松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

空腹時の効率はそうでない時に比べどれだけ下がるのか

 

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毎日通勤の峠で金木犀の良い香りがするようになりました。彼岸花もガンガンそこらじゅうで咲き乱れまさに秋まっしぐらです。そこでこのフレーズが、バッチリ似合う季節となりました。「腹が減っては戦ができぬ」ということわざです。これは、昔から結構よく使われているんじゃないんでしょうか・・・。はずかしながら、僕は今でもよく使っています。要するに空腹だと栄養素が体じゅうにいきわたらない。なので満足な働きができないという意味はよく知られている話です。恐らく、現在と比べて相当食べるものがなかった時代に生まれたことわざだったんでしょう。

 

飽食の時代の「腹が減っては戦ができぬ」とは

しかしながらこの飽食(ほうしょく)の時代に現代人は、どんな状況でこの様なことわざを使おうとするのでしょうか。また、空腹時の思考能力はどれだけ鈍るのでしょう・・・。

 

 

食生活の不規則さによる慢性疲労

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現代社会において、慢性的な疲労を感じている人が少なくないと推測されています。その原因として、慢性的な栄養素の不足、不規則な食事時間、ストレスによる自律神経の乱れ、体内で発生する活性酸素の影響などを専門家は指摘しています。そして、こうした食の乱れは、さらに欠食やダイエットなどによって身体に必要な栄養素が足りなくなり、体のさまざまな機能が正常に保たれなくなってしまうと診ています。

また、こうした慢性疲労が進行して過労状態になると、動脈硬化・脂質異常、不整脈などから脳出血・心筋梗塞などの病気にいたるとも指摘されています。まさに、現代版「腹が減っては戦ができぬ」状態です。いわゆる「慢性疲労」ですね。

 

 

脳の栄養失調絶対に避けたい

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近年、MRIなど画像診断装置の開発によって脳科学が発展し、生きている状態で脳に起こっていることが簡単に解かる様になりました。それによると、脳は食べたエネルギーの20~25%ほどを消費する“大食漢”でありながら、エネルギー源を貯蔵できないので、ブドウ糖を血液から常に摂りこんでいなくては、ならないそうです。

また、脳へのブドウ糖の供給が数分とまっただけでも死んでしまうので、脳は食欲を制御して空腹や満腹を感知し、その結果から摂食行動をコントロールしていることも解ってきました。さらに、何らかの理由で十分な栄養が届かなかった場合、脳はエゴイスティックに自分の使う分を最優先し、身体の他の器官に栄養素がいかないようにしてしまいます・・・。

たとえば、過度なダイエットでブドウ糖が不足すると、脳は身体の他の組織がブドウ糖を使えないようにし、インスリンへの感受性を弱くしてしまいます。この結果、身体の細胞がブドウ糖を使えない病気、つまり、糖尿病を発症するといったことが起こるのです。こうした病気もまた、「腹が減っては戦ができぬ」が脳の栄養失調というかたちで起こっているといえるでしょう。そう考えると空腹は、現代でも結構深刻な問題なのです。

 

 

必要なエネルギーを常に計算する 

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そうなると健康に過ごすためにはエネルギーはいったいどれくらい必要なのでしょうか?肥満ややせは生存率を低くするとされています。少しややこしくなりますが、健康に生きていくために目標となる体重(標準体重)に、生きるために最低限必要なエネルギーの「基礎代謝量」と、毎日どれくらい身体を動かしているかという「身体活動レベル」を掛け合わせたものが、即ち1日に必要なエネルギー量ということになります。

たとえば、身長170センチ、体重70キロ、身体活動レベル「ふつう」の40歳男性の場合、目標体重を65kgとすると、1日に必要なエネルギー量は、標準体重65kg基礎代謝基準値22.3×身体レベル1.75≒2,537kcal、およそ2500kcalになります。

栄養学的には、このエネルギー量を食事でもって摂ることで、「腹が減っては戦ができぬ」状態を回避することができるのです。そして同時に、栄養素をバランスよく摂取することが求められるのです。炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取していくことで、身体の活動効率を最大化できることが強調されるのです。

 

 

先人のいう通り腹八分目を心掛けるべし

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メタボや生活習慣病が増えている現代日本では、食料のなかった時代とは違って、欠食していたりダイエットなどしているとか、よほどのことがなければ腹が減り続けていることは無いでしょう・・・。逆に、飽食の時代といわれる今、食べすぎやそれによる肥満やメタボの方がどちらかと言うと問題になっています。満腹になるまで食べないと満足できない、ストレス発散のためにヤケ食いをする、噛まないで早食いをする、食べ放題が大好きなど、食べ過ぎることによって活動効率が落ち、食べ疲れて全身疲労という事になりかねません。

 

 

本当に空腹時の方が学習効率は上がる?

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昔から空腹時の方が学習効果は高いとか、空腹時の方が運動に適している、あるいは少しお腹がすいているとよく眠れるなど、最近の研究結果からも、いわゆる「腹八分目最適効率説」が多く提起されているようです。

 

 

最後に

現代は「腹が減っては戦ができぬ」のような足らざることの問題性もさながら、飽食が招く生活習慣病の方が問題視されているような気がします。なにごとも、やりすぎるのはやり足りないことと同じようによくないのです。「過ぎたるは及ばざるが如し」なのです・・・。

 

参考資料:『疲れやすい人の食事は何が足りないのか』青春新書『脳の栄養失調』講談社ブルーバックス