松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

人生の後編に忍ぶ残酷な現実

 

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 恐らく多くのビジネスパーソンは、職場での地位や役職、収入が仕事をするうえで大きなモチベーションになっているでしょう。しかしながら50歳を過ぎてからも、それらをキープすることはなかなか難しいのではないでしょうか・・・。そもそも人はなぜ地位を求めるのでしょう。そしてそうした生き方を続けた先にはいったい何があるのでしょうか?そこで今回は、人生を前編、後編に分けての生き方について考えて見ることにしました。

 

誰にもある?人生の生きがい

 まず人生の前編のモチベーションを考えて見ましょう。 その原動力の1つは前述したように社会的な地位や肩書にあります。会社で出世して課長や部長になり、さらに役員まで目指す。それが主なモチベーションになる理由と考えられます。もちろんお金というものもあるでしょう。地位や役職が上がるにしたがって収入がアップします。そしてそれも大きなモチベーションになるのです。

 

評価こそがモチベーション維持の秘訣

 会社での肩書だけでなく、周囲の人に認められたいという承認欲求も大きいと思います。それに他者から賞賛され評価されるということは、家族も大きなモチベーションになります。結婚して子どもができ、家族を養い育てることも人生のエネルギーになるでしょう。いずれにしても、前編に大きな意味を持っていたこれらのことが、後編から変わっていくということが今回のお話しする重要なポイントです。恐ろしいことに前編にモチベーションとなっていたものが50歳くらいになると一つひとつ失われたり、変質したりしていくのです・・・。

 

50代で考え方の軌道修正を考える

 地位や役職、お金、周囲の評価、家族などが変わっていくのがちょうど50代と考えられます。その変化を敏感に察知し、柔軟に対応できるかどうかが運命の分かれ目なのです。状況の変化を受け入れ、自分自身のモチベーションをどこに置くか、そして人生の軌道修正を迫られるのがまさに50代だと言えるでしょう。これまで全力で走る続けてきた生き方を少し力を緩め、ゆっくりながら力強く進んでいくやり方に変える必要があるのです。

 

思っていても難しい軌道修正

 ところがなかなかこれがうまくできない人がいます。その場合、モチベーションを失ったまま、自分の存在意義を見失ってしまい自己喪失に陥りそれがひどくなると、最悪うつ病などのメンタルの病に至ってしまうのです。人生前編の原動力となっていたモチベーションやアイデンティティーを見失わないために、まず、地位や肩書に依存しそれに固執することのない模索を自ら始めていきましょう。

 

立場を失う恐怖

 現実に50代以降、職場環境は一変します。役職定年になって役職から離れたり、再雇用となると、責任ある仕事から外されます。かつては組織のリーダーとしてスタッフを動かしていた立場から、一気に書類作りなどの単純作業に回されるなど、プライドをズタズタに傷つけられ目標を持てなくなり、モチベーションを失ってしまったりする人もいるでしょう。確かに個人としては酷な話ですが、組織としては致し方ない部分でもあります。今の時代、役職定年や再雇用を迎えられるならまだいいほうかもしれません。アッサリ会社が倒産したり、リストラされてしまえば、それこそ肩書どころか行き場所も、稼ぎ場所も失ってしまいます。人生の後編では、新しい人生の現実を受け入れ、新しい価値観と基準を自分の中で作らなければならないのです。実際ビジネスパーソンである限り、ほとんどの人が50代でこの潮目の変化にさらされるわけです。自分ばかりが不条理な思いをしていると考えるのではなく、皆同じ境遇の中で人生の後編を模索していると考えましょう。

 

人生の後編でもやりがいはある

 会社の仕事は続けたくてもやがて限界が来るものです。そこからの自分をどう方向づけるかがターニングポイントです。今の会社で専門職として身に付けたスキルを活かして、転職あるいは独立するのか?それとも本業に差し障りのない範囲で副業を始め、定年後はそちらにシフトするのか?とにかく今の世の中は、インターネットが発達したおかげもあり、思わぬところで思わぬものが仕事に変わる可能性があります。趣味で始めたものが仕事になり、後編の収入源になったりすることだって充分あるでしょう。そして50歳になったら具体的に準備を始めるのが理想でしょう。なぜなら、その準備がないまま配置転換やリストラなど急な組織内の環境が変化すると、自分のモチベーションが保てなくなる可能性があるからです。

 

承認要求こそがモチベーションを保つ源

 考えるに地位や肩書そして、お金や評判、名声にしても、あるいは家族との関係にしても、その背後に共通する欲求こそが、まさに「承認欲求」なのかもしれません。会社の中で、能力があり必要な人材だと思われたい。お金を持っていて裕福に暮らしていると周囲から思われたい。家族の中でかけがえのない存在であり愛される存在でありたい・・・。結局は誰かから自分の存在を認めてほしい。重要で大切な存在だと思われたい。という気持ちが、これらのモチベーションの根源だと思います。

 

飛ばせない欲求の5段階

  1. 生存の欲求=動物として命を保ち、生存したいという欲求
  2. 安全の欲求=危険がなく、安全に、安心して生活したいという欲求
  3. 愛と所属の欲求=集団に属したり、パートナーや仲間を求める欲求
  4. 承認欲求=他者から評価されたい、褒められ認められたいという欲求
  5. 自己実現欲求=あるべき自分になりたい、成長したいという欲求

 1.~5.までそれぞれ、その段階をクリアしないと次に進めないとする法則です。つまり、命の危険がある2.にいる段階では、3.の欲求は出てこないということです。ちなみに承認欲求は細かく分けると他者承認欲求自己承認欲求に分かれているようです。ここで言う承認欲求は「他者承認欲求」と考えてよいでしょう。職場でもプライベートでも、私たちが社会生活の中で求めている承認欲求は、だいたい他者承認欲求であると考えてもいいと思います。

 

最後に

 いずれにしても、承認欲求は人間にとって非常に重要で強い欲求だと思います。たとえば、名誉職という言葉があります。実質の地位や肩書、名誉職だからいくら報酬をもらえるというものではありませんが、一種のステータス、権威には間違いありません。恐らく人間はいくつになっても名誉が欲しいのかもしれません。人生の後編において何らかの名誉や肩書きを貰ったからといって、それが即収入に繋がるものではありません。ただお金よりも時には名誉、他者からの評価が価値を持つことがあるのではないでしょうか・・・。僕は冗談抜きで若い頃、歴史上の有名人物のように自分のブロンズ像ができればと、本気で思ったときがありました。今でもせめて肩から上くらいでもと低い可能性を追い続けています。