが多いそうなのです。なので必然的に部屋まるごとや一軒まるごととなる訳です。それに抱き合わせのじゅうたん販売がポイントです。カーテンを替えると、イメージチェンジでじゅうたんも替えたくなる心理を突くのです。さらには、壁や天井、フローリングなど、内装リフォームをすべて引き受け、1軒50万円程度になる事もざらなのです。客単価が大きくなれば、来客数は少なくても、儲けることができるという事です。
存在感の無い画材店
絵を描く趣味でもない限り、一般人にはあまり縁の無い画材屋さん。店頭販売は、売り上げの10%。画家や趣味人の姿も見かけないのに、年商6,000万円。一体どうなっているのでしょう・・・。まずは、大学そして予備校への画材販売で、50%を確保。そして画家の絵を預かる倉庫の収益。あとは、専門知識を活かし、展覧会の絵画運送を請け負うなどなど・・・。この手のお客様は、どちらかといえば、富裕層が多く、大口の顧客を持てば、お店は事務所兼応接室となります。なので最悪お店は無くても営業できるという訳ですね。
かなり年季の入った文房具店
お洒落な最新の文具も無い、ただただ機能だけを追求した、定番品のみを扱うお店。店舗は古くなっていくばかりなのに、年商2億円を確保。その仕組みは、こうです・・・。このタイプは、学校や会社へのカタログ販売で、20%そして会社やオフィス機器販売&修理などの外商35%それと今時なのが、オフィスプロデュース(インテリア&レイアウト)で35%。収入の多くが、オフィスを対象とした営業活動によるそうです。文房具という小さな商材をキッカケに、オフィスをトータルプロデュースするという、大きな商売を発見したようですね・・・。
頻繁に行かない楽器店
僕も時たまウクレレの弦や譜面を買いに行くくらいの楽器店。ギターの弦1本が、たとえ毎日のように売れたとしても、楽器はなかなか売れません。しかし、年商5億円と恐ろしい売り上げを上げてしまう方法とは、小学校や音大に納品するとともに、修理や調律で利益を上げる方法をとっているからです。それに、なかなか手が出ない高額な楽器は、レンタル事業として運営。練習用防音室の貸し出しで使用料徴収。音楽教室用スペースの貸し出し。ヤマハとの契約など、楽器店と言えど、修理・調律とスタジオのような事業展開で、安定した収入を確保。特にレンタルは、時代のニーズに合っているのです・・・。
ポツンと建っている精肉店
スーパーにお客さまを取られ、いつ潰れてもおかしくないように見える肉屋さん。ところが、年商2,000万円。どういう事・・・。コレも定番の給食食材としての学校納品、それと肉の枝買い、いわゆる一頭買いによる、コストカットです。そして肉を無駄無く使い切るための惣菜販売。牛や豚の骨は、だし用として、ラーメン店に販売・・・。肉は、精肉後30~40日保つので、大量仕入れができます。さらに、残った肉は惣菜に加工するので、まったく無駄がありません。
最後に
上記の様に儲かってない風の儲かっているお店は、まず、店舗に頼っていないという事なのです。あくまで窓口であったり、事務所であったり。いまの時代、店舗販売では、大型店やチェーン店には、到底勝てません。なので、勝つためには、別の販売ルートが必要なのです。それと大事なのが、大口の顧客を精査し確実に掴む事です。取引金額が大きくなると、顧客数が少なくても、充分に儲けることができるということです。頭では、理解できてもなかなか実行に移すとなると前に足が出ないものです。それでもこうして、前に足を出した人たちは、成果も出しています。とりあえず、スケールの小さなものから始めるのもアリでは無いでしょうか・・・。