松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

リアルなお金持ちになる唯一の方法

 

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 日本の場合、社会に出て働いている人の多くは雇用者だとされています。つまりは会社員ということです。総務省統計局が発表している「労働力調査」によれば、2019年5月の時点で就業者の数は6,732万人だそうですが、この内、雇用者の数は実に5,993万人となっているのです。ということは、働く人の約9割は会社員と言うことになります・・・。そして会社員とされる人達の多くは、「会社員でいる以上、決まった給料しか貰えないのでお金持ちになれる訳がない・・・。」と思っている人が殆どではないでしょうか。果たしてそうでしょうか・・・?

 

資産づくりの大原則を理解する

 今から20年ほど前にアメリカで出版された「となりの億万長者」という本があります。著者が、トマス・J・スタンリー&ウィリアム・D・ダンコという人達です。この本は純金融資産(持っているお金から借金を引いたもの)が百万ドル以上ある人達の考え方や生活習慣等を調査した、なかなか興味深い内容でした。この本によれば、億万長者と言われている人達は決して華やかな暮らしをしているわけではなく、とても地味で質素な暮らしをしていると言います。着飾って高級外車で毎夜パーティーに出かけるような生活をしている人は意外とお金は持っておらず、どこにでもいる普通の人が億万長者だったりするということが書かれています。

そして興味深いのがここに書かれている内容は、現実とも一致する部分が多いということなのです。余談ではありますが、僕がこの本を読むきっかけになったのが、たまたま「金持ち父さん貧乏父さん」というロバート・キヨサキ氏著書のシリーズを読んでいたときに、この本が紹介されていてそのまま何となく、続けて読んだ記憶があるのです・・・。話を戻しまして、この本にも出てきますが、資産作りの大原則は「入ってくる以上に使わない」という、ごくシンプルなことです。そのためには、まず何よりも「入」と「出」がどれぐらいあるか?ということが正確に把握できなければなりません。

 

お金持ちな人のイメージを見抜く

 世の中で、お金持ちとか、資産家といわれている人達といえば、タレント、お医者さん、そして企業のオーナーいったイメージがあると思います。しかしあの人達に共通して言えることは、収入が必ずしも一定ではないことです。オーナーなら事業が当たれば、大きな儲けが出るし、タレントは有名になれば、出演料やCMで大きな収入が入ってきますが、下手をすれば一銭も入ってこないことだってありえるのです。つまり「入」は読めないということです。一方、「出」は、特別に贅沢な生活をしていなければ、ある程度読めるものです。しかし、悲しいかなタレントなどは仕事柄生活が派手になりがちですし、商売や事業をしていると設備投資や商品の仕入などの機会があれば、資金を出さざるを得ません。つまり不安定な収入と意図せざる支出に悩まされ続けることになるのが、宿命的生活だと言っても過言ではありません・・・。

しかし、これに対して会社員の場合は、収入はずっと安定しています。それに支出にしても大きな病気にでもならない限り、あまり意図せざる出費というのはありません。すなわち「入」と「出」がきちんと読めるのが会社員の最大のメリットなのです。したがって、やり方さえ間違わなければ会社員の方がずっと計画的に資産形成ができ、お金持ちになれる可能性が高いのです。にもかかわらず、僕も含め多くの会社員の人達は、なかなかお金持ちに近づけません。これは一体どういうわけでしょうか・・・?

 

将来の蓄えが増えない大きな理由

 これには「現在バイアス」という思考にあるとされています。これはいやなことや面倒なことを先延ばしにしたいという心理なのです。たとえば、小学校の時の宿題を夏休みが終わる前ぎりぎりになって慌てて取り組んだという人は多いでしょう。宿題という嫌なものは早くやるに越したことはないとわかっていてもつい目先の利益、つまり遊びに行く方を優先させてしまう傾向、これが現在バイアスなのです。このため、人はどうしても老後のための資金を貯めるよりも遊びや買い物に使ってしまいがちになってしまう傾向があるのです。

また、さらに厄介なことに遠い将来に得られる利益の価値を低く見積もり、目先の価値をより高く評価してしまう「双曲割引」という心理現象もこれに加わり、余計に将来に向けた蓄えは難しくなるとされているのです。1年後のスリムな体型を想像する楽しみよりも目の前のショートケーキの美味しい誘惑の方が魅力的に決まっているからです。

会社員の場合を考えてみると収入はほぼ一定なので問題ありませんが、支出がこの現在バイアスや双曲割引によって大きく乱れがちになります。資産形成のために計画的に貯蓄などをすべきだとわかっていながら、どうしても目先の旅行や食事などの楽しいイベントにお金を使ってしまうということになりがちです。さらに買い物についても本来は計画的に支出していくべきなのですが、つい衝動買い等をしてしまうということも起こりがちです。

多くの人は、未来の大きな利益の可能性よりも、目の前にある小さな利益の現実を重視する傾向があります。 このような心理傾向を、行動経済学では「現在バイアス」と言います。また、「今日と明日の違いは明日と明後日の違いより大きい」と考えられているのが、「双曲割引」です。たとえば、1年後のダイエットの成果より、目の前のケーキの誘惑に負けたり、1年後のローンの負担より今のキャッシングの買い物が嬉しいということです。これを人間やその人の弱さとしてではなく、動物(人間を含む)の基本的性質として捉える考えを指します。

 

最強の資産形成術とは

 では一体どうすればいいのでしょうか? それは、会社員ならではの対策が二つあります。まずひとつは給与天引きをフルに活用することだそうです。最初から一定額を天引きし、残ったお金で生活するようにすれば、知らず知らずのうちにお金は貯まっていきます。一定額を強制的に天引きすることで、最初は少し生活が窮屈に感じてもすぐに慣れてくるのです。なぜなら天引きで引かれてしまったものは最初から「無かったもの」と認識されるからです。そうすれば天引きされた後の残りのお金はどんなに無駄遣いしても大丈夫なのです。もし会社に給与天引きで貯蓄をする仕組みがなければ、銀行からの自動引き落としでも問題ありません。

 

最後に

 実際に会社員で多くの金融資産を作ったとされる人達は、そのほとんどが、何か特別なことをしているわけではなく、前述したような給与天引きによる制度を長年にわたって地味に実行してきた人達であるのです。誰でも改めてお金を貯めるというのは相当な決心が必要だと思います。だとすれば、給料の天引きや銀行の積み立てなど利用することは心理的な要因を逆に利用することで手間をかけずにお金が残っていくことになるのです。なのでこれからは、あったら、あった分だけ使うことは、使って良い分だけにしましょう・・・。