嫌な仕事はサラッと断る
嫌な仕事を上手に断るコツ
つい不本意に引き受けてしまう
そもそも非エッセンシャル思考の人は思うに、自己満足というかそのほうが気分がいいからかもしれませんね…。逆に、エッセンシャル思考の人は、そうした気分のよさが長続きしないことを直感的に感じているといいます。即ち一瞬の満足のあとでやってくるのは、確実に深い後悔と確信しているのです。「なぜこんなことをやらねばならないのか」と、相手を恨み、自分を責める。そしてもっと重要な仕事が犠牲になったことに気づき、ショックを受け自己嫌悪に陥るなどなど、こうなるともうやってられません。勿論あらゆる依頼を断れと言っているわけではないと思いますが、本当に重要なことをやるために、本質的でない依頼を断るのは自分にとって正しい判断なのです。肝心なのは、絶対にやるべきこと以外のすべてに対して、上手に「NO」と言うことなのです。
ここで「YES」と言ったら自分は何を失うか?を考える
誰かに何かを頼まれたとき、人はそれを直感的に関係性の問題だと思ってしまうそうです。頼みを断ることが、相手を拒絶することだと感じてしまうのです。重要なのはこの2つをしっかり分けて考えなくてはならないということです。頼まれごとを関係性から切り離して考えたとき、判断はより明確になり、それを伝える勇気と思いやりも生まれてきます。要するに判断を関係性から切り離すことなのです。
また断るにも直接的でない表現を使うことがコツです。「NO」という言葉を使わなくても、「NO」を言うことは可能なのです。時には直接的な表現を避けて、やんわりと断ることも必要です。たとえば、「声をかけてくれて嬉しいのですが、あいにく手がいっぱいで…。」「行きたいのは山々ですけど、時間があるかどうか…。」断る前置きに好意のある言葉を付けて断るようにしましょう。
またここで「YES」と言ったら、自分は一体何を失うのだろうか…。そのトレードオフに目を向ければ、中途半端な「YES」は言えなくなるはずです。要するにどんな判断をするときも、機会コストを忘れてはいけないのです。もしもこれを選んだら、別のもっと価値あることができなくなるということです。全部やってみよう、という非エッセンシャル思考のトラップに掛かってはいけないのです。そもそもすべてをやることはどだい無理であり、不可能なのです。それよりなにより失うものを冷静に計算し、納得できる答えを出しましょう。人はみな、何かを誰かに売り込もうとしているものです。人間不信になれとは言いませんが、相手が何を売り込もうとしているのか、自分はそれによって何を失うのか。それを意識して、より合理的な判断を心掛けましょう。
断ることは即ち自分の時間を安売りしないこと
「NO」を言うことで、短期的に相手と気まずくなる場合があります。相手は「これをしてほしい」と思っているのだから、やはり断られたらガッカリするでしょう。しかし、長期的に見ればポジティブな面もあります。短期的な気まずさと引き換えに、相手の敬意を手に入れられるからです。うまく依頼を断ることは、「自分の時間を安売りしない」というメッセージになるからです。なのでエッセンシャル思考の人は、みんなにいい顔をしようとしないのです。時には相手の機嫌を損ねても、きちんと上手に「NO」を言うのです。長期的に見れば、好印象よりも敬意のほうが大切だということですね。
生返事はただの迷惑
何かを依頼したことのある人ならわかると思いますが、あいまいなまま引き延ばされるよりも、はっきり断られるほうがずっといいのです。できないとわかっているのに「うまくいくように動いてみます…。」とか、「たぶん大丈夫だと思います…。」などと言っておいて、結局できないというほうが最悪ですからね…。あいまいにしておいて結局断るくらいなら、その場ですぐにピシャリと断るほうがいいのです。その方が相手へのダメージもずっと少なくてすむのです。因みにこの手の返事は、仕事のせいにするわけではありませんが、僕自身、ま~ま~使い気味かもしれません。なので僕自身も気を付けようと思います。
断り方のバリエーションを身に付ける
エッセンシャル思考の生き方は、「NO」を言いつづける連続です。だから、上手な断り方を何種類も身につけておいたほうがいいのです。
■とりあえず黙る
気まずい沈黙を怖がらず、沈黙を味方につけるのです。誰かに何かを頼まれたら、少しだけ黙ってみるのです。それから自分の意見を言うようにしましょう。最後には、相手が気まずくなって何か言うまでじっと待ってみるようにしましょう。
■代替案を出す
代替案を出して、相手に歩み寄りながら断る作戦です。たとえば、メールなどで食事に誘われたとしましょう。その場合、「今は仕事が立て込んでいて直ぐは厳しいですが、目途がつきましたら是非ご一緒させてください。○○月始め頃ではどうでしょう?」それにメールは、「NO」を言う練習にちょうどいいですからね。なぜなら文章を何度でも練り直しできますし、なによろ直接顔を見なくてすみますからね。
■予定を確認して折り返します
何でも引き受けてしまう人は、周囲の人もそれを知っているので、何かあると直ぐに頼ろうとされます。「この仕事が大変なので、手を貸してくれませんか?」と言われると、つい「YES」と言ってしまうのです。そうなると仕事を抱えすぎて、ストレスばかりが増えてくる悪循環発生します。そんなときの必殺技は、「予定を確認して折り返します」という言葉です。要するにいったん時間をおいて考えると、断ることが容易になるのです。その場でつい引き受けてしまうことがなくなり、自分のペースで仕事ができるようになった。
上司からの依頼対策
■仕事の優先順位
上司からの依頼は断りづらいものです。もし機嫌を損ねたら、どうなるかわかりませんしね。それでも、無理な状況で仕事を引き受けてしまうと、結果はよけいに悪いことになるものです。目の前の依頼を断らなければ、もっと重要な仕事が駄目になるかもしれないのです。単に「NO」と言うのが難しければ、上司にトレードオフを意識させてみましょう。たとえば、「はい、ではこの仕事を優先でやります。今抱えている仕事のうち、どれを後まわしにしましょうか?」とか、あとこんなのもあります。「今かなり仕事を抱えているので、これを無理やり差し込むと品質が落ちてしまいます…。」要するに筋の通った断り方をすれば、その仕事は別の何でも引き受ける部下にまわる。ただそれだけのことなのです。
■肯定を使って否定する
喜んで引き受けるふりをして、実は断るという高度なテクニックがあります。たとえば、自分の車を使うとします。「どうぞ僕の車を使ってください。キーを置いておきますね。」この言葉の意味は、親切な言葉を使いながら、運転は引き受けないという意志をきっぱりと表現しているのです。いくらかは力になりたいが、全面的に巻き込まれたくない場合にきわめて有効な方法です。
最後に
「NO」を言うことは優秀な人の必須スキルと言ってよいでしょう。たとえば、別の人を紹介する場合、「僕は無理ですけど、彼なら興味を示すんじゃないかな…。」と言って、別の人にまわしてしまう。自分を見込んで特別に頼んでくれたと思いたいところですが、実際は誰がやってもいい場合のケースがほとんどだと思います。どうでもいい人やイベントを切り捨てて、本当に意味のあることにだけ100%の力を注ぐのです。どんなスキルでもそうですが、はじめは誰しもうまくいかないものです。それでも練習するうちに、人は技術が身についていきます。試行錯誤を重ね、腕を磨いていけば、そのうちに断り方のバリエーションも増えて、そつなく断れるようになるはずです。と言う訳で長くなりましたが、これからはどんな相手からのどんな依頼も、上手に断るマイスターになるように頑張りましょう。もちろん僕もガンバリます。